残業代の単価を計算する際には、1時間あたりの賃金額を計算しなくてはなりません。しかし、諸々の手当がついている場合はどこまでをその賃金に含めるべきなのでしょうか?無料メルマガ『採用から退社まで!正しい労務管理で、運命の出会いを引き寄せろ』の著者である社会保険労務士の飯田弘和さんが詳しく解説しています。

残業単価の計算に皆勤手当を含めるか?

ある建設会社さんから、こんな質問を受けました。

「残業代の単価を計算する際、皆勤手当も計算に含めるのですか?」

残業代の単価を計算するには、まず、“1時間あたりの賃金額”を算出する必要があります(※ 算出した1時間あたりの賃金額に割増率を掛けて残業単価を算出します)。時給制の場合には、その時給が“1時間あたりの賃金額”となります。

しかし、その場合であっても、職務手当や役職手当等が月額の固定手当として支払われている場合には、それらの手当の“1時間あたりの単価”を算出し、先ほどの時給と合わせた合計金額が“1時間あたりの賃金額”となります。

次に、月給制の場合の“1時間当たりの賃金額”の算出方法ですが、以下の計算方法になります。

 月給÷1年間における1か月平均所定労働時間 

ここで、“1年間における1か月平均所定労働時間”とは、年間の総所定労働時間数を12で割ったものとなります。

※ 所定労働時間とは、雇用契約によってあらかじめ決められた労働時間をいいます。

※ 年間の総所定労働時間数は、具体的には、年間の歴日数(365日)から年間の休日数を引き、1日の所定労働時間数を掛けて出します。

また、ここでいう“月給”には、基本給はもちろん、職務手当や役職手当等の手当も含まれます。ただし、“家族手当”や“通勤手当”、“住宅手当”などは、月給に含める必要はありません。

注意していただきたいのが、ここでいう“家族手当”、“通勤手当”、“住宅手当”とは、家族数や実際の交通費や距離、家賃に比例して支給されるものであって、それらに関係なく一律で支給するものは“月給”とされ、残業代の計算の際に除外できません。

“臨時的、突発的事由に基づいて支給されるもの”や“支給事由の発生が不確定で、非常にまれに発生するもの”についても、“月給”に含めなくても構いません。たとえば、“結婚手当や出産手当は、上記に示した“臨時の手当”に該当します。

ところで、“皆勤手当”や“精勤手当”については、原則として“月給”に含めますので、“1時間あたりの賃金額”の計算の際には、これらの手当も含めて計算することになります。

ただし、「1か月を超える期間の出勤成績によって支給される精皆勤手当」については、“臨時の手当”とされますので、成績の判定期間が1か月を超えるかどうかで、“月給”に含めるかどうかが変わることになります。

ただ、通常、精皆勤手当は1か月の出勤状況によって支給の判定を行っているでしょうから、残業単価の計算においては、計算に含めることになるでしょう。

そうであると、精皆勤手当が支給される月とされない月とで残業単価が変わることになりますので注意が必要です。

いちいち残業単価の計算をし直すのが面倒であれば、精皆勤手当が支給された月の残業単価を通常の残業単価として扱うことも可能ですし、この方が賃金管理がラクかもしれません。

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