中国では最近、「潤学」という言葉がネット住民の中で流行っているといいます。一見すると学問の一種のようにも感じますが、実際はイメージとはかけ離れる“危険”な言葉のようです。中国出身で日本在住の作家として活動する黄文葦さんが、自身のメルマガ『黄文葦の日中楽話』の中でその「潤学」の意味を紹介。そこから派生した中国人の実態に迫ります。

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中国人の「潤学」 移民という生き方

最近、中国のネットで、「潤学」という言葉は流行っている。ちょっと分かりづらいだろう。「潤」は本来「潤い」という意味だが、現在「潤」という動詞は「海外に移住する」、つまり移民の意味合いを持つようになった。「潤学」は中国を離れて先進国に移住する方法を研究することを意味する。つまり、移民の学問だという。

中国語の「潤」は「光り輝く」「利益(儲け)」を意味し、「過得滋潤」のように「潤」には、現地の口語では「快適に暮らす」という意味もあるので、「より良い場所に逃げ込む」という深い意味もあるのだそうだ。

「潤」は、中国では若者のキャリア形成において、「内巻」、「タンピン」と並ぶ3つのライフスタイル選択肢のひとつと考えられる。

中国のコロナ感染が3年目に入り、故郷を離れようとする中国人が増えている。そのほとんどは、大規模な封鎖が経済に大きな打撃を与え、食糧供給や医療へのアクセスに問題が生じたため、約2カ月間上海に閉じ込められている中産階級や富裕層の人々である。

海外にコネクションを持つ人の中には、世界に開かれた中国の門戸が閉ざされることを懸念する人もいる。また、コロナの感染拡大で深刻化した政府の監視に不満を抱いている人もいる。

「この国は変えようがないし、何かを非難することもできないような状態です。変えられないなら、逃げるしかない」、これは多くの人が思うことだ。まさに「逃げるは恥だが役に立つ」。

ある調査会社によると、4月に「移民」という言葉の検索が先月より440%増加した。ある移民のコンサルタントは、「上海がロックダウンされてから、問い合わせが急激に増えた」という。

中国当局は出国を制限している。中国移民管理局は最近、「不要不急の出国活動を厳しく制限する」とし、これはコロナと関係があり、輸入感染を減らすためだとしているが、中国のソーシャルメディアユーザーからは、実は頭脳流出を防ぐためではないかとの見方も出ている。

政府は昨年、ビジネス、留学を除き、ほとんどの一般旅券の発行・更新を行わないことを発表した。国家移民局のデータによると、2021年上半期のパスポート発行数は、2019年同期の発行数の2%だ。

中には、中国の厳しいコロナ対策が世界とますます乖離していることに気づき、出国を希望する人が大勢いる。がっかりした人は上海に限ったことではない。他の都市の人も、近いうちに同様のロックダウンが行われ、厳しい状況に置かれることを懸念しており、閉鎖による経済的圧迫を感じている人もいる。中国の若者の中には、チャンスが少なくなっていることを実感し、国を出る決意を固める人もいる。

これからも「潤学」という移民に関する学問は、より多くの人々に研究され、実践されるだろう。

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中国から海外への移民 華人が多い国のランキング

中国人が海外で暮らそうと考えたのは今だけでなく、海外移住の歴史は長い。中国人は、世界の隅々まで暮らしている。統計によると、華人華僑の数は6,000万人以上に達し、世界198の国や地域に広がっている。華人が多い国のランキングは以下の通りだ。

第1位 インドネシア:1,000万人以上

統計によると、インドネシアの人口の約5%は中国系で、華人は1,000万人以上、そのうち90%以上がインドネシア国籍を取得しているそうだ。中国系インドネシア人の多くは、福建省、海南省、広東省など、中国の南部の出身である。

第2位 タイ:約1,000万人

現在、タイにいる華人は1,000万人近くいるが、その多くは中国の広東省、潮州、厦門などの地域から来た人たちである。在タイ中国人がタイの発展に多大な貢献をしてきたと言われる。

第3位 マレーシア:740万人

マレーシア華僑はマレーシアで2番目に多い民族で、約740万人、マレーシア総人口の約23%を占めている。マレーシア華人は、明・清時代から数世紀にわたって中国の福建省、広東省、広西省、海南省から移住してきた移民とその子孫のことだ。

第4位 アメリカ:508万人

米国連邦国勢調査局が発表した最新の数字によると、アジア系アメリカ人の総人口は2,140万人に達し、そのうち中国系が508万人でトップとなっている。その多くは、カリフォルニア、ニューヨークなど、大都市に集中している。

中国系アメリカ人は、中国福建省の長楽、連江、福清、河北省の石家荘、衡水などの地域や東北地方が主な出身地である。

第5位 シンガポール:298万人

シンガポールは中国以外では唯一、中国人が過半数を占める国。2019年6月現在、シンガポールの総人口は570万人で、シンガポール人と永住権保持者は403万人。中国人はシンガポールの人口の74%を占める。

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第6位 カナダ:177万人

カナダ統計局の人口統計分析によると、カナダには約177万人の華人がおり、華人の人口は全人口の5.1%で、全民族の中で7番目に位置する。しかし、バンクーバーに占める華人の割合は21%に達している。

第7位 ミャンマー:163万人

現在、ミャンマーには約163万人の華人がおり、同国人口の約3%を占めている。ヤンゴンなどの都市に住む華人は、広東人(広府人、客家人、潮汕人など)と福建人が多く、彼らの多くは小規模なビジネスを営んでいるが、中にはシンガポール、香港、台湾の資本家と合弁で大規模な投資を行う人もいる。

第8位 フィリピン:135万人

現在、フィリピンには135万人の中国人がいる。10人中9人が福建省南部(泉州、しょう州、厦門)の出身で、中でも泉州が最も多い。実際、フィリピン人の約2割が中国系で、1億2,000万人のうち、中国系は1,000万人以上いるという説もある。

第9位 ペルー:130万人

ペルーでは、アジア人が人口の少なくとも5%を占めると推定される。華人は130万人。ある資料によると、中国人の血を引く国民は500万人にものぼり、これは全人口の15〜16%に相当するそうだ。しかし、これはまだ検証されていない。

中国系ペルー人の多くはマルチリンガルで、スペイン語やケチュア語に加え、少なくとも中国語や広東語、客家語、ミンナン語などの方言を話すことができる人が多くいる。

10位 オーストラリア:112.4万人

オーストラリアの華人人口は約112万人で、全人口の3.9%を占めている。オーストラリア統計局(ABS)の国勢調査データから、中国人がオーストラリアで増え続け、この国に大きな影響を与えているだけでなく、両国の文化交流と協力関係の強化に大きな役割を果たしていることが明らかになった。

上記の10カ国の他に、華人の人口が100万人を超える国は、ベトナム、韓国、カンボジアの3カ国である。また、中国人の居住者が10万人を超える国は、フランス、日本、イギリス、ベネズエラ、南アフリカ、イタリア、ブラジル、ロシア、スペイン、ニュージーランド、オランダ、ドイツ、インドなどである。

2020年末現在、日本に中長期に滞在している中国人は77万8,112人(194国中1位)。そのうち永住している中国人やその家族は29万1,603人であり、それ以外の中国人が52万2,072人。この2年間、コロナのせいで、中国帰国の人が増えていて、在日中国人が減っていくようだ。

世界各地に住む中国人は、中国と世界を結ぶ重要な橋渡し役であり、中国は華人たちを中国と世界の平和を維持するための重要な力として扱う必要がある。

(『黄文葦の日中楽話』2022年6月6日号より一部抜粋、続きはご登録の上お楽しみください。初月無料です)

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image by: HUI YT / Shutterstock.com

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