安倍元首相銃撃事件により、にわかに注目されることとなった政治と宗教の関係性。そのような中にあって、口をつぐまざるをえない状況に置かれているのが公明党です。今回のメルマガ『国家権力&メディア一刀両断』では著者で元全国紙社会部記者の新 恭さんが、公明党と創価学会のつながりを改めて振り返るとともに、元公明党所属議員が明かした、創価学会による数々の「好ましからざる行い」を紹介。さらに自公政権に対して、旧統一教会のみならず創価学会との関係についても問い直すべきとしています。

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統一教会と自民の癒着に公明党がノーコメントの深いワケ

公明党の山口那津男代表は7月19日、政治と宗教の適切な関係性を記者に問われ、「コメントは控えたい」と語った。

その理由は「捜査が進展中なので状況をしっかり見極めたい」ということだった。つまり、答えたくないのである。

質問の趣旨は、公明党の母体である創価学会の票を自民党があてにし、自公が政権を握っている日本の政治について、コメントしてほしいということだろう。統一教会の問題を背景にした質問なのは言うまでもない。

山口代表にとって、この時期、いちばん嫌なテーマだろう。JBpressの「舛添直言」で、国際政治学者、舛添要一氏は自民党の政治家だった経験をもとに、こう書いている。

1999年10月から2009年9月まで、2012年12月から今日まで、20年間にわたって自公政権が継続しているのである。その間、自民党は足腰が弱くなり、公明党の支援なしには勝てなくなってしまった。禁断の実を食べてしまったようである。公明党は、宗教団体である創価学会を母体とする政治団体である。したがって、「政治と宗教」というテーマは、ある意味でタブーになっている。このテーマについては、自公連立政権下では沈黙を余儀なくされるようになっている。

山口代表が口をつぐんだのは、そういうことだ。創価学会は公明党を支配することによって、政権を動かしている。だが、公明党が連立政権入りするまでの道は平坦ではなかった。とくに1970年から80年代にかけて、創価学会は公明党幹部を政治工作にあたらせることで、生きながらえていた面がある。

公明党の政治家として30年間を過ごし、党委員長までつとめた矢野絢也氏は著書『闇の流れ』(2008年発行)のなかで、次のように書いている。

私の在職中には公明党首脳人事は池田氏の意向で決まっていた。議員の公認も形式的に選挙委員会を開いているだけで、ほぼ100%学会が決めていた。今はもっと学会支配が強まっていると思う。太田昭宏代表も池田名誉会長に壇上から声をかけられると直立不動になるのだから、党の最高幹部ですらマインドコントロールされていることが明白である。

矢野氏は政治や学会関係について内幕を書きためた100冊近い手帳を大切に持っていた。ところが、元公明党国会議員3人に家探しされ、持ち去られたため、返還訴訟を起こすとともに、2008年6月、日本外国特派員協会で会見した。

矢野氏は書記長だった時期に自ら関わった工作として、言論出版妨害事件、月刊ペン事件などをあげた。

1970年の言論出版妨害事件は、政治評論家、藤原弘達氏が書いた暴露本『創価学会を斬る』の出版差し止めを当時の田中角栄・自民党幹事長に依頼したものだ。田中幹事長の働きかけは実らず、暴露本が出版されたため、聖教新聞社、潮出版社の関係者や創価学会員らが取次店や全国の書店を回って取り扱いの中止や返本を要求する騒ぎになった。

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月刊ペン事件は、75年末から76年4月にかけ「月刊ペン」誌上で、編集長の隈部大蔵氏が池田大作氏の女性関係を暴露。相手とされた多田時子、渡部通子両氏の告訴により名誉毀損罪で隈部氏が逮捕され、一審、二審で有罪になった。

会見で詳細を明らかにすることはなかったと記憶するが、月刊ペン事件について矢野氏は「編集者が逮捕されるという異例なことを、どうしてできたのか、いきさつが手帳に書いてあった」と語った。

矢野氏や顧問弁護士の山崎正友氏らがどのような工作をしたかは、山崎氏の著書に生々しく書かれている。

裁判官や検事に根回しし、警視庁に圧力を掛け、笹川良一氏、陽平氏父子に頼んで、月刊ペン社長と弁護人の懐柔工作を行い、2,000万円を相手側に支払って、池田大作を証人出廷させないまま、隈部大蔵に有罪判決が下るよう司法を曲げる作業の中心者として働いたのだ。もちろん、池田大作の厳命によるものである。

このような工作活動が効力を発揮したとは信じがたいが、矢野氏のメモにはおそらく詳細な記録が残されているのだろう。矢野氏は当時の創価学会について、こう述べた。

「脱会する人に嫌がらせをする。半ば無理やりに、会員を選挙活動に駆り出す。お金集めをやる。海外にはきわめて危険な団体と規定している国もあると聞いております」「これは中傷ではない。これを教訓に、正しい宗教団体になっていただきたい」

「政治と宗教」タブーは、報道の世界にも見られる。安倍元首相襲撃事件の後、大メディアが警察発表そのままに統一教会の名を伏せて容疑者の供述を報じていたことは、その顕著な実例だ。警察の政権に対する忖度をメディアまでが見倣う必要はない。

もとをただせば、統一教会は反共団体である「勝共連合」を日本につくったことにより自民党と結びついた。その点では創価学会・公明党よりはるかに自民党との身内意識が強いかもしれない。

自民党のなかでもとりわけ統一教会とのかかわりが深いのは、「勝共連合」の最大の協力者、岸信介氏の流れをくむ派閥「清和会」(安倍派)である。

第一次安倍政権で首相秘書官をつとめた同派閥の井上義行氏が統一教会の全面支援を受け今回の参院選に当選したことは多くのメディアで報じられているが、同じく安倍派のメンバーである参院議員、北村経夫氏もまた、統一教会との異常に近い関係が明らかになっている。

北村氏が立候補した2013年夏の参議院議員選挙直前、統一教会が全国の信者に以下のような内部通達を出したことをジャーナリスト、鈴木エイト氏が報じている。

全国区の北村さんは、山口出身の政治家。天照皇大神宮教(「踊る宗教」とも)の北村サヨ教祖のお孫さんです。首相からじきじきにこの方を後援してほしいとの依頼があり、当落は上記の『踊る宗教』と当グループの組織票頼みですが、まだCランクで当選には遠い状況です。参院選後に当グループを国会で追及する運動が起こるとの情報があり、それを守ってもらうためにも、今選挙で北村候補を当選させることができるかどうか、組織の『死活問題』です

なんと、当時の安倍首相が統一教会にじきじきに北村氏への後援を依頼してきたというのだ。しかも、統一教会が国会で追及される恐れがあるので、それを防ぐためにも北村氏を当選させる必要があるという。統一教会と政治権力の持ちつ持たれつの関係がこの文面で露骨に明かされているではないか。

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安倍元首相襲撃事件の後、ANNの取材に対し、自民党の青山繁晴参院議員が統一教会と自民党について、こう語っている。

非常に信頼している良心的な議員から話があった。『自身が所属する派閥の長から現状では今回の参院選で当選圏内に届かない恐れがあるから旧統一教会の票を割り振りたいという話があり、それを断った』と。その方の派閥の領袖(りょうしゅう)は『自分が断った分の票を他の議員に割り振ったようだ』と

この“派閥の長”に事実を確認したところ、こんな答えが返ってきた。

『旧統一教会の丸抱えで当選させようとしているのではなく、業界団体が抱えている票自体が減っているからそれだけでは当選できない』と

“派閥の長”が誰なのかは定かでないが、青山氏は「安倍さんに諫言したかった」とも語っており、推して知るべし、かもしれない。

南都北嶺の僧侶たちがそうであったように、宗教組織が権力を持ちたがるのは世の習いだ。明治憲法の復活を唱えた「生長の家」創始者・谷口雅春氏の教えを源流とする政治運動体「日本会議」は元来、宗教色が強く、その役員に神道や新興宗教の関係者が多いことに留意したい。

このように考えをめぐらせると、自公政権は宗教勢力に取り囲まれて身動きできない状態のように見えてくる。

憲法20条は信教の自由を保証しており、誰がどんな宗教を信仰しようと自由である。しかし同条は「いかなる宗教団体も、国から特権を受け、又は政治上の権力を行使してはならない」と定めている。

政権に働きかけ、警察の捜査や行政の規制を逃れるのは「国から特権を受け」ることと同じではないのだろうか。これを機に自公政権は、統一教会はもちろん、創価学会との関係についても、問い直すべきである。

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