日本でもよく耳にする集合住宅の騒音問題ですが、韓国ではこうしたトラブルが殺人事件に発展するなど、事態は深刻なようです。今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年を超える日本人著者が、韓国で「層間騒音」と呼ばれる騒音トラブルついて解説するとともに、ネットに投稿されたというユニークな「解決例」を紹介しています。

層間騒音

マンションやアパートで、上の階の騒音がうるさくて問題が発生することが韓国ではたびたびある。殺人事件にまでなることもあり、人々の関心は大きい。この問題をこちらでは「層間騒音」(チュンガン・ソウム)といっている。

ネットで日本では何と言っているかと思ってググってみたけど、単語として使われているものはないようだった。どちらかというと、日本の場合は、隣近所とは仲良く暮らして行こうとする心理が強く働いているため多少の音でも我慢して、とやかく言わないというスタンスが普通ゆえ、これを表す単語がないのだろうか。

韓国も勿論、隣近所とは仲良くやっていこうとする心理は強い。しかしまた、子どもがばたばたと走ったり、オトナがかかとの音をガンガンいわせながら歩くということもよく見かけられる。ケンチャナヨ精神(それくらい大丈夫さ)かもしれないが、これがもとで殺人事件にまでなることもあるから、お互いを配慮する気持ちは大切だ。

「層間騒音」などという単語が立派に辞書に登録されているのを見ると、やはり韓国ではこの問題は重大関心事となっていることがうかがえよう。

さてこの「層間騒音」問題である。あるネット投稿に載っていた実話である。Aさん家族が下の階で、Bさん家族が上の階だとしよう。Bさん宅には幼い子どもが2人いて、いつも朝からドタバタしている。我慢の限界にきたAさんは、マンションの管理員を介して苦情を訴えた。するとBさんはすまないと謝ったあとで、幼い子どもたちなので活発に歩いたり遊んだりするのは大目に見てほしい。ただし、1日1万ウォン(だいたい1,000円)として、月に30万ウォン(3万円くらい)を支払うということで、Aさんとは話し合いがついた。

これで話が終われば、ああそうかということなのだが、このあとがちょっとおもしろい。

Bさんと月30万ウォンで話のついたあと、上の階から聞こえる音がAさんには騒音には感じられなくなった、というコメントが書いてあったのである。おそらく、幼子たちの歩く音は、それまでと同じものなはずだ。しかしAさんの気持ちがすでに変化している。30万ウォン手に入ると思うと、我知らず騒音も「うるさい」ではなく「心地よい(あるいは気にならない)」と感じられるようになったわけであろう。

この話を読んで筆者も感じるところ大だった。要は気持ちの持ちようなのだ。30万ウォンはなくても、ちょっとした気持ちの持ちようで、頭にくることにもなり、なんでもないことにもなる。

日本でも2007年ごろに、ある民事裁判で原告が勝って30万円の慰謝料を被告が払うというものがあったようだ。原告は老夫婦で上の階の音がうるさくて不眠症などの健康被害が出た。どうしようもなく証拠を集めて裁判に訴えて勝訴したということのようだ。

層間騒音が原因で殺人事件にまでなったケースが日本でもあるかどうかはわからないけど、層間騒音の単語がないことから見ても、それほどひどいケースはないのかもしれない。日本人のマイルドな面の現れなのかもしれない(韓国は客観的にみて「過激」といえる)。

袖振り合うも多生の縁というではないか。同じマンション、同じアパート、同じ団地に住むことになる人々とは仲良く暮らしてゆきたいものである。

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