先日掲載の記事「鶏より早く起き、犬より遅く眠る。中国深センの子供の過酷な現実」では、あまりに過酷な教育事情と少子化との関係を指摘した中国在住の日本人著者・Mochiさんですが、ここに来て明るい変化の兆しが見えてきたようです。Mochiさんは今回の無料メルマガ『出たっきり邦人【アジア編】』で、当局による土日の学習塾の営業禁止令といった大きな変化を紹介。少子化に危機感を募らせた政府の政策の一つに過ぎないだろうとしながらも、家庭内の負担が減る今回の措置に全面賛成の意を示しています。

【関連】鶏より早く起き、犬より遅く眠る。中国深センの子供の過酷な現実

『華南の風』中国・深セン【11】中国の教育に変化

日本ではパラリンピックが終わりましたね。Mochiが勤める会社もスポンサーになった関係で、社内にはオリンピック・パラリンピック関連の仕事をする部署が設立され、色々と準備していたのですが、コロナの関係で無観客になったため、スポンサーに割り当てられた観戦券を使うことも無く終了してしまうようです。

各論あると思いますが無理矢理実行した感があるオリンピックは少なくともコロナで閉塞感漂う世界に一瞬でも明るいニュースを提供できたのではないかと思います。多額の債務とオリンピック絡みの感染者増は深刻な問題で、人権無視の徹底した抑え込みの中国から見たら日本は何もしていないと一緒なのである程度の感染拡大は当然のことだと思います。

さて、以前中国の凄まじい教育事情を書かせて頂きました。今日はそこに変化が表れてきたという明るいお話です。

【関連】鶏より早く起き、犬より遅く眠る。中国深センの子供の過酷な現実

中国の夏休みは地域によって違いますが深センなど短いところで1.5ヶ月、上海など長いところで2か月あります。去年、うちのスタッフの住むマンションから夏休み終了を憂うる中学生が飛び降り自殺した話を聞きました。もちろんニュースにはなりません。知っているのは地域住民だけです。そんなのがニュースになったら後に続く学生が出てきて困ってしまうからですね。それでも深セン市だけでそのようなケースが片手位出たそうで、9月に新学期が始まった時に担任の口から出た言葉に耳を疑ったそうです。

「子供の学力は徐々に変化します。テストの結果に一喜一憂しないように親御さんは気を付けてください。そして大学に行くのが人生の全てではありません」

前学期とは180°違う態度に呆けてしまったと。中国全土で似たようなケースが出ていたであろうことは想像に難くありません。中国政府が国民の精神的幸せを本気で考えることはないと思うので少子化対策から出てきた政策だと思いますが、まず一つ目。上海をモデル都市として小学生の英語テストに点数をつけるのを止めました。勉強は続けますが成績がつかないので親は子供を英語の塾に行かせなくなるかもしれません。

そして深センでは土日の学習塾の営業が禁止となりました。音楽・スポーツ・芸術はOKです。これで子供達が週末はある程度勉強のことを忘れられると期待しているようです。

そしてほぼ全ての小学校が夕方6時までに変わりました。課外授業を2コマ増やした感じです。2コマのうち一つは運動系のクラブ活動で体育の授業とは異なります、その他は芸術系でギターや書道など。18時までの残り時間は宿題をやる時間となり先生も残っているので、親の負担はものすごく減ったそうです。膨大な宿題の量も問題視され、1日当たりの全教科の宿題をこなす合計時間が1時間を超えないようにという教育部(日本の文科省に当たる)の指示が出ているそうで、そこは先生同士で調整しているとか。

これで親の不安を煽りに煽って稼ぐ学習塾は衰退し、家庭の支出は減り、子供は勉強以外の時間が増えるといういいこと尽くしです。私塾を開いて小遣い稼ぎをする教師も減るでしょう。

親に経済的・時間的余裕ができることで少子化が緩和されれば…という狙いでしょうか。うまくいくかどうかはわかりませんが、少なくとも親も子も喜んでいます。

中学・高校については聞いてませんから日本みたいに「小学校は遊びみたいなもので中学からは別世界」みたいになるのかもしれません。中学からのキックスタートを狙って引き続き子供を勉強に駆り立てる親もいるでしょうね。

私はもちろんこの新政策に全面賛成です。

著者/Mochi(「『華南の風』中国・深セン」連載)

image by: jianbing Lee / Shutterstock.com

MAG2 NEWS