韓国政府は北朝鮮との非武装地帯(DMZ)内部に入ることができる探訪路11コースを9月13日に開放。1953年の休戦協定成立以来、実に70年ぶりに入ることが許されるこの一帯は、DMZという性質から韓国でも最も手つかずの自然環境が残っている地域と言えるようです。今回のメルマガ『宮塚利雄の朝鮮半島ゼミ「中朝国境から朝鮮半島を管見する!」』では、宮塚コリア研究所副代表の宮塚寿美子さんが、この11コースの中でも、名山として知られる金剛山を望めるコースに注目。南北の関係悪化やコロナ禍により途絶える金剛山観光の現状を伝えています。

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70年ぶりに開放された非武装地帯(DMZ)内部にある探訪路

秋夕(チュソク=中秋節)が終わり、韓国は哀愁漂う秋を迎え始めている。朝鮮半島を南北に分ける非武装地帯は戦争と分断の痛みをそのままそっくり残す場所である。韓国政府は9月13日に、70年ぶりに初めてDMZ内部でも一般人が行くことができる道を開放した。

軍事統制区域であるために、手つかずの自然環境がそのまま保存されている。そのそばには、地雷表示板が設置された森の中の道を歩くと、鉄条網の向こうには澄んだ渓谷と滝の絶景が広がり、天然記念物のヤギの排泄物もあちこちに落ちているのが見られるという。

また、金剛山に続く最短距離である陸路は「31番国道」であり、1953年の分断以降、70年ぶりに「DMZ平和の道」として開放されたのである。現地の案内人によると、車がやっと1台通れるかという狭い道で、往復2.7キロメートルだそうだ。鉄条網が2重に配置されているDMZの最北端の高城(コソン)の海岸では、北朝鮮の海金剛が手に取れるように間近にあり、DMZの海抜850メートルの高台を登れば、南北を白頭山脈の峰と金剛山まで一目で見渡すことができる。

近隣住民の話では、「韓国では白頭山脈の始点です。DMZ平和の道524キロの中で自然環境が最もよく保存されています」。

この道は、西は仁川(インチョン)の河口から東は江華の高城まで524キロ区間11か所のコースになっている。既存の平和の道の区間でDMZ内部の路線が含まれるのは、今回が初めてである。70年ぶりに、初めて開放されたDMZ内部の平和の道は、事前予約をすれば12月中旬まで1日20人まで訪問することができる。

ビザなしで、韓国訪問ができるようになった。これから秋が深まる時季にぜひ訪れてみたい新しい韓国観光の名所になるかもしれない。

一方の北朝鮮の朝鮮中央テレビは、8月7日の夜の放送で、「緑陰が濃くなりつつあるこの頃、天下の絶勝、金剛山は滝の季節が真っ盛り」としながら、5日に撮影したという九竜瀑布や飛鳳瀑布などの映像を流した。金剛山の美しさとあちこちにある滝の景色の素晴らしさを伝えた。

金剛山観光地区は南北経済協力事業が中断して久しく、北朝鮮は、韓国側施設の撤去を本格化する一方で、独自の観光事業に力を入れているようだ。

先月発行した宮塚コリア研究所の機関誌『祝杯(チュッペ)』の特別号の表紙は2005年に宮塚代表が金剛山を訪れた時の写真である。

当時は日本からの観光客も韓国の高城経由で金剛山観光をすることができた。現在の政治関係を見ると、南北の金剛山を巡る思惑は相反することであっても、平和統一ということは常に願ってやまない。
(宮塚コリア研究所副代表・國學院大學栃木短期大學兼任講師 宮塚寿美子)

image by:Meeh/Shutterstock.com

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