楽天モバイルがひとつの目玉としてきた月額「ゼロ円」で利用できるプランの廃止を発表し、各所からさまざまな声が上がっています。専門家は同社のこの決定をどのように見ているのでしょうか。今回のメルマガ『石川温の「スマホ業界新聞」』ではケータイ/スマートフォンジャーナリストの石川温さんが、驚きはしたものの楽天モバイルの懐具合を考えれば充分理解できるとした上で、同社に対する「とある心配」を記しています。

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楽天モバイル、ゼロ円プラン廃止。値上げの衝撃「三木谷節」炸裂

「ぶっちゃけ、ゼロ円でずっと使われても困る」

5月13日、料金プランの改定を発表した楽天モバイル。決算会見で三木谷浩史会長がぶっちゃけた。まさに三木谷節、ここにあり、という感じであるが、あまりに本音過ぎるのではないか。

実際、ゼロ円ユーザーの存在に楽天モバイルは頭を抱えていた。例えばKDDIローミングを使うと1GB未満でも500円近く赤字が発生する。しかも手数料もゼロ円という設定だったので、例えばeSIMから物理SIMカードに切り替え手続きを行うと、SIMカードの発行コストや佐川急便での配送コストもかかってくるわけで、かなりの赤字となるわけだ。

「ゼロ円ユーザーにいかにデータを使ってもらうか」に腐心するかと思いきや、まさかの値上げに驚いた。

ただ、楽天モバイルの懐事情を考えれば充分すぎるほど理解できる。同社は2023年中の黒字化を公言しており、手っ取り早く黒字化するには値上げというのは妥当な判断だ。

そもそも、ゼロ円から始まるプランというのが大盤振る舞い過ぎた。NTTドコモが「ahamo」などを発表し、楽天モバイルが窮地に追い込まれている際に、破れかぶれで発表したプランだった。やはり「使った分はちゃんとユーザーに支払ってもらう」というのでないと、健全な市場とは言えない。

とはいえ、発表から改訂、実施までの期間が短すぎる気がしなくもない。総務省に指導されたのか、4ヶ月無料というキャンペーンを実施するが、それも前半2ヶ月は無料、後半2ヶ月はポイント還元という、辞めにくくなるような工夫が施されている。

そもそも、昨年導入したゼロ円から始まる料金プラン、はじめから3GBまで980円という設定にしておき「終了時期未定で3GBまで無料」といったアピールをしておけば、何ら問題なかったのではないか。

その点、ソフトバンクやNTTドコモなどは、かなり大盤振る舞いな料金プランやサービスに対しては、やたらと「キャンペーン」という位置づけにして逃げ道をちゃんと作っている。ソフトバンク「アメリカ放題」も当初はキャンペーンとして提供しており、辞めようとしたらユーザーの反発をくらい、通常のサービスに変更となった。

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「ゼロ円でずっと使われても困る」とはいっても、「ゼロ円から使える」とアピールしていたのは楽天モバイルなのだから、「ゼロ円から使えると思って契約したら、自動的にゼロ円ではなくなる」というのでは「だまされた」という気分にユーザーはなってしまうのではないだろうか。

自動適用で、請求される料金が安くなるのは歓迎だが、一方で、勝手に値上げされるとなると、ユーザーの混乱は必至だろう。特に楽天モバイルは郵便局で新規契約者を獲得してきており、当然「ゼロ円から使える」というのを訴求していたはずだ。自分でオンライン手続きをできないようなユーザーが「いつの間にか料金が請求されている」という状況になったら、社会問題になりかねない。

矢澤俊介社長は「ユーザーへの対応について、関係各所とも事前にたくさん相談をさせていただいた」と回答しているので、当然、総務省や消費者庁には相談済みなのだろう。

ただ、楽天モバイルは年に1回の頻度で料金プランを変えている。将来的に数百GB使うようなユーザーが増え「容量が足りなくて、ぶっちゃけ困る。上限の3,278円も値上げする」と言わないかも心配になってくる。

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image by: Koshiro K / Shutterstock.com

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