習近平氏が国家主席に就任してからおよそ10年、今やアメリカと覇権を争うまでに成長を遂げた中国。そんな大国からの亡命希望者の数が、昨年だけで14万人に達したことが大きな話題となっています。その裏にはどのような事情があるのでしょうか。今回のメルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』では著者で台湾出身の評論家・黄文雄さんが、このような事態を招いた背景を解説。さらに人民の不満が高まっている今、中国政府が政権批判をかわすために行いかねない侵略による「偉業達成」への警戒を呼びかけています。

※本記事は有料メルマガ『黄文雄の「日本人に教えたい本当の歴史、中国・韓国の真実」』2022年7月27日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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【中国】中国からの中国人大逃亡が過去最大になっているヤバさ

● 中国市民の亡命希望者が急増 2012年は年間1万2000人、2021年は14万人

中国では習近平政権になってからの10年間で、亡命を求める中国国民の数が10倍になったことが明らかになりました。

国連難民期間UNHCRの報告によると、習近平が最高指導者に就任した2012年には1万2,000人の中国人が海外へ亡命しましたが、2021年にはその数は14万人まで急増したそうです。

UNHCRによれば、2012年以降、約73万人の中国国民が亡命を求めており、17万人以上が難民として中国国外に居住しているとのこと。亡命先としてもっとも多いのがアメリカで、2021年には約8万8,722人の申請者を受け入れました。

その他、オーストラリアが1万5,744人を受け入れ、ブラジル、カナダ、韓国、イギリスには数千人が亡命を申請しているそうです。

● 亡命を求める中国国民の数が習近平政権下で10倍に

2002〜2012年の胡錦濤政権では、毎年2万人ほどいた亡命者数が徐々に減少し、2010年には5,000人を下回っていましたが、2012年以降は増加に反転し、2013年には4万人、2015年に7万人、2017年には10万人を突破、2019年以降は毎年12万人を突破していると報告されています。

これほど亡命希望者が増えている背景には、もちろん、習近平政権の人権弾圧、言論統制の強化があることは言うまでもありません。加えて、最近のゼロコロナ政策も影響が出ていると見られています。

しかも、この亡命者数には香港人は含まれていないとのこと。中国政府は2020年6月末に「香港国家安全維持法」を施行し、事実上、香港人から自治権を奪い、民主化運動の迫害や言論弾圧を強化しました。

香港返還にともない「一国二制度」を50年間は維持するという約束を反故にされたイギリス政府は、香港人のイギリス移住者受け入れを表明してきましたが、現在までの1年半で12万人以上が申請しており、それらを加えれば、亡命希望者は倍近くになると目されています。

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これまでもメルマガで述べてきましたが、中国人の最大の夢が、中国からの大脱走なのです。

2006年に中国の大手ニュースサイト「網易」が「生まれ変わっても中国人になりたいか」というアンケート調査をしたところ、約3人に2人が「なりたくない」と答えています。当時は胡錦濤政権ですが、前述したように、胡錦濤政権では亡命者希望者が徐々に減少していました。にもかかわらず、この数字です。

上記の調査を行なった「網易」の編集者は中国当局から解雇されてしまい、それ以後、同様の調査は行われていませんが、15年以上経過した現在では、さらに悪化していることは間違いありません。

しかも、このアンケート調査が行われた翌年2007年には中国経済は14.2%という高成長率をマークしています。それほど経済が好調であるにもかかわらず、6割以上の中国人が中国人でいたくないと思っていたわけです。

そして現在、中国経済の失速は明らかです。2022年4〜6月の中国の実質国内総生産(GDP)はわずか0.4%増にとどまり、ゼロコロナ政策によるロックダウンの深刻な影響が出ていることが明らかになっています。

● 中国経済失速 「ゼロコロナ」の代償は大きい

中国では預金が引き出せなくなったり、マンションの建設中止が相次ぐことなどで、大規模なデモが各地で発生しています。

7月10日には、河南省鄭州で、預金引き出しを停止した金融機関に対して、1,000人以上の預金者が「カネを返せ」と抗議デモを起こし、当局者と衝突、多くの負傷者を出しました。

この模様は日本のニュースでも報じられましたが、中国の地方金融機関が高金利を謳って資金を集めたものの、不正な投資などによって回収が不可能になった疑いが出たことが発端になっているようです。

● 中国で預金者が「人権と法治」求めデモ、負傷者多数 各地で騒動拡大

経済が回っているときには表面化しなかったような事案が、現在の中国ではどんどん出てきています。

景気の落ち込みによる不動産会社の倒産、あるいは建設会社が資金を別の投資に回してしまい回収できなくなったことなどから、中国全土で建設が中断しているマンションが増えていることも、そのひとつです。

これに対して、すでにお金を支払い済みの購入者たちの不安や不満が急拡大しており、中国全土でデモが発生しているのです。報道によれば、建設中断に怒った購入者が住宅ローンの支払拒否運動を起こしているマンションは中国で300カ所もあるそうです。

● 「ほとんどが泣き寝入りだ」中国マンション建設中断 デモ多発の背景

中国政府はこうした抗議デモを力で押さえていますが、人民の不満は今後、ますます大きくなっていくでしょう。民意を問うシステムがない中国では、デモや暴動で民意を示すしかないからです。

これまで中国政府は、人民の不満が高まったときには、その怒りを海外に向けさせることを行ってきました。天安門事件のあとには反日教育が行われ、国民の不満を反日に向けさせました。

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ただ、反日は政権批判へと転化する可能性があるため、もっとも可能性があるのは、台湾統一や尖閣奪取といった侵略による「偉業達成」だと思われます。

アメリカのCIA長官は7月20日、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、中国が台湾への武力侵攻を躊躇している様子は見られず、タイミングや方法について再検討しているだけだとの見方を示しました。つまり、戦闘が長期化してしまったロシアの失敗に学び、迅速に台湾を制圧するための作戦を練っているということです。

中国からの亡命希望者がこれほど増大しているということは、人民が今後の暗い時代を肌で感じていると同時に、中国共産党が自らを正当化するために、世界を混乱に陥れる可能性がますます高まっているということなのです。

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