先日進水した、中国海軍3隻目、国産としては2隻目となる新空母「福建」。習近平国家主席自らが命名したとする艦名は台湾と向き合う福建省にちなんだとあって、「台湾侵攻を強く意識したもの」との見方が各所で指摘されていますが、彼らはさらにその先を見据えているようです。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、「その先」が日本侵攻であるとの見解を示すとともに、そう判断する理由を歴史的背景等を交えつつ解説。さらに現在習近平氏が置かれているという厳しい立場を紹介するとともに、追い詰められた指導者の暴発に対して警戒を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年6月22日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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【中国】新空母「福建」の名称に潜む日本侵攻の野望

● 中國「福建號」航艦下水 專家分析形成戰力尚需時間

6月17日、上海の港南造船所で中国解放軍の3隻目の空母「福建」の進水・命名式が行われました。このニュースは日本でも報じられましたが、もちろん台湾でも大きな注目を集めています。

電磁カタパルトを備えた最新式空母で、満載排水量は8万トン以上と見られています。台湾国防院国防戦略資源研究所所長である蘇紫雲氏は、装備と訓練にあと2年はかかるとしており、2025年に初期作戦能力を持つと推定しています。

アメリカのヘインズ国家情報長官は、5月10日、上院軍事委員会で「中国は2030年までに台湾侵攻できるよう軍備を整えている」と発言していますが、蘇紫雲氏の推定は、ヘインズ長官の発言とも符合しています。

● 「中国は2030年までに台湾に侵攻できるよう軍備を整えている」米国家情報長官

日本のニュースでは、この空母の「福建」という名前が、対岸にある台湾侵攻を目指したものだと説明されています。蘇紫雲氏によれば、中国の命名規則では、1級艦については通常、造船所のある省によって命名されますが、今回、上海の江南造船所で建造された空母が「福建」と名付けられた背景に、清朝の海軍大将で福建水軍を率いた施琅(しろう)にちなんだ政治的意図があると分析しています。

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施琅は、「反清復明」を目指し台湾に拠って清に反抗した鄭成功と対峙し、鄭成功の死後に台湾を攻略して清の版図とした人物です。この施琅を念頭に置いた命名であるなら、中国政府の台湾侵攻の意図は明確です。

加えて私は、日本を意識した命名である可能性もあると見ています。というのも、施琅が降した鄭成功一族は、よく知られているように、日本人の血が流れているからです。鄭成功は貿易商だった鄭芝龍と田川マツのあいだに生まれました。出生地の長崎県平戸市には、マツが手をついて鄭成功を出産したという「鄭成功兒誕石」や「鄭成功記念館」があります。近松門左衛門が鄭成功をモデルに「国性爺合戦」を書いたことは有名でしょう。

鄭成功は、台湾では「開発始祖」とされ、台湾人の不屈精神の支柱ともなっていますが、その裏側には母親が日本人であったということとも大きく関係しています。台湾では「日本精神(ジップンチェンシン)」といえば、勤勉、誠実、不屈を意味しており、それが鄭成功という台湾人の「民族英雄」と重なるわけです。

そのため、中国の空母名が施琅にちなんだものであるということは、日台の絆をも断ち切るという意味も持つことになります。中国からすれば、台湾も尖閣諸島も日清戦争によって奪われたという認識です。そのため、尖閣諸島への侵攻も空母名に込められているのではないかと私は思うのです。

さらにいえば、中国では、現在の沖縄人について、明の洪武帝の時代に福建から琉球へ渡来した「閩人三十六姓」の子孫だという主張もあります。これまでのメルマガでも書きましたが、近年、中国では沖縄について、中国の領有権を示唆しはじめています。

● 人民日報「沖縄帰属問題議論を」 中国の領有権示唆 官房長官「全く不見識」

また、2005年に中国で起きた官製の反日デモでは、「琉球回収、沖縄解放」という横断幕が掲げられたこともありました。こうしたことを考えると、「福建」という空母名は、台湾だけではなく、日本侵攻をも念頭に置いた命名である可能性があるのです。そのことを日本人はもっと警戒すべきでしょう。

そんな折、習近平への不満が高まり、政治局常務委員からの支持を失いつつあるという話が飛び出しています。中国の著名な反体制派の陳奎徳氏は「ボイス・オブ・アメリカ」のインタビューに対して、ロシアのプーチン大統領がウクライナに侵攻してから、ロシア支持やアメリカへの対抗姿勢について党内で反発が出ており、さらに「ゼロコロナ対策」で経済に大きな打撃を受けていることへの批判が渦巻いていると述べています。

● 習近平終將敗給李克強? 他驚曝:已失去多數政治局常委支持

そして陳奎徳氏は、その反習近平の中心にいるのが李克強首相だとしています。5月25日、中国国務院が全国経済安定化テレビ電話会議を開催し、李克強首相が重要演説を行いましたが、10万人の地方幹部が参加したこの会議は、事実上の反習近平勢力の集まりだと目されており、このような会議が開催できたのも、共産党政治局や常務委員の後押しがあったからだと主張しているのです。

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さらに陳奎徳氏は、政治局常務委員以上に、江沢民、朱鎔基、曽慶紅、胡錦濤、温家宝などの共産党長老の動向が重要だとしています。ということは、彼ら長老が一堂に会する夏の北戴河会議の動向がキーポイントになってくるでしょう。

いずれにせよ、中国ではこのように権力闘争が激しくなってくると、他国との戦争や紛争を利用して権力を握ろうとすることが、これまでもたびたび繰り返されてきました。

たとえば鄧小平は軍権を握るために中越戦争を起こし、毛沢東を支持した許世友の南京軍区の軍隊と、林彪の部隊、つまり鄧小平の政敵の部隊をベトナムの最前線に殺到させて、それで敵に殺してもらい、軍権を握ったということがありました。

したがって、このように中国内部の情勢が不安定化すると、台湾や日本に対して紛争や戦争を仕掛けてくる可能性も高まってきます。追い詰められた習近平が、起死回生の手段として台湾侵攻を決断することも、ありえない話ではありません。

しかも、空母「福建」の電磁カタパルト技術は、アメリカとイギリスが共同開発してきたもので最高機密でしたが、これが日本から流出したという疑いも出ています。

● 米国の「最高機密」日本から流出か 中国空母に採用された最新技術 岸田首相のNATO首脳会議出席に中露が激怒、スパイ防止法の制定急げ

秋の党大会に向けて、習近平政権の基盤も盤石ではなく、波乱含みであることは間違いないようです。それだけに習近平が冒険主義に走ることに対して、警戒を怠らない努力をすべきです。

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