昨年10月末のツイッター社CEOへの就任以来、赤字の同社を立て直すべく次々と経費削減策を実行に移してきたイーロン・マスク氏。しかしそのあまりの徹底ぶりが、社内に大きな混乱を招いているようです。今回のメルマガ『浜田かずゆきの『ぶっちゃけ話はここだけで』』では著者で国際政治経済学者の浜田和幸さんが、過激なまでの「マスク流」が引き起こした騒動を紹介。さらにマスク氏の野望である「火星移住計画」が頓挫しかねない理由を記しています。
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ツイッターで巻き上がった“トイレットペーパー”異臭騒動
ぶっちゃけ、つい1年前まで世界1の大富豪だった人物の行動とは思えないことが相次いでいます。
何かといえば、鳴り物入りでツイッターを買収したイーロン・マスク氏のことです。
買収直後から人員整理と経費削減の大鉈を振るっています。
最初は本社の警備サービスを廃止し、次には清掃サービスも中止しました。
そのため、トイレから異臭が漂い始め、廊下やオフィスでも「我慢できない」と社員の悲鳴が聞こえる有様に。
とどめは、トイレットペーパーの配給停止です。
「必要なものは各自、自前で用意しろ」というのが「マスク流」というわけでしょうか。
これまで経営幹部は全員、首を切られました。
その上で、「社員の在宅勤務は認めない。必ず出社して仕事に励め」と檄を飛ばすのがマスク新社長です。
ツイッター社は累積赤字が膨らんでおり、マスク氏は大胆なメスを入れなければ会社は持たないと危機感を強めたに違いありません。
とはいえ、ソフトウェア開発の専門家や技術者は次々に解雇されるか、自分から進んで退職してしまったようです。
これでは会社の立て直しどころか、足元から崩壊するのでは、と危惧する声が出てきました。
ほとほと嫌気がさしたのか、マスク氏は「俺に代わって経営トップを引き受けてくれるようなアホな人物が見つかれば、すぐにツイッターからオサラバする」と息巻く事態に。
その結論を得るために、彼はツイッターのフォロワーに「自分は残るべきか?それとも去るべきか?」とアンケートを取ったのです。
案の定、投票したフォロワーの57.5%は「去るべき」と答えました。
しかし、経営トップが自らの出処進退をSNSの反応で決めるというのは、実に無責任な言動としか思えません。
実は、ツイッターのゴタゴタ騒ぎのせいもあり、本業の電気自動車「テスラ」の収益も株価も急落してしまいました。
テスラの株価は昨年65%も下落。
年末に向けて大幅な値下げキャンペーンを打ったのですが、逆効果で、他のEVにお客を奪われたようです。
ブルムバーグによれば、「マスク氏は2,000億ドルの資産を失った」とのこと。
日本のアニメが大好きで、絵文字使いが得意のマスク氏ですが、このままでは自慢の「火星移住」計画も夢で終わりそうです。
ぶっちゃけ、社員にトイレットペーパーを持参させるようでは鼻つまみ者としか言いようがありません。
果たして、こんな体たらくでマスク氏のカムバックはあるのでしょうか。
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image by: Artsaba Family / Shutterstock.com
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