隣国中国との関係を改善したくても、アメリカの意向により難しい立場が続く日本。岸田首相はG20の期間中に党大会を終えた習近平国家主席との首脳会談を望んでいるようですが、実現するかは微妙なようです。メルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』著者で、国際政治経済学者の浜田和幸さんが、台湾支援の姿勢を色濃くするアメリカの動きに追従するばかりで、軽く扱われる岸田政権の現状を伝えています。

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共産党大会を乗り切った習近平主席は岸田総理の会談希望をスルー?

ぶっちゃけ、岸田政権は北朝鮮や中国、ロシアから相手にされないのみならず、アメリカからもまともな扱いを受けていません。

米中対立関係の長期化や台湾海峡情勢の緊張化が高まる中、日本とすればシーレーン防衛やサプライチェーンの維持のためにも、中国との関係改善は避けて通れない課題です。

一方、アメリカはペロシ下院議長を皮切りに、超党派の議員団を相次いで台湾に派遣し、台湾支援の姿勢をアピールしています。特に、ポンペオ元国務長官は度重なる台湾訪問を通じて、米台軍事連携の強化と米国製軍備の売り込みに熱心です。

アメリカの軍需産業にとっては「台湾有事は武器弾薬の売り込みチャンス」となっており、そのおこぼれは日本企業にも及んでいるようです。

日本の総合商社は米国製の小型無人潜水艇の台湾への輸出に関わってきました。加えて、日本の陸上自衛隊のOBのみならず、本年より海上自衛隊の現役自衛官が台湾に常駐し、米日台の連携調整に当たっています。

ウクライナ戦争に関連しては、中国がロシア寄りの姿勢を見せているため、欧米も日本も対中経済制裁の流れに乗らざるを得ません。

アメリカ政府は中国の中長期的な脅威を認定するようになりました。そのため、日本に対しても対中包囲網の形成に物心両面にわたり協力するよう強く求めてきています。QUADやAUKUSに加え、拡大NATOやファイブアイズへの加入も打診を受けており、岸田政権は前向きのようです。

防衛省内には防衛費を増加させるのであれば、情報収集能力の強化にも重点を置くべきとの意向もあり、パインギャップ米豪共同施設への関与も検討の俎上に上っています。また、アメリカの先端軍事研究を主導するDARPAの日本版を設置し、民間企業や研究機関の持つ民生技術の軍事転用に道を開くべきとの議論も出てきました。

と同時に、日本へのミサイル攻撃を実効的に阻止するためには、新たなミサイル抑止力、すなわち、敵のミサイル発射能力そのものを直接攻撃し、撃退させる能力を保有することも必要との議論が高まってきました。これまたアメリカの軍需産業にとっては願ってもない状況に他なりません。

支持率低下で苦戦中の岸田総理は今月中旬のインドネシアでのG20サミットの機会に習近平国家主席との直接対話の可能性を模索中です。しかし、国内の対中強硬派の動きやアメリカのバイデン政権からの要望を踏まえ、どのような形で日中首脳会談にこぎつけるのか、いまだ暗中模索と言わざるを得ません。

ぶっちゃけ、アメリカの言うなりの岸田総理と会っても成果が期待できないと踏んでいるのが習近平主席のようです。

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image by:lev radin/Shutterstock.com

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