2015年に締結されるもその後韓国側の一方的な主張で破棄された日韓慰安婦合意を巡り、日本の正当性を証明する内部文書を公表した尹錫悦(ユン・ソンニョル)政権。日韓関係の改善に前向きの姿勢を見せる尹大統領との間に、慰安婦問題の解決を見ることはできるのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では台湾出身の評論家・黄文雄さんが、尹政権がこのタイミングで文書を出してきた理由を考察するとともに、韓国市民の反応を紹介。さらに慰安婦問題の収束に関して懐疑的な見方を示し、その理由を述べています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年6月1日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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日韓関係が進展しそうなときこそ警戒を怠るな

● 慰安婦合意、支援団体と事前協議 韓国外務省の内部文書で判明

日韓関係を最悪にした文在寅政権の嘘がまたひとつ暴かれました。2015年の日韓慰安婦合意後、当時はまだ野党だった文在寅氏は、「被害者の意見が反映されていない」と主張し、大統領就任後には「重大な欠陥が確認された」などという理由で合意を事実上無効化し、日韓合意により設立された「和解・癒やし財団」を解散しました。

ところが、韓国外務省は5月26日、2015年の日韓合意に際して、慰安婦支援団体代表と4回にわたり協議し、合意内容もきちんと伝えていたことを記した面談記録文書を公開しました。

2015年の合意時点では、合意撤回派は「慰安婦やその支援団体にも知らされていなかった」と主張していましたが、2020年、慰安婦支援団体の韓国挺身隊問題対策協議会=挺対協(現在は正義連に改称)のトップである尹美香氏には事前に知らされていたことが判明します。

尹美香氏は、この日韓慰安婦合意時に、「被害者や支援団体は何も知らされていない」と主張し、合意破棄を訴えて名を売り、2020年には国会議員にも当選します。しかし同年、実際には合意内容が事前に知らされていたことが判明します。

尹美香氏はこれに対して、「意見徴収ではなく、あくまで一方的な通告だった」と反論していたわけですが、今回の外務省の発表で、合意内容についても協議しており、「何も聞かれなかった、一方的な通告だった」という証言は嘘だったことが判明したのです。

尹美香氏はこの他にも、ソウル市からの支援金の不正請求や、不正会計、寄付金などのピンハネなどさまざまな疑惑を慰安婦からも告発されています。また、尹美香氏は北朝鮮を何度も訪問して対北事業を行うなど、親北ぶりが知られています。

さすがに韓国国内でも、疑惑まみれの尹美香氏に対して、「偽善の偽りはこれだけなのか」と批判の声が上がっています。

● 韓日慰安婦合意の内容を知っていたのに伏せた尹美香、偽善の飾りはこれだけなのか

そもそも、このようなやりとりの記録を、文在寅前政権がまったく把握していなかったはずはありません。真実を知っていた上で、日韓慰安婦合意の事実上の破棄に持ち込んだと考えるのが普通でしょう。親北派である文在寅と慰安婦支援団体の「親しい関係」が透けて見えます。

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今回の韓国外交部の発表も、その数日前に行われたバイデン大統領の訪韓と無関係ではないでしょう。もともと日韓慰安婦合意は、オバマ政権で副大統領だったバイデンの肝いりで実現したものだったからです。そして日本の岸田首相は当時の外務大臣でした。

【関連】岸田・バイデン両氏も当事者。日韓「慰安婦合意」で日本が持つ“切り札”

現在の日米のトップが、日米慰安婦合意の当事者であり、しかも韓国でも政権交代が起こったことで、こうした事実が出てきたのだと思います。そもそも慰安婦問題自体が嘘まみれで、「30万人の強制連行」などという虚言がいまだにまかり通っているのは、朝日新聞をはじめとする左翼や反日日本人によるプロパガンダがあったからです。

韓国で日韓慰安婦合意の破棄や撤回を求める声が出たときも、「日本政府は韓国側の事情も理解して譲歩すべきだ」などと言い出す「進歩的文化人」すらいました。

このメルマガでも何度か述べていますが、1992年に韓国が中国と国交を樹立する際、韓国政府は台湾側に対しては「断交はありえない」と言いながら、台湾の弱みに付け込んで5万台もの韓国車を売りつけ、そのあげく、あっさり断交して韓国から台湾の大使館員を即日追放したということがありました。当時の韓国のマスコミはこの騙し討ちを「外交的勝利」と得意げに報道しました。その屈辱があるため台湾では韓国嫌いが多いのです。

韓国の反日感情は日帝時代の「恨(ハン)」によるものですが、「恨」を買う理由のない台湾に対するこのような仕打ちは、両班時代の差別や弱い者いじめの伝統からくるものだとされています。華人思想家の柏陽氏はこれを「婆媳(ボーシー)文化」と命名しました。婆媳とは、嫁姑のことです。強者に媚びる事大主義とともに、弱者を踏みつけ裏切る伝統文化が朝鮮半島で受け継がれてきたわけです。

そのため、私にとっては、慰安婦問題にしても韓国の主張が嘘だらけなのはもちろん、日韓慰安婦合意にしても韓国はどうせ反故にするだろうことは予見できたことでした。しかし実際にそうなったら、日本国内の反日勢力が呼応し、日本を貶めるだろうとも思っていました。そして、それは現実のものとなっていったのです。

日弁連などは、これまで慰安婦を「性奴隷」だと主張し、さんざん日本政府への対応を求めてきたにも関わらず、韓国が一方的に日韓慰安婦合意を事実上反故にした際には何の批判もしませんでした。

それどころか昨年4月に日本政府が「従軍慰安婦」や「強制連行」という表現が不適切だという閣議決定を行ったことをもとに、教科書の記述が変更されることに対して、今年の2月に「過度な教育介入だ」などと「深い憂慮」を表明しています。

● 閣議決定受けた教科書記述の変更、日弁連が会長声明で「深い憂慮」

日本では弁護士は日本弁護士会や日弁連に強制加入させられます。そのような強制加入団体であるにもかかわらず、弁護士全員で決議したわけでもなく、総意でもないにもかかわらず、会長名でこうした表明が出されることに対して批判的な声も少なくありません。

● 日弁連の左巻き政治活動に内部からも異論噴出 日弁連会長「『9条守れ』は政治的発言じゃない…」

ロシアのウクライナ侵攻以後、日本人にも安全保障問題への意識が高まり、防衛力の増強や憲法改正議論も活発化しつつあります。憲法改正反対派の勢いもだいぶ衰えつつあることは、多くの国民の衆目が一致するところだと思います。とはいえ、まだまだ反日リベラルはどこかで一発逆転を狙っています。

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先日、テロ団体である日本赤軍のトップだった重信房子が刑期を終えて出所しましたが、重信氏をヒロインであるかのように扱う識者やメディア関係者も少なくなかったようです。

● 重信房子氏の出所 彼女はヒロインではない

昨年の東京オリンピックを巡っては、数十年前にいじめっ子だったアーチストの過去の言動や、女性に関する発言を問題視し、徹底的に糾弾したメディアや文化人が、多くの死者を出した無差別テロの首謀者に対しては大甘、それどころか郷愁やシンパシーまで見せるというのは、あまりにもバランスが欠いた態度だとしか思えません。

自分の主張に近い者はテロリストでも持ち上げ、主張に沿わない者は失言でも徹底追及。そんなダブルスタンダードや現実を見ない空想論から、リベラルは次第に国民からの支持を失ってきたのです。

しかし、ここ数年流行りのSNSには自分たちを支持する声しか聞こえません。だからいかに国民からかけ離れているかがわからないのです。そのためいざ選挙をすると、リベラル勢は大敗する。本来は健全な野党が育つべきですが、反日勢力とくっついているから、いつまでたっても本格的な与党への対抗勢力になれないのです。そのことにそろそろ気づくべきです。

それはともかく、今回、尹錫悦政権は日韓慰安婦合意の正当性を証明する記録文書を公にしました。とはいえ、これで韓国の慰安婦問題が収まるかどうかは疑問です。政権支持率が低くなれば、反日を持ち出すのは韓国のお家芸だからです。

そしてそれを待ってましたとばかりに呼応するのが、反日日本人たちなのです。それどころか、火のないところに火を焚き付け、ご注進報道により中国や韓国での反日気運を高めることなども行ってきました。

慰安婦問題が進展し、日韓関係が前進したと思ったときが、実は危険なのです。韓国新政権の動向ももちろんですが、日本国内の反日勢力にも警戒を怠らないことです。

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