習近平国家主席の盟友であるプーチン大統領が、自らの蛮行で国際的に追い詰められつつある中、中国国内においては、習氏自身の権力の低下を露呈させてしまうかのような事件が発生していたようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、「馬某」なる人物の国家転覆の咎での逮捕劇が引き起こした騒動を紹介。さらに中国における歴代王朝の成立と滅亡の歴史を解説しつつ、この騒動から見て取れる習近平政権の現状を考察しています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年5月4日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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【中国】「馬某」騒動から見える習近平政権の危うい状況

● 中国メディア「馬某」捜査と報道 その後訂正もアリババ株が一時下落

5月3日、中国国営中央テレビは、杭州市の国家安全局が「馬某」という人物を、インターネットを駆使して外国勢力と結託し、国家分裂を狙ったという容疑で逮捕し調査していると報じました。「某」は名前を隠すための伏字であり、つまり「馬なんとか」という人物だという意味です。

この報道がなされると、中国では「これはアリババグループ総帥の馬雲(ジャック・マー)のことに違いない」と騒然となり、香港株式ではアリババの株価は一時9%も下落する事態となりました。

のちに中国メディアは、捜査の対象となっているのは「馬某某」であると訂正しました。つまり、2文字の名前ではなく、3文字の名前だとしたのです。これにより、馬雲氏ではないということを表明したことになります。

5月3日に中国共産党の公式メディアである『法治日報』が報じたところによれば、馬某某は、1985年に浙江省の温州で生まれ、現在はある科学技術有限公司の研究部門のマネージャーを務めており、外国の反中勢力の洗脳を受けて今年の3月からネット上に匿名のグループを立ち上げ、フェイクニュースを拡散し、独立宣言を発布、大陸臨時国会の創設準備を策定するなどして、国家分裂と政権転覆を図ったということです。

● 「馬某某」身分曝光 擬推翻中共政權

また、Telegramというネットメッセンジャーには、「中国大陸臨時会議」というチャンネルがあり、そのメンバーの一人は、「自由を求める中国人の独立宣言」として、次のような文章を掲載しているそうです。

「中国共産党の末期、都市は閉鎖され統制され、人民は窮地に立たされた。物資の供給が絶たれ、餓死者が続出する混沌とした状態。中国では、人々は質素で、よく働き、平和で豊かに暮らしてきた。しかし、ロシアと中国の共産党は、欺瞞によって権力を掌握、人災と文化大革命による飢饉と荒廃を招いた」

その他、「一帯一路」による大散財、当局による収奪、メディア支配、洗脳プロパガンダ、女性を鎖に繋いで監禁し、人間性を破壊、ロシアと結託して世界に大混乱を起こしたことなど、中国共産党の犯罪を列挙。

中国共産党を滅ぼそうという檄文、独立宣言、人権の付与、自由の擁護、共産党からの離脱と一切の断絶などを述べたうえで、新中国への期待が列挙して締めくくられています。

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そのため中国当局は、4月25日、外国の敵対勢力と結託し国家分裂と政権転覆を狙ったという理由で馬某某を逮捕し、さらに捜査中であるということです。場合によっては無期懲役の判決を受ける可能性があると、中国メデイアは報じています。

当初、「馬某」がジャック・マーだとされたのは、まったくの「濡れ衣」だったわけで、アリババの株価暴落は投資家にとってもいい迷惑だったでしょうが、こうした誤った情報で社会が動いてしまうことを中国では「烏龍事件」と言います。言論統制による愚民化政策を行っている中国では、正確な情報がわからないため、かえって憶測が憶測を呼んで荒唐無稽な噂話が広がってしまうことが多々あるのです。

このニュースでジャック・マーの逮捕が疑われたのは、2020年10月に同氏が中国の金融当局を批判したことで拘束され、傘下のアントグループの株式上場を直前で差し止められたということがあったからです。

加えて、現在中国では習近平政権が「共同富裕」(みんなで豊かになる)を提唱しており、格差の拡大は一部の富裕層によるエゴイズムの結果だと見なされるようになっており、ジャック・マーはまさしく格差拡大の「戦犯」だという認識が広がっているため、ちょっとしたことでジャック・マーの逮捕や失脚が取り沙汰されやすくなっているのです。

● 習近平主席の「共同富裕」言及が急増−中国の裕福な層への警告か

ある意味で、中国の一般大衆は富豪の失脚を心待ちにしているところがあり、それを習近平政権が煽っている部分があります。とくに新型コロナの感染者増による都市封鎖が続き、経済も打撃が避けられない状況で、人民の不満が高まっており、誰もがそのスケープゴートを求めているのです。

報道によれば、上海に続いて北京でも一部地域がロックダウンに近い状態になっているそうです。

● たった1人陽性で都市全域封鎖 北京近郊、住民の不満は次々“削除”

また、河南省鄭州市では突然、5月4日から1週間のロックダウンが宣言されました。これにより市内では食料買いだめに市民が殺到し、半頭や1頭分の豚の身を持ち帰る人たちの姿が目立っていると報じられています。このような混乱ぶりから今後の同市の行く末を悲観して、「これは鄭州大虐殺として歴史に残る」という冗談が飛び交っているそうです。

● 鄭州封城前 民眾聞風搶購物資 整隻豬直接扛回家

中国史を振り返れば、王朝が成立すると、

1.やがて限られた資源をめぐり争いが起こり→2.それが社会不安と混乱を招き、民衆の不満が爆発して各地で反乱が頻発→3.これに乗じて群雄が割拠し、そのなかの一人が前王朝を倒して新たな王朝を建国→1.に戻る

ということを繰り返してきました。そのため、政権批判については非常に敏感で、とくに社会不安が大きくなっているときには、厳しく取り締まりまってきました。それがいわゆる「文字獄」です。文書内の文字や内容が政権を批判しているとして、文書作成者を粛清するのですが、その多くは揚げ足取りによる冤罪でした。

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史実をもとにした物語「水滸伝」には、梁山泊の頭領となる宋江が、酔って居酒屋の壁に書いた漢詩によって、当局から謀反を疑われ、追われる身になるという場面があります。その後、梁山泊は当局と激しいバトルを繰り広げることになったのです。また、中国を大混乱に陥れた文化大革命も、「海瑞罷官」という新作京劇の内容が、毛沢東の政策を誹謗したものだと批判されたことから始まりました。

現在の中国も、資源や食料の自給はできず輸入大国に転落、新型コロナでさらに生産活動が低迷しているため、物資の取り合いとなっています。そのような状況であるからこそ、当局は反政府勢力の動きに非常に敏感になっているわけです。

そして政権末期には流言飛語が横行し、何が真実なのかがわからなくなった民衆が軽挙妄動し、社会の混乱が加速するということも、幾度となく繰り返されてきたことです。

つまり、裏を返せば、習近平政権はかなり危うい状況になっているとも言えるのです。

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