17日、就任後初の施政方針演説で岸田文雄首相は、自身が掲げる「新しい資本主義」について言及。具体的な中身が見えてこないとの指摘を払拭することはできたのでしょうか。1月13日に創刊したばかりのメルマガ『室伏謙一の「霞が関リークス」増刊号』では、著者で国会議員、地方議員の政策アドバイザーを務める室伏謙一さんが、演説内容に岸田政権らしさがないと指摘。その中で明言した「四半期開示の見直し」すらも、どこをどう見直すのか示されず、問題点を理解していないのだろうと呆れています。

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岸田総理は四半期決算を見直す気はない?──施政方針演説から考える

今週から通常国会が始まりました。少々始まりが早いのは、今年の夏、参院選があるからで、会期の延長も難しいというか、事実上不可能だからでしょうね。5月後半以降は完全に参院選モードに入りますから、通常国会は6月15日までの150日間と言っても、政府提出法案数も限定するのでしょうし。

さて、国会開会冒頭に行われるのが、政府4演説です(勿論その前に、天皇陛下の御臨席の下、開会式が行われますが)。政府4演説とは施政方針演説、財政演説、外交演説、そして経済演説です。このうち総理が行うのが施政方針演説で、これは通常国会の時のみ行われます(臨時会では所信表明演説。なお、臨時会引き続き常会という流れを採った平成25年の通常国会、民主党から自民党に政権交代した時の国会ですが、この時は、まず所信表明演説をやって、その後本予算の審議に合わせて施政方針演説が行われました)。

その施政方針演説ですが、今回これを行ったのは、当然、岸田総理です。ではその中身はと言えば、「新しい資本主義」といった言葉こそ踊れど、新規性に欠ける、岸田政権らしさに欠ける、安倍政権的、菅政権的な事項が無造作に並べられているだけでした。

唯一岸田政権らしさが出たものがあると言えば、「人への投資」の観点から、四半期開示の見直しを明言したことぐらいでしょうか。これでさえも、四半期「決算」と言わず四半期「開示」という言葉を使い、その見直しの方向性も全く示されませんでした。単に見直し、しかも「開示」の見直しということであれば、四半期ごとに決算を開示する義務を止めるのか、開示の方法を変えるだけなのか、開示内容をより厳格化するのか、いくつかの方向性が考えられますし、それによって影響・結果も全く異なります。

そもそも、この前段で述べているのは、「人的投資が、企業の持続的な価値創造の基盤であるという点について、株主と共通の理解を作っていくため、今年中に非財務情報の開示ルールを策定します」ということ。つまり、四半期開示においては非財務情報も含めて開示せよという話になることも考えられるわけです。

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だいたい、なぜ四半期決算が問題なのかと言えば、これが企業の短期主義経営を助長しているからです。しかし、岸田総理の施政方針演説ではこうした短期主義の問題には触れられていません。ということは、短期主義を助長する株主資本主義は維持しつつも、非財務情報も開示させるようにすれば、人への投資、つまりは賃上げという観点からは多少は改善されるだろう、そういう考え方、話なのではないかと思われてしまいます。

要するに、というかやはり、岸田政権は「新自由主義からの転換」を本気で考えておらず、新自由主義の問題点を理解できておらず、なぜ日本経済が成長できず、デフレのままなのかについても正しく理解できていないということのように思います。だから「新しい資本主義」と言いながら、その中心はデジタル田園都市構想なのだと、頓珍漢な話になってしまうのでしょう。

人の話を聞く岸田総理、聞きすぎて飽和状態になってしまっているというか、こんがらがってしまっているのかもしれませんね…。

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image by: 首相官邸

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