5年に一度の中国共産党の党大会を終え、新体制となった習近平政権。次代を担うと目された人材が最高指導部を追われ、“異例の”3期目どころかその先も見据えるかのような“一極体制”がスタートしました。そんな習氏の悲願が中台統一。今回のメルマガ『ジャーナリスト嶌信彦「虫の目、鳥の目、歴史の目」』で著者の嶌信彦さんは、中国軍が早ければ2023年中にも台湾侵攻能力を整えるとする米軍の見立てから、3期目の5年のうちに統一への行動をとる可能性を指摘。さらには2049年の建国100年に向けた習氏の構想を紹介しています。

一極体制築いた習近平 毛沢東超えを狙う

5年に一度の第20回中国共産党大会は、習近平総書記(国家主席)が予想通り異例の3期目に選ばれて10月22日に閉幕した。党最高指導部である政治局常務委員(現行7人)も習近平氏の側近や習派の人が多数派を占め、中国は今後、これまでの集団指導体制から習近平“一極体制”で国家運営を行なう可能性が強まった。

また、習氏の悲願とされる中国と台湾の統一について「台湾の独立に断固反対し、中台統一へ武力行使を決して放棄しない」と表明しており、今後5年以内に台湾情勢が緊迫し、米国・日本との緊張関係が高まる可能性が出てきた。

今回の習近平氏の指導部人事は、ひと言で言うなら習氏に忠誠を尽くす人物で政治局常務委員を固め、次世代のホープとみられていた胡春華副首相や退任年齢に達していない李克強らも引退に追い込まれた。代わって引き上げられたのは、習氏のかつての部下や習氏への忠誠心が目立つ年下の腹心たちだ。ただ、習氏の後継者と目される人物はいないといわれるため、総書記・主席を続ける意向ではないかと憶測されている。

習近平氏の今後の大きな目標は、一つの中国を実現するため、台湾と中国の統一を図ることだ。台湾問題の解決となれば、米中の対立が高まり日本に駐留する米軍が否応なく中心となってくるため、米軍を駐留させている日本も巻き込まれることになる。

習近平主席は、武力行使の放棄は約束しないと明言、今回改正された党規約の中で「台湾独立に断固反対し食い止める」と表明し、中国軍は8月以降、台湾近海で実践想定の大規模演習を実施している。米軍は、中国軍が2027年までに台湾侵攻能力を整えると見ているが、早ければ2023年中にも実現させると観測しているのだ。

習主席は、建国100年にあたる2049年に、米国と並ぶ「社会主義現代化強国」の実現を目指すと指摘。その手法は資本主義社会の発展の道とは異なる「中国式現代化」であり、中国の国情に基づいた特色を持つ独自の発展モデルで、それは国民全体を豊かにする「共同富裕」の社会だと表現している。

そのためには新たな経済成長モデルとして人口14億人の内需を柱に外国からの投資も利用して経済の好循環(双循環)をもたらし35年までに1人当たりのGDPを中等先進国の水準に引き上げると述べている。また巨大経済圏構想「一帯一路」を通じて新興途上国のインフラ整備を進め米欧主導の国際経済秩序に対抗したいとしている。

気になるのは、習近平主席の発言に謙虚な姿勢が失われつつあることだろう。

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