新入社員が入ってもすぐに辞めてしまう、若手が定着しない…そういった悩みを持つ企業ができていないこととは何なのでしょうか。今回、メルマガ『1分間書評!『一日一冊:人生の智恵』』の著者、本のソムリエさんが紹介するのは、部下とのコミュニケーションを月一回の15分で円滑なものにするワザです。

若手が次々と辞めていくことに悩んでいる会社こそ実践すべき。【一日一冊】部下とは15分だけ話しなさい!

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『部下とは15分だけ話しなさい!』

藤間秋男 著/水王舎

新型コロナウイルス感染の拡大で懇親会ができなくなり、職場のコミュニケーション不足が課題と考えている人は多いのではないでしょうか。

職場でのコミュニケーション不足は仕事での大きなミスを見逃すことになったり、部下がメンタル不調になって休職するまで気づかないといったことにもなりかねません。

実際、コミュニケーション不足だけが原因ではないと思いますが、中小企業で若手が次々に辞めていくことに悩んでいる会社も多いというのです。

そこで、この本が提案するのは、月1回15分間の1対1の面談です。月1回となると管理職の負担は増えますが、月1回の飲み会の代替と考えれば、逆に効率的ではないかと感じました。

深く、かつ効率的なコミュニケーション…月に1回、15分間の1対1の面談(p6)

1対1の面談を会社で導入するにあたっては、「どんな人材を育てたいのか?」という人材育成方針を作ることが必要です。その人材育成方針に基づいて、1対1の面談を行うわけです。

そして面談の内容、部下の発言を記録するルールや様式を決め、注意点をまとめた面談の手引きを作ります。あくまでも1対1の面談は「部下に話をしてもらい、自立的に仕事とキャリアを考えることを後押しするための時間」とします。

部下に話してもらうために管理職は、日頃の部下の仕事を観察し、対話では仕事の成果を認めてあげて、仕事で悩んだり、困っていることがないか聞いてあげるのです。

特に優秀な人ほど部下の話に対して「すぐに答えや結論を出してしまう」傾向にあるので、面談の手引きの中で、面談はあくまで部下の本音を引き出す場であることを周知しておくことが重要と指摘しています。

優秀な管理職の方ほど、部下に対してのアドバイスが浮かび、何かと自分が口を出したいという場面が多いものですが、1対1面談ではそれをグッと堪えます(p161)

実は懇親会や飲み会よりも、上司と部下とで定期的に1対1で面談するほうが、悩める部下の本音を引き出せるのではないかと感じました。

月1回の1対1面談を制度化している会社は少ないかと思いますが、対話を制度化することで助かる人が必ずいるはずです。

ちなみにヤフー株式会社では「1on1ミーティング」を登録商標して、社内で実施しています。もし月1回の1対1面談が日本の職場の標準となれば、その職場での人間関係がたった15分だけで改善されることでしょう。

藤間さん、良い本をありがとうございました。

【私の評価】★★★★☆(87点)

<私の評価:人生変える度>
★★★★★(ひざまずいて読むべし)
★★★★☆(素晴らしい本です)
★★★☆☆(読むべき一冊です)
★★☆☆☆(余裕があればぜひ)
★☆☆☆☆(人によっては)
☆☆☆☆☆(こういう本は掲載しません)

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