支給額が下げられるなど、日本では年金だけで暮らしていくにはかなりの苦労があります。しかし、それはお隣、韓国でも変わらないようです。今回のメルマガ『キムチパワー』では、韓国在住歴30年を超える日本人著者が、 韓国の年金事情について詳しく語っています。

韓国でも厳しい年金事情。180万ウォンで暮らせるという余裕の人もいれば…

最近引退者が集まったオンラインコミュニティで「年金だけで暮らす」が話題になった。

韓国で他の所得なしに年金だけで100歳時代を過ごせるかどうかをめぐって引退者の間で熱い討論が繰り広げられた。(朝鮮日報より)

引退者A氏は「現役時代には十分に見えたが、物価が猛烈に上がると老年は不足に感じられる。

若い時にもっと準備をたくさんすればよかった」と訴えた反面、引退者B氏は「引退後には入ってきた分だけ使えば良い、早期年金受領して180万ウォン(=19万円)ずつ受け取っているけど、食べていくには十分だ」として余裕のある態度を示した。

引退した先輩たちの意見交換を見守っていた後輩たちは心が複雑になった。

予備引退者たちは「退職すれば健康保険料、税金、旅行経費などで職場に通う今より支出がさらに増えそうで恐ろしい」など多様な意見を吐き出した。

統計だけを見れば、まだ韓国では公的年金だけで老後生活を送ることは難しい。

国民年金公団によれば、2022年3月基準で国民年金受給者の平均年金受領額は月57万5,000ウォン(6万円)だ。今年の単身世帯の中位所得(194万4,812ウォン=20万5,000円)にはるかに及ばない。

韓国より先に超高齢社会に突入した日本は、約4,000万人を超える高齢者が公的年金(厚生年金、国民年金)を受け取っている。現役世代6,700万人が払う保険料に国家税金が加わって支給される構造だ。

日本政府が紹介する片働き夫婦の月平均年金額は22万円(約210万ウォン)程度だ。夫が平均的な収入が入る職場で働きながら40年間保険料を入れ、専業主婦の妻も国民年金基本保険料の納入を終えたケースだ(韓国の会社員は所得の9%を国民年金に納めているが、日本は18.3%ずつ納める)。

韓国では想像しにくいことだが、日本の老人の半分は年金に頼って生活している。厚生労働省調査(令和元年度)によると、65歳以上の高齢者の48.4%が公的年金だけで生活しており、高齢世帯の平均所得の64%は公的年金であった。

リッチゴーインベストメントのホン・チュンウク代表は「日本の高齢世代の月平均年金所得が210万ウォン程度だというが、歳を取れば2つの大きな心配のため消費性向が低くなるので(210万ウォン程度で)十分だ」と話した。

年を取れば、もしかして後で大きな病気になるのではないかと思い、また死別後に一人で残る配偶者が心配になって財布を開かなくなる。

退職の際、余裕資金として通帳に2億〜3億ウォン(2,100万〜3,100万円)ずつ入っていても、このような心配のため簡単にお金を引き出すことができないのだ。

未来アセット投資と年金センターのキム・ドンヨプ本部長は「日本は年金だけで生活する高齢者の割合が50%にもなるというが、あまり良さそうには見えない」として「老後には息をするだけでも(=生きて行動するだけでも)300万ウォンずつ出ていく(と書かれているが、これはかなり誇張された額だ)。

現役時代に所得を多元化しておかなければ『引退破産』を迎えやすい」と語る。資産所得、利子・配当所得、勤労所得など固定収入が発生する色々なチャンネルを用意しておかなければ元金をくずしながら暮らさないといけないということだ。

引退後、資産が急激に減って老後貧困層に転落しないためには、どのように備えなければならないのか。

朝鮮ドットコムが先月SMC&Cアンケート調査プラットフォームである「ティリアンプロ(TillionPro)」に依頼し、30〜60代の男女415人を対象に調査した。

回答者の33%は、投資など積極的な資産運用を行い、経費や掃除などの仕事を探す(32%)、食費などの生活費を減らす(28%)と答えた。

ところで、金額が少なくて年金だけでは生活が難しい日本の老人たちの「手におえない(=大変な)」人生にも関心が集まる。

今月初め、日本のフジテレビが紹介した81歳の男性は、「夫婦合わせて年金を毎月17万円ずつ受け取っているが、年金だけでは足りず、貯蓄をくずしながら生活している」と話した。

40年経った自家製品で暮らしている彼は、「食費を節約するため、家の近くの家庭菜園で野菜を栽培し、妻と分担してスーパーマーケットの超特価商品だけを探している」とし、「電気料金を節約するため、エアコンはつけず代わりに20年経った扇風機を使っている」と話した。

家計の財務構造を改善しようとする時、最も効果的な方法は通信費、電気料金のような固定費を節約することだ。

食費や消耗製品などを少なく買うことも重要だが、今月の食費で数万ウォン節約したとしても来月連続でまた節約できるかは確実ではないため、固定費節約よりは効果が少ない。

警備、清掃、介護など多様な分野に就職し月給を受け取ったりもする。健康さえ良ければ外に出て仕事をして足りない生活費を満たすことができる。

トラストン資産運用年金フォーラムのカン・チャンヒ代表は「老後貧困は隣国である日本だけのことではない」とし「日本には体面を捨てて多少きつくて汚い仕事でもしてみようとする老人が少なくない」と話した。

東京大田区のマクドナルド支店で接客業務を担当している74歳安井さんは「生涯現役」を夢見ている。娘と一緒に暮らしている彼は年金だけでも生活が可能だが、仕事がしたくて72歳で再就職した。

彼は「80歳なのに熱心に働く人生の先輩を見て刺激を受けた」とし「(私も)健康さえ許せば80歳まで働きたい」と話した。人に迷惑をかけたくない日本の老人たちが選択する最後の方法は、家族にSOSを発信することだ。

配偶者が先に死亡して独り暮らしだが、年金は不足して体が不自由で働くこともできない状況なら、子供に小遣いをもらったり、あるいは同居して足りない生活費を確保すれば良い。

日本では子供が両親と同居し、両親の生活費を負担している場合、年末調整扶養控除を受けることができる。控除額は58万円(約552万ウォン)。

韓国は高齢化のスピードがものすごく早く、さらに年金の種類による偏差、軍人年金や公務員年金などと国民年金の差が大きいのが問題だ。年金一本化(全部の年金を一律にする)議論が持ち上がるのも頷ける。

もちろんそんなことが一朝一夕に実現するはずもない(軍人界や公務員界が黙っていないし)。ただ、何らかの大手術をしてここ数年以内にしておかないと、年金枯渇は現実のものとなるだろう。

(無料メルマガ『キムチパワー』2022年7月21日号)

image by: Shutterstock.com

MAG2 NEWS