「すすめ!!パイレーツ」や「ストップ!! ひばりくん!」で知られる、漫画家の江口寿史(65)さんが、Twitterに投稿された「(江口さんは)おじいちゃんなのに可愛い女の子描く」というつぶやきに反論したことがネット上で話題となっている。

江口さんは19日、あるTwitterユーザーからの「江口寿史って人のイラストかわいいな。本人おじいちゃんなのに可愛い女の子描く」というつぶやきに反応。そして、「あのね、おじいちゃんなのに、じゃないんだよ。この歳になってからこんな絵描きだしたわけじゃないし。おれは20代からずーっと同じことを続けてるだけ。」と、21歳でデビューしてから現在の65歳になるまで「漫画家・江口寿史」を続けてきただけだと反論した。

あのね、おじいちゃんなのに、じゃないんだよ。この歳になってからこんな絵描きだしたわけじゃないし。おれは20代からずーっと同じことを続けてるだけ。歳が60過ぎ=おじいちゃんという見方は君が若いから仕方ないけど。人間物理的な歳だけじゃないってこと。あなたが60歳になった時に思い出してね。 https://t.co/RiUl5Y3uJn

— 江口寿史 (@Eguchinn) October 19, 2021

さらに江口さんは、その事例として「ここで一緒に語るのは畏れ多いけど、細野晴臣や山下達郎や矢野顕子はいまだに細野晴臣で山下達郎で矢野顕子で、おじいちゃんやおばあちゃんがこんな音楽を、とは全然思わないね。」と、近年、海外で「シティ・ポップ」という名で呼ばれている、70〜80年代に日本で発表された「海外のカルチャーに憧れを抱き、都会やリゾートでのライフスタイルを求める若者文化を背景にして生まれた和製ポップス」の音楽家たちを(畏れ多いと前置きしながら)引き合いに出して、作品に年齢は関係ないことを強調してみせた。

おれは21歳でデビューした時から江口寿史で、65歳になった今でも江口寿史というだけの話。長くやってる人はみんなそう。ここで一緒に語るのは畏れ多いけど、細野晴臣や山下達郎や矢野顕子はいまだに細野晴臣で山下達郎で矢野顕子で、おじいちゃんやおばあちゃんがこんな音楽を、とは全然思わないね。

— 江口寿史 (@Eguchinn) October 19, 2021

そこで気になるのが、なぜ江口さんが、他の漫画家ではなく、あえて細野晴臣や山下達郎や矢野顕子など「シティ・ポップ」の音楽家たちを引き合いに出して反論したのか、だ。

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実を言うと江口さんは、自他ともに認める「シティ・ポップ」ファンとして有名で、「シティ・ポップ」の金字塔として名高い大瀧詠一(2013年他界)の1981年のアルバム『A LONG VACATION』(ロンバケ)発売40周年記念のポスター・イラストも今年に手がけている。

大瀧詠一さんの言わずもがなの名盤『A LONG VACATION』40周年記念のトリビュートイラストを描かせていただきました。なんたる光栄。 pic.twitter.com/REHyfdqhaX

— 江口寿史 (@Eguchinn) February 26, 2021

江口さんはロンバケ40周年ポスターを手がけた際のコメントとして、以下のように語っている。

「25歳になろうとしていた1981年の春に出た『A LONG VACATION』。買ったその日から、本当に毎日毎日ぼくはこのレコードを聴いていました。人生であんなにターンテーブルに乗せたレコードはないかも。毎週毎週〆切りに追われながらギャグ漫画ををひねり出す日々のオアシスでした。」(ソニーミュージック『A LONG VACATION』40周年記念公式サイトより)

ここでの江口さんのイラストは、まさにイラストレーター・永井博が「ロンバケ」のジャケットに描いたプールサイドに近い、ビーチへの小径のようにも見える。音楽とジャケットデザインへのリスペクトが見て取れる美しいポスターだ。

また、1979年に自主制作のアルバム1枚しか残さなかった幻の「シティ・ポップ」バンドとして知られる「so nice」の初アナログシングル『光速道路』のジャケットにイラストを描き下ろしている。

so nice×江口寿史『光速道路 Tシャツ』
5月27日発売決定!!
カラ元気出してみても、気持ちの底の方に鬱鬱とした空気が澱んでる。今はみんなそうだよね。これが発売される頃には少しでも光が見えてたらいいですね。 pic.twitter.com/sotbrOLeiN

— 江口寿史 (@Eguchinn) April 14, 2020

さらに、今年3月3日に発売された雑誌『東京人』(都市出版)の「シティ・ポップが生まれたまち。1970-80年代TOKYO」と題した特集号の表紙イラストを手がけ、コラムも執筆するなど、近年は「シティ・ポップ」関連の仕事も数多い。

【次号予告】「東京人」2021年4月号は、シティ・ポップ特集。表紙は江口寿史さん描き下ろし! 松本隆/松任谷正隆/牧村憲一/井上鑑/オノ セイゲン/飯尾芳史/音響ハウス/ビクタースタジオ/レコード会社の方々らの証言を集めた、シティ・ポップ黎明期の記録。スカート・澤部渡さんも登場。3月3日発売です pic.twitter.com/nEJUlaikU9

— 月刊「東京人」 (@tokyo_jin_toshi) February 22, 2021

私たち40代から50代にとって、江口さんといえば「ひばりくん」やファミレス「デニーズ」のメニューイラストなどでもお馴染みだが、その色褪せない「都会感」は、まさに「シティ・ポップ」の音楽にぴったりくる。

今回の「おじいちゃん」指摘への反論に、細野晴臣や山下達郎、矢野顕子を例に出したのも納得だ。もしもTwitterにもう少し文字数があれば、きっと山下の妻である竹内まりや、山下とバンド「シュガー・ベイブ」を組んでいた大貫妙子らの名前も挙げていたに違いない。

65歳という年齢は現実だが、江口さんをはじめ「シティ・ポップ」の音楽家たちの作品に年齢は感じられない。いつまでも普遍的な作品を作り続けてほしいと願うばかりだ。

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