最近、毎日のようにネットやテレビで報道される、中国政府によるウイグル人の虐殺および性被害のニュースですが、特に欧米を中心に非難の声が高まっています。こうしたウイグル人などへの弾圧について、かつての毛沢東時代を想起させると語るのは、メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』の著者で台湾出身の評論家・黄文雄さん。黄さんは毛沢東時代と習近平政権の共通点として「収容所」というキーワードをあげ、いつの時代も独裁化した中国共産党による人権弾圧は中国の人々を苦しめるだけだと批判しています。

【中国】いまも昔も「収容所」が中国の文化

● 中国、性被害証言「うそ」 ウイグル女性の写真手に非難

中国政府がウイグル人を集団虐殺したとか、ウイグル自治区の収容施設内でウイグル人の女性たちが組織的にレイプされているなどといったニュースが、最近は毎日配信されています。

これらのニュースが出るのは、だいたいが欧米のメディアです。欧米のメディアが被害者の証言を取り上げ、欧米の政府が中国を非難するといった現象が起きています。

もちろん、中国政府はそんなことを認めるわけもなく、外務省の報道官が記者会見で、証言者の一人の写真を手に名指しで「嘘つき」呼ばわりしています。

報道官は、証言者の女性の写真を手に、「米国で(反中)勢力の訓練を受けた後に説明を変えた」「中国を中傷し攻撃するための役者にすぎない」と、主張しました。

英BBCの報道によれば、中国はさらにこんなことも言っています。以下、報道を一部引用します。

「BBCは3日、収容施設で警官や警備員らから組織的にレイプや性的虐待をされたとする女性収容者たちの生の証言を報じた。

これに対し中国外務省は、BBCの報道を『間違った報道』とし、告発内容は事実ではないと述べた。

同省の汪文斌報道官は、『女性に対する組織的な性暴力や性虐待はまったくない』と話し、中国国内のすべての施設は人権ガイドラインに沿って運営されていると説明した。

さらに、『中国は法治国家であり、人権は憲法で保障され守られている。そのことは法制度に盛り込まれており、政府はその法制度の下で機能している』と述べた」

● ウイグル女性、収容所での組織的レイプをBBCに証言 米英は中国を非難(BBC日本語版サイト)

欧米が、こうして中国の人権問題に集中砲火を浴びせているのは、世界に関して中国に主導権を握らせないためかもしれないし、来年の冬季北京五輪ボイコットや開催地変更を目論んでいるのかもしれないと、一部の評論家は言っています。

確かに、道徳的な問題ならば、世界各国に有無を言わさず同調させる圧力を含ませることはできるかもしれません。そうして中国を孤立させ、弱体化させ、欧米中心の世界秩序を維持しようとしている側面もあるでしょう。国際力学は武力ではなく知力で左右されるものです。

話をウイグルに戻しましょう。彼女たちの証言の真偽はともかく、ウイグルで人権弾圧が行われているのは事実です。ウイグルのみならず、チベット、モンゴル、香港人、台湾人、さらには漢人社会であっても、中国では人権が尊重されないことは、もはや世界の常識となっています。

それは今にはじまったことではありません。私は、習近平が独裁者として君臨しようとすればするほど、毛沢東を連想してしまいます。毛沢東は、今では「最終的には中国史上最も悲惨で壊滅的な人災をもたらした人物」との評価もあります。

毛沢東の人災は、1956年の「百花斉放、百家争鳴」からはじまりました。中国共産党に対する意見を何でも言っていいという運動です。公に共産党を批判できるのです。

知識人たちは、我先に様々なことを言いました。その直後、毛沢東は手のひらを反して、共産党を攻撃する右派を粛清する「反右派闘争」をはじめ、多くの人が再教育収容所に送られました。

そして「大躍進」政策を取った毛沢東は、その政策名とは裏腹に中国を疲弊させることしかできず、その結果、大飢饉や産業衰退などを招きました。この飢饉で亡くなった人の数は4500万人とも言われています。さらに続く文化大革命により、中国は大きな痛手を負ったのでした。

かつても今も、キーワードは「収容所」。中が見えない塀の中で、多くの人が命を落とす。過去に実例があるだけに、ウイグルでも同じことが繰り返されているということは、容易に想像できます。

中国の人権侵害はウイグル自治区だけに限りませんが、このままでは独裁者と化した習近平は、毛沢東のように中国に大きな人災を招き、中国の人々を苦しめるだけでしょう。

 

kousyoei20210128
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