まもなく結果が出る大統領選の話題で持ちきりのアメリカ。しかし、メルマガ『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』の著者でNY在住の猫好き医学博士しんコロさんは、「アメリカ経済」の危機を肌で感じている在米邦人という立場から、その不安定な先行きに本気で警鐘を鳴らしています。これは、「どうせ海の向こうのアメリカのことでしょ?」などと他人事では済ませられない、日本にとって本当に深刻で大きな問題です。しんコロさんは何を懸念しているのでしょうか?

しんコロが懸念していること

僕が今最も心配しているのは、アメリカ経済です。今アメリカ経済がどのような状態かというと、中央銀行がドルを刷ってばらまきすぎて、実体経済にそぐわないバブル市場になっています。

「あー、なんか小難しい話だ」と思われるかもしれませんが、実は僕達の普段の生活にも直接関係していることなのです。しおちゃんたちが毎日安心してごはんが食べられるかどうかにも関わっていることなのです。

中央銀行がお金をばらまくことの何が悪いのか?と思われるかもしれませんが、それを説明するにはアメリカ(日本も同じシステムですが)の政府・中央銀行・金融システムの説明が必要なので小難しい話になってしまいます。だから、そこには深入りせずに、結論を説明するためにいくつか例えを使って話してみます。

今のアメリカ経済は、いわば支柱がグラグラのジェットコースターのてっぺんにいる状態です。しかも、そのジェットコースターの高さは人類が歴史上見たこともない狂気に満ちた高さなのです。どうしてそんなことになったかというと、ジェットコースターを高くする(バブル経済にする)と、一部の富裕層や銀行(これを簡略的に「ウォール街」とも言います)が儲かるからです。しかしこの高さから落ちたら、支柱が折れてしまうかもしれないし、乗客が放り出されてしまうかもしれません。ここでいう「支柱」は実体経済で、工業やサービス産業などの実在する経済活動の強さのことを例えています。一方、「ジェットコースターの高さ」は株価、国債、不動産、そしてアメリカの借金を例えています。難しい話は抜きにしますが、中央銀行がお金をばらまくと、この「支柱」は補強されないのに「高さ」だけがどんどん高くなって不安定になってしまうのです。高くなればなるほど、落ちる時の被害が大きくなってしまうのです。そして、このジェットコースターに乗っているのは銀行の投資家や富裕層だけでなく、見えない形で僕達中流層も乗っているのです。乗っていなかったとしても、ジェットコースターが落ちてくる下に僕達がいるのです。

2008年に「リーマンショック」という経済危機が起きて多くの人が失業し不幸に見舞われましたが、リーマンショックが子供向けジェットコースターだとしたら、今アメリカが乗っているジェットコースターは世界最大級です。しかも、支柱がグラグラでレールからはずれるかもしれないという、なんともおっかないやつです。史上最大の恐怖体験です。

遅かれ早かれ、このジェットコースターは下降に向かいます。これは歴史が証明していて、市場はジェットコースターのように上がったり下がったりするものなのです。下降は2018年頃かもしれないし、今年中かもしれず、それは誰にもわかりません。そして、ここでヒラリーとトランプの意見が大きく違うのです。ヒラリーは「経済はうまくいっている(つまり支柱は丈夫だ)」と言っており、トランプは「経済は最悪だ(つまり支柱が折れるぞ)」と言っています。ヒラリーは「もっとジェットコースターを高くまでもっていこう」というこれまでオバマと中央銀行がとってきた方針を踏襲する姿勢ですし、トランプは逆に悲観的で「現職大統領の時に下降しちまった方がマシだ」と言っています。

今よりもさらにジェットコースターを高くするためには、さらに中央銀行がお金をばらまく必要があります。しかし、そこから急降下した時には被害がより大きくなります。まず株価が落ちてドルの価値が下がります。するとどんなことが起きるかというと、定年退職者の年金が一夜にして吹き飛んでなくなります。短いデフレの後、インフレになってドルの価値が落ちることで中流層が貧乏になることも予想されます。けれども、ウォール街のトップはそれでも儲かります。ここで何が実際に起きているのかというと、中央銀行がお金を刷りまくることは、目には見えないけれども中流層の国民から一握りの政治家や銀行のトップの人たちへ富が移ることでもあるのです。これを「見えない税金」と経済の専門家は呼びますが、そんなことは中流層や一般人は全く気付きません。気付かずうちに、富を奪われてしまうのです。

ちなみに、ヒラリーはウォール街で一回喋るだけで講演料として平均2500万円ほど稼ぐのですが、それはそれだけウォール街がヒラリーを欲している証拠でもあります。ジェットコースターを高くしてくれた方が、ウォール街は儲かるからです。でも、その支柱が崩れる時は、一般市民が犠牲になります。一方でウォール街は崩れることを知っているので、その時にはうまく逃げちゃうのです。しかし、一回しゃべって2500万円ですよ!しおちゃんがしゃべることの方がよっぽど珍しいのに!しおちゃんは無料でしゃべるどころか、幸せを与えてくれます(笑)。

話がそれました。ではトランプが大統領になったらどうなるでしょう?トランプは崩れそうな支柱のことは指摘していて、中央銀行がお金を刷りまくっていることを「政治的だ」と批判しています。少なくともアメリカ経済に関して本当の状況を語ってはいるのですが、彼もこのジェットコースターが下降するのを止めることはできないし、すでに支柱はグラグラです。次期大統領が誰であれ、遅かれ早かれジェットコースターは落ちます。そして、我々中流層が犠牲になります。

皆さんもニュースなどで見たことがあると思いますが、実は日本も借金大国で経済はかなり危ない状況です。かろうじて崩壊しないのには(ここでは割愛しますが)日本ならではの理由がいくつかあります。しかし、アメリカ経済が崩れたら、なし崩しに引きずり落とされるのは間違いありません。それくらい、今アメリカにあるジェットコースターは他国も巻き込むほど、とんでもない「モンスター」になっているのです。しかし、ウォール街もマスコミもそんなことは言いません。分かっているのですが、もう少しパーティー(儲かること)を続けたいので、本当のことを言わないのです。言わずに、いざという時に避難する準備だけ整えているのです。

ということで、僕個人としてはヒラリー派でもトランプ派でもありませんが、このアメリカ経済をどうにかするのが急務だと思っています。ヒラリーは「中間層を繁栄させる」と述べてはいますが、もし彼女がこれまでの金融政策を引き継いだら結果は悲惨になると思いますし、実際彼女もそれは分かっているはずです。僕にはヒラリーがウォール街を優先していて中間層を軽視しているとしか思えないのです。それだけに信頼ができないというのが僕の見方です。一方、トランプは事実を指摘しているけど、彼にはどうにもできないだろうなぁ、といった印象で見ています。彼のような気性の人が大国のリーダーになって大丈夫か、という心配にも同意できる部分があります。

ということで、日本のメディアではあまり目にしない意見だと思いますが、そんなことが起きているのか〜と少しでも意識してアメリカ大統領選の行方をみていただけたらと思います。

やっぱり、しおちゃん大統領がいいんだよなぁ…。

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『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』

著者:しんコロ

ねこブロガー/ダンスインストラクター/起業家/医学博士。免疫学の博士号(Ph.D.)をワシントン大学にて取得。言葉をしゃべる超有名ねこ「しおちゃん」の飼い主の『しんコロメールマガジン「しゃべるねこを飼う男」』ではブログには書かないしおちゃんのエピソードやペットの健康を守るための最新情報を配信。

出典元:まぐまぐニュース!