日本や韓国では新型コロナウイルスが繰り返し猛威をふるっていますが、なぜか北朝鮮ではたった80日で新規感染者が0人になったと主張しているようです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、宮塚コリア研究所代表の宮塚利雄さんが、北朝鮮における新型コロナウイルスの「真の現状」を伝えています。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2022年8月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。

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北朝鮮のコロナ感染者ゼロと発熱者ゼロの怪奇

北朝鮮はゼロと100の数字が好きらしい。

100%は北朝鮮の選挙では100%投票し、100%賛成したと報じるのが常である。投票所で反対票を投じるには、他の投票箱の所に行かなければならず、そのような動作をしたらすぐに反動分子として捕らえられ、強制収容所送りとなること必至なので皆が賛成票を入れるのである。

さて、日本や韓国では新型コロナウイルスの感染者が急増しているのに、北朝鮮の朝鮮中央通信は7月30日付で「北朝鮮が5月に新型コロナ流入を認めて以来、初めて1日の新規発熱者ゼロだった」と報じた。北朝鮮は新型コロナ流入を認めた5月12日以来、毎日「発熱者」数を発表しており、80日目で初めて「ゼロ」になったということである。

それにしてもなぜ「80日目でゼロ」なのか。このゼロ発表の前日の7月29日に韓国政府系シンクタンクの韓国開発研究院(KDI)が公表した「北韓(北朝鮮)経済レビュー」に、漢陽大学医学部申栄全(シン・ヨンジョン)教授の寄稿文が掲載されたが、申教授は、「発熱者全員が新型コロナ感染者の場合、少なくとも死者は2万8,800人がいると見なすべきで、無症状の感染者や未報告事例なども勘案すると最低5万人に達した可能性もある」と指摘した。

北朝鮮は、新型コロナ感染により死亡したとみられる人の数を74人と発表しているが、北朝鮮が国際社会からのワクチン提供を受け入れを表明しておらず、申教授は「常識的にあり得ない数値」と断言した。

北朝鮮が発表する感染者数や死者、致死率の統計の信ぴょう性が低いと韓国が指摘したことについて、北朝鮮の対外向け週刊誌「統一新報」6月12日付の時論で「極度の無知から発した荒唐無稽の詭弁(きべん)」と批判したばかりであった。

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最大非常防疫体系が稼働して2か月目の7月12日には、朝鮮中央通信が国家非常防疫司令部の通報より、1日当たりの全国的な新規発熱者数は、11日(前日18時間から24時間)が900人あまりで、12日は770人あまりであった。12日現在の累計発熱者数は476万9,330人あまりで、476万7,690人あまりが全快し、1,570人あまりが治療を受けていると報じた。

北朝鮮の発熱者数は、コロナ流入を発表した3日後の5月15日に39万2,990人あまりの最高値を記録した後、同27日には10万人を、6月24日には1万人を下回るなど、感染状況は一貫して減少傾向で推移してきている。

地域別に見ると、コロナ発生初期は1日当たりの発生者数が20万人を記録し、全国で最も感染状況が深刻だった平壌の発熱者数は7月11日現在、38人に激減し、全国最多は平安南道の249人で、南浦市と開城市はゼロで、この時点で北朝鮮は「全国的な防疫状況が完全な安全局面に入った」と公言した。

朝鮮労働党機関紙「労働新聞」は7月7日付で「わが国は完全封鎖と隔絶措置を取り、短期間で世界を驚かせるような奇跡を創造した」と自画自賛したが、このような措置の断行と中国との国境封鎖により、北朝鮮の庶民の台所である各地の市場から中国製の食料や物資が消えて、一部の地域では餓死者が出ているとのこと。

中国は最近、年末に予定されている共産党大会に向けて国境での検疫を強化しているため、北朝鮮の食糧難は今後も悪化する見通しで、国連食糧農業機関(FAO)は、7月24日に公表した報告書で「直ちに食糧支援が必要な44か国」に北朝鮮も含めた。「コロナ死亡者よりも、食料不足による餓死が深刻化している」と報じられるほどに深刻な食糧難に陥っている。労働新聞は「共和国(北朝鮮)の行路で今日のように非常に厳しい局面はなかった」と報じるほどである。

さて、80日目で新規感染者ゼロと発表したが、5月12日に新型コロナ流入を公表したのは、4月15日の故金日成(キム・イルソン)主席生誕110周年記念、4月29日の朝鮮人民軍創建90周年記念の慶祝日の後だった。今度の「80日目で感染者ゼロ」の公表も意図的なものではなかったのでは。

90と110の間の「100日目でゼロ達成」としないで、80日目でゼロ達成としたのは、90よりも10早い数字を使ったからで、新型コロナ発生の公表は慶祝事の後にしたので、「発生者ゼロ」は100日ではなく90よりも早い80日目ゼロとしたかったのだろう。

※本記事は有料メルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』2022年8月5日号の一部抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会に初月無料のお試し購読をどうぞ。各月550円です。

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