性的マイノリティーや女性への差別発言を繰り返す自民党の杉田水脈議員に再び批判が集まっています。杉田氏は総務政務官の就任記者会見で「過去に多様性を否定したことはない」とシラを切り、「#杉田水脈氏の総務政務官起用に抗議します」のハッシュタグが拡散するなど大炎上。これに関してメルマガ『 デキる男は尻がイイ−河合薫の『社会の窓』 』の著者で健康社会学者の河合薫さんは、「岸田首相は聞く力を自らの強みとしたのに、その『耳』はどこに向いているのか?」として、杉田氏のような問題人物を要職に起用した意図を国民に説明すべきだと指摘しています。

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歩く日本の恥。杉田水脈ヘイト発言の数々

第2次岸田内閣発足から1週間。連日報道される“問題”に、ほとほとあきれる日々が続いています。

岸田首相は、どこに向かおうとしているのか?聞く力を自らの強みとしたのに、その「耳」はどこに向いているのか?

旧統一教会と自民党議員のズブズブぶりにも、驚かされていますが、過去に性的少数派をめぐって、耳を疑うような差別発言をした人たちが起用されていることが私には全く理解できません。

総務政務官に起用された杉田水脈氏は、2018年月刊誌で、同性カップルについて「彼ら彼女らは子供を作らない、つまり『生産性』がない。そこに税金を投入することが果たしていいのかどうか」との疑問を投げかける文章を寄稿。

さらに、2020年9月25日に行われた自民党の部会の合同会議で、女性への性暴力などに関して「女性はいくらでもうそをつけますから」と発言しています。

どちらの発言も、批判と抗議の声が相次いだので、知らない人はいないはずです。

また、文部科学副大臣に起用された簗和生氏は、昨年5月の自民党の会合で、性的少数派に対して「生物学上、種の保存に背く。生物学の根幹にあらがっている感じ」と述べたと報じられています。

「差別したことない」反省なき記憶喪失

杉田氏は15日の就任記者会見で、「過去に多様性を否定したこともなく、性的マイノリティーの方々を差別したこともない。岸田政権が目指す方向性と政務官として何一つずれている部分はない」と発言。

梁氏は「政治家個人の活動である党の会合の内容へのコメントは控える」と、報道陣
に語ったそうです。

問題になった発言は、どちらも過去の発言です。岸田首相は、「統一協会と関係を今後いっさい断つ人を起用する」と豪語していましたから、こういった差別発言も「今後はいっさいしない人を起用した」ということなのでしょうか。

しかし、第1次岸田内閣が発足した昨年10月4日、岸田首相は、「一人一人の国民の声に寄り添い、その多様な声を真摯に受け止め、かたちにする、信頼と共感を得られる政治が必要である」と述べていました。

そして、今回発足した内閣を岸田首相は「有事に対応する政策断行内閣」と命名。

有事も大切ですが、足元の国民は?「国民を守る」という言葉を、政治家さんたちは好んで使いますが、「性的少数派の人たちを守る」ことについてはどう考えているのでしょうか。

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岸田首相の「聞く力」はどこに消えた?

個人的な話で恐縮ですが、私は長年LGBTの方たちと共同で行っているHIVに関する調査研究に関わってきました。

そこでわかったのは、「何が偏見になってしまうのか、何が彼ら彼女らを傷つけてしまうのか、わからない」ということでした。

例えば、一般的に性的マイノリティに対して、「LGBT」というワードが使われていますが、L=レズビアン、G=ゲイ、B=バイセクシャル、T=トランスジェンダー以外にも性的マイノリティはいるので、LGBTと一括りにしてしまうことで「見えなくなってしまう」問題がある。世界では、女性、男性、LGBTに属さない人たちがいることから、「LGBTQIA+」「LGBTs」という言葉を使うのですが、これは「あなたたちのこともちゃんとわかってます!」というメッセージでもあります。

同じ「L」、あるいは「G」などであっても、生きづらさを感じる局面は多種多様。当事者の人たちに関われば関わるほど、何が問題かが、わからなくなってしまうのです。

理解できたと思ったようなことが、一瞬にして打ち壊される経験を何度もしました。「傷つけたくない」と思えば思うほど、意図せず傷つけてしまうことに敏感になり、「どうすればいいですか?教えてほしい、聞かせてほしい」と、ぎこちなくなる。

私は本当に寄り添っているのか? 私の理解で本当にいいのか? 自分が本当に偏見をもっていないのか? と、不安だらけです。

でも、そのぎこちなさや不安があるからこそ、色々と話してくれたりもするわけです。そして、深いところで理解できなくても、「知りたい、傷つけたくない」という気持ちが相手に伝わることで、「差別の輪郭」がおぼろげに見えてきます。制度や政策の不備に気付かされるのです。

政治に必要なのは、「わからない」という謙虚さではないでしょうか。聞く力とは、こういう問題でこそ求められている。

すべての人に「幸せになる権利」があるのですから、「差別は絶対に許さない」という断固たる姿勢を明確にし、そのための法整備をする。それが政治家の仕事です。

岸田首相は旧統一教会問題に対して、一貫して「政治家が自らしっかり説明する」との方針を示していますが、ここでの「しっかり」とは何か?

差別発言のあったお二人を起用したことについて、岸田首相にしっかりとお話ししてほしいです。

みなさまのご意見、お聞かせください。

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image by: 首相官邸ホームページ

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