日本との関係改善を以前から語っている尹錫悦大統領。こじれにこじれた過去史問題についてもとうとう語ることとなりました。今回のメルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、直近の懇談会で語られた内容を一問一答形式で掲載。そのなかで日本との歴史問題についても触れています。

尹錫悦よ、どこまでやれる

尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は7月1日、「韓日両国が未来のために協力できるなら、過去史問題も十分に解決していく」と述べた。

NATO(北大西洋条約機構)首脳会議に出席するためスペイン・マドリードを訪問した尹大統領は同日、帰国途中の大統領専用機(空軍1号機)で機内懇談会を開き、このように述べた。

尹大統領は「過去史問題が両国間の進展がなければ懸案と未来問題についても議論できないという考え方は避けなければならない」とも強調した。さらに北朝鮮の核・ミサイル脅威について、「非常に強硬な対応が必要だという各国首脳の立場を確認することができた」と述べた。

次は一問一答。

――岸田日本首相に対して「両国間の関係を発展させるパートナーになる」と言及したが、日本はまだ残っている過去史問題に対して韓国に一方的に解決策を要求している。これを解決していく腹案があるのか気になる。今回できなかった韓日首脳会談は今後どのように推進するのか。

「私が政治宣言をしてちょうど1年と1日が過ぎた。政治宣言の時も、選挙過程でも国民に申し上げたが、過去史問題と両国の未来問題はすべて同じテーブルに置いて一緒に解決していかなければならない問題だ。過去史問題解決に、両国間の進展がなければ懸案と未来問題も論議できないという考え方は避けなければならない。全部一緒に議論できる。韓日両国が未来のために協力できるなら、歴史問題も十分に解決していくという信頼を持っている」

――今回の歴訪の中で最も印象的な日程は何か。

「韓日米首脳3者会談が最も意味があった。NATO首脳会議の本会議に出席し、各国首脳から安保懸案に対する立場を聴取したことが、第二に意味があった。そして韓国とともに参加した日本、オーストラリア、ニュージーランドなどAP4首脳会議(=NATOアジア太平洋パートナー首脳会合)もかなり意味があったと評価したい」。

――中国が韓国のNATO首脳会議への出席に不満を示した。対中関係はどのように解決していくのか。

「韓日米3か国協議やNATO首脳会議への出席は特定国家を排除するものではない。国内であれ国際関係であれ普遍的に追求しなければならない価値、国内社会規範、国際関係規範を守らなければならないという精神を持って問題を扱うべきだと思う。

国内問題でも、ある人が規範に反して韓国社会が追求する価値に違反したからといって、その人を韓国社会から排除するわけではない。韓国社会が共に追求する価値を確認し、宣言して守るための行動に過ぎない。国際社会でも同じだと思う。国際社会が持続可能に発展し維持されるために必ず守らなければならない共通の価値観、規範を守らなければならず、その規範に基づいた秩序が尊重されなければならない」

――北朝鮮の核問題についてNATOメンバー国はどのような立場を示したのか気になる。韓日首脳会談でさらに進展した北朝鮮への核協力案が出たのか。

「各国首脳が主に言及したテーマはウクライナ事態と北朝鮮核問題だった。実際、会議場で各国首脳は、北朝鮮核問題に対して非常に強硬な対応が必要であり、韓半島の厳重な緊張管理が必要だという立場であることを確認することができた。

韓日米3国首脳が北朝鮮核に対して共に対応を議論したのは5年ぶりのことだ。北朝鮮の核対応のために相当期間中断されていた軍事的安保協力が再開されることが望ましいという原則論に合致した。さらに詳細なことは、これからは各国の外交部長官や国防部長官、安保関係者らの議論によって、さらに進展するだろう」。

――釜山エキスポ誘致のために多くの首脳に協力要請をしたが、その成果についてどう評価するか。

「会う首脳ごとに釜山の話を必ずした。ロビーで解決する問題だとは思わない。世界のどの国でもエキスポがあれば、(エキスポを通じて)自国の産業成果をきちんと見せたがる。私は大韓民国が過去に認定エキスポを2回開催し、冬季オリンピックと夏季オリンピック、ワールドカップを誘致した国家であるだけに、そして伝統産業分野からデジタル先端産業に至るまで多様な分野で世界的な成果を見せているゆえ、首脳に皆さんの産業成果をきちんと見せる基盤を最もよく提供できるという点を説明した。

また、海洋の都市である釜山で(エキスポを)行うのが最も望ましいという点、大韓民国のエキスポの力量について詳しく説明した。結局、どの国でエキスポをする時自国産業の成果が最もよく実演できるかという部分が、最も重要な判断基準になると思う」。

――原発と防衛産業セールス外交を本格的に始めたが、相手国の首脳はどのような反応を見せたのか。

「今回のNATO会議に出席した多くの欧州諸国がウクライナ事態を通じて認識したエネルギー・安保、2050炭素中立を実現するために新規原発に相当な関心があった。皆さんもご存知のように、韓国の原発施工能力は断然世界最高レベルだ。私たちが韓国で独自開発した「APR1400」模型に対する紹介パンフレットをたくさん準備して首脳たちに説明した。皆多くの関心を示してくれた。

私はこのように説明した。『韓国の原発が世界で最も安価で、最も安全で、最も迅速に、早期に施工を完了できる』防衛産業分野は関心のある国が多くあった。ウクライナ事態のために自国国防をさらに強化し防衛産業技術をさらに発展させようとする国々が多くあった。

私たちが防衛産業物品を輸出すれば適切な時期に技術を移転していく折衷交易形態を維持してきたが、私たちと初期から研究開発をしてその技術を共有しようとする国が多くあった。この部分についても韓国国防部長官が、原発部分については産業部長官が引き続き相手国の長官と細部的な協議を進めていく」(文化日報ベース)

「韓日両国が未来のために協力できるなら、歴史問題も十分に解決していくという信頼を持っている」という部分が今回の記事でいちばん重要なところだ。

尹錫悦は、言ったことは必ず実行するタイプだ。日韓関係の改善・発展を心から願っていることも事実だ。歴史問題の解決もなんとかしてゆこうという考えは確実に持っている。

しかし「日本はまだ残っている過去史問題に対して韓国に一方的に解決策を要求している」という記者の質問に如実に表れているように、韓国の認識として1965年の日韓協定がほとんど無視された格好になっている点が問題だ。

「国際関係規範を守らなければならないという精神を持って問題を扱うべきだ」とする尹錫悦の基本姿勢が最後まで貫かれるならば、記者らの認識(=韓国の一般的認識とみてよい)を叩き潰し、国際関係規範を守る(つまり日韓協定を順守する)という立場が実現できるのだが、韓国社会という大向こうを相手に尹錫悦がいくら大統領とはいえそこまでできるのか。

不確実性はあるものの、とにかくやれることはやってみるといところからしか前に進めない。尹錫悦に大きな期待を抱く所以でもある。当たって砕けろ。ダメだったらまた別の人でやっていくしかないべ(米沢方言で恐縮です)。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年7月3日号)

image by: 尹錫悦 − Home | Facebook

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