大量の衛星を打ち上げ、世界のどこからでも安価で高速ブロードバンドの利用が可能になるという、米スペースX社の「スターリンク」計画。しかし習近平政権にとってそれは、極めて「不都合」な技術のようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、中国寄りの発言を繰り返してきたイーロン・マスク氏が率いるスペースXを国連宇宙部に訴えた中国当局の思惑を解説。さらにスターリンクの技術を将来的に同国が乗っ取る可能性を指摘するとともに、世界の企業に対して中国と親密な関係を築く危険性を説いています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2021年12月29日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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【中国】イーロン・マスクの衛星が中国に乗っ取られる?

● 中国の宇宙ステーションと米スペースX衛星、あわや衝突 マスク氏に非難

12月27日、アメリカの実業家イーロン・マスク氏が率いる宇宙開発企業スペースXの衛星が、中国が建設中の宇宙ステーションとニアミスを起こしたとして、中国政府が国連宇宙部に苦情を提出しました。これを受けて、中国のSNSでもイーロン・マスク氏を批判する投稿が相次いでいるそうです。

中国が建設中の宇宙ステーションとは、2022年に完成予定の「天宮」。一方、スペースXは世界中に高速インターネットサービスを提供するために1万を超える小型衛星を打ち上げるという「スターリンク」計画を展開しています。そして、そのために打ち上げた衛星が2021年の7月と10月に天宮の軌道に入り、ニアミスが起こったとされています。

イーロン・マスクといえば、電気自動車(EV)のテスラ創業者でもあり、中国市場で工場を持ち、2020年にはテスラ車が中国市場でもっとも売れたEVとなりました。それだけに、「中国で儲けたくせに、中国の宇宙ステーションに危害をくわえるなんて」といった批判が殺到しており、不買運動にも展開しそうな勢いだそうです。

イーロン・マスクはこれまで、中国の自動車メーカーを称賛したり、中国の労働倫理を称賛するなど、中国寄りの発言を繰り返してきました。にもかかわらず、中国政府が一企業であるスペースXへの批判を国連にまで行ったのは、なぜでしょうか。

● イーロン・マスクは中国の労働倫理を称賛し、アメリカ人の態度を批判する

前述したように、スペースXの「スターリンク」計画は、世界中のいたるところでインターネット接続を可能にしようというものです。これが実現すれば、アンテナさえ設置すれば良く、光ファイバーなどを引く必要もなく、きわめて安価で高速インターネットの環境が得られます。

そして国土の広い中国においても、内地や山奥など場所を問わずに世界とつながることができることになります。これは、国内で厳しいインターネット検閲を行っている中国共産党にとっては、非常に都合の悪いことです。

経営コンサルタントの竹内一正氏は、このスターリンクが言論統制を敷く中国やロシアなどの独裁国家に、ネット民主主義を広める起爆剤となるかもしれないと論じています。すでにロシアでは、スターリンクを利用した個人および法人に罰金を科す法案が議会に提出されているそうです。

● イーロン・マスクの新事業「スターリンク」が習近平の悩みの種になりかねないワケ

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中国が今回のことでイーロン・マスクに圧力をかけたのも、自分たちに都合の悪い方向に向かわないように、釘を刺す意味があったと思われます。そもそも、中国は宇宙にロケットの残骸物などの「宇宙ゴミ」を大量に残留させており、世界に深刻な脅威を与えています。2018年にも、「天宮1号」の残骸が地球に落下し、大きな問題となりましたし、昨年も中国が打ち上げたロケット残骸物が大西洋に墜落しています。

● 地球を緊張させる中国の「宇宙ごみ」…今後も発生か

そんな中国には、宇宙利用について他国を批判する資格はありません。

しかし、中国は、大昔の「伝説」などを持ち出して、南シナ海の領有権を主張しているように、宇宙についてもいずれ神話をもとに「自分たちのものだ」と主張してくることは目に見えています。

たとえば中国には、嫦娥という天女が月に上ったという神話があり、そのため月調査の探査機には「嫦娥」という名前をつけ、月の開発に力を入れています。やがて「月は中国のものだ」と言い出すのも遠いことではないでしょう。

中国は古代から嘘と盗みで成立してきた国です。古代の中国では前政権のものは死後にほとんど埋葬していました。そのため盗みといえば盗墳が中心でした。そして山があれば賊がおり、湖があれば必ず匪が潜んでいました。「水滸伝」の梁山泊の世界です。

「賊心」は中国の伝統的な文化風土です。そのため、人民の情報にしろ、他国の情報にしろ、すべて「自分のもの」だと正当化することが当たり前となってきたのです。日本が新幹線技術を供与してつくられた中国の高速鉄道も、いまや中国は「独自技術」として他国に売り込んでいます。

それはともかく、スペースXの「スターリンク」計画はいずれ中国にとって厄介な存在になる可能性があり、それだけにいまのうちから圧力をかけておこうという思惑なのだと思います。

スターリンクが完成した際には、中国に通信情報を提出するように迫るかもしれません。もちろん、そのようなことをすれば世界中の誰もスターリンクを使わなくなります。そのため、さすがにイーロン・マスクもそこまではできないでしょうが、少なくとも中国国内のユーザーの通信データについては、中国当局に提出させられることになるでしょう。

そうなれば、むしろスターリンクが情報統制や人民監視の道具に使われてしまう可能性もあるのです。あるいは、スターリンクの技術自体を中国が乗っ取る可能性もあります。

中国で商売をするということは、弱みを握られるだけでなく、場合によっては人権侵害に加担させられるということをも意味します。それは、新疆ウイグルでの強制労働問題でよくわかったはずです。中国と親密な関係を築くことが、本当に利益につながるのか。企業は目先の金銭にとらわれず、真剣に考えるべきです。

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