先日掲載の「次は沖縄か?『古来より中国の一部』と認定された土地が迎える悲惨な未来」でもお伝えしたとおり、沖縄併合を狙っているとされる中国。習近平政権は、世界から批判を浴びることが容易に想像できる沖縄侵攻を、どのような「理屈」の下で進めようとしているのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、現在の中国が行なっていると目される「歴史の復仇」について詳しく解説。香港の実質的併合でアヘン戦争の仇討ちを終えた中国が次に起こす行動は日清戦争の復仇であり、沖縄の領有権を主張してくることは明らかであるとの見方を記しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年7月7日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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【中国】中国の台湾・尖閣侵略は日清戦争の復仇、だから次は沖縄が危ない

● 麻生副総理の“台湾侵攻”発言に 中国抗議「介入許さない」

7月6日、麻生太郎副総理兼財務大臣が自身の政治資金パーティでの講演で、台湾に中国が侵攻した場合、集団的自衛権を行使できる「存立危機事態」にあたる可能性があるという認識を示しました。

これに対して、中国の趙立堅報道官は、強烈な不満と断固たる反対を表明し、「いかなる方法を持ってしても、台湾問題に介入することを許さない」と牽制しました。

台湾でもこのニュースは大きく報じられましたが、もう少し詳しく伝えています。「自由時報」は、麻生副総理の言葉は「日本の新戦略」であり、麻生氏は「日本とアメリカが共同して必ず台湾を防衛する」と強調したと報じています。

● 日副相指應與美一同防衛台灣 中國:嚴正抗議

台湾メディアが台湾防衛を「日本の新戦略」と報じたのは、麻生氏の発言について問われた岸信夫防衛大臣が、「いかなる事態で存立危機事態にあたるかは、実際に発生した個別具体的な状況から総合的に判断する」と説明しながらも、麻生氏の発言は政府の考えを踏まえたものだと認めたからです。

● 岸防衛相「集団的自衛権の行使は個別具体的状況で判断」

「自由時報」によれば、趙立堅報道官は、「日本の特定の政治家が現在も台湾のことを懐かしんでいるのは、歴史から深い教訓を学んでいないからだ」と発言したそうです。しかし、中国が台湾のことに口を出すほうが、歴史を無視した行いでしょう。

この麻生氏の発言は中国にとって非常に癇に障ったようで、人民日報系「環球時報」の主筆である胡錫進氏は自身のウェイボーに、人民解放軍の将軍の話として、「もし日本の自衛隊が参戦してきたら、解放軍は自衛隊を消滅させる。また、日本にある自衛隊基地を攻撃する権利を持つことになる」というコメントを掲載したそうです。

一方、台湾の外交部は「台湾は同じ価値観を持つ国々と、台湾海峡の安定を守っていく」と表明するにとどめ、個別の評論はしなかったようですが、基本的には日本の姿勢を歓迎しています。台湾のネットでも肯定的な反応が多く見られました。

南シナ海は世界の石油や天然ガスなどのタンカーの3分の1が通過しており、とくに日本の場合はほぼ100%がこの地域を通っています。それだけに、台湾海峡が中国に支配されるようになれば、日本経済にとって死活的な問題になります。したがって、台湾有事は日本にとって他人事どころか、自国の経済安全保障にとってきわめて重要な問題なのです。

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日本のメディアでは、麻生氏が「台湾有事の際にはアメリカと日本が守る」と言ったことは伝えず、伝えたとしても、「台湾有事が日本の存立危機事態にあたる可能性を示唆した」という程度です。

邪推すれば、「台湾が危機に陥った際に日米が守る」という表現だと、多くの日本人が賛同してしまう可能性があるため、わざわざわかりにくい伝え方をしているのではないかと疑ってしまいます。

加えて、多くの日本メディアが伝えなかったのが、このときの講演で麻生氏は「台湾の次は沖縄」と発言したことです。なぜか極左新聞とされる「沖縄タイムス」だけが報じました。これも重要な認識です。

これまでのメルマガでもお伝えしてきましたが、中国は沖縄の帰属について、「歴史的に未解決」と言い始めており、2013年5月の人民日報では、「琉球は明と清の時代、中国の属国だった」という社会科学院の研究者の論文を掲載し、中国の領有権を示唆しました。

● 人民日報「沖縄帰属問題議論を」 中国の領有権示唆

現在の中国は、19世紀〜20世紀の「復仇」を行っていると目されています。2020年7月に香港国家安全維持法を施行し、「一国二制度」を事実上破棄、香港から自治権と民主主義を奪い、中国化したのは、アヘン戦争でイギリスに香港を取られたことへの復仇でもあるのです。

7月1日に行われた中国共産党100周年記念の式典で、習近平国家主席は「我々は中国に対する虐待、抑圧、支配を絶対に許さない」と述べましたが、これもかつて列強との戦いに敗れ、領土割譲などの屈辱にあったことを意識してのことでしょう。

そもそも習近平が総書記就任直後から掲げた「中華民族の偉大なる復興」自体が、過去の屈辱をそそぐという意味が込められていました。

そして香港はいまや中国への同化が進んでおり、アヘン戦争への復仇を果たしました。では次はなにかといえば、日清戦争への復仇です。

日清戦争以前、清は琉球の帰属について、日本の主張を認めていませんでした。しかし、日清戦争に敗れたことで、清は、琉球の帰属どころか台湾を日本に永久割譲させられてしまったのです。加えて、朝鮮半島の独立についても、認めざるをえませんでした。

中国はこれを覆そうとしています。尖閣諸島にしても、中国側は、日清戦争のどさくさにまぎれて、日本が奪ったと主張しています。そのため、尖閣諸島を取ること、台湾を併呑することは、日清戦争の復仇という意味があるのです。

のみならず、朝鮮半島への支配力を高め、さらには沖縄を奪取することも、日清戦争の復仇にあたるのです。そのため、いずれ沖縄の領有権をさらに主張してくることは明らかです。

いずれにせよ、麻生氏の発言は、日本の国益を守るという観点からしても、中国の本質理解からしても、正しいものです。麻生氏というと、なにかと発言が批判的に報じられますが、「台湾の次は沖縄」という危機感は日本人が共有すべきものであり、もっと論じられるべき問題なのです。

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