戦時中の徴用工問題。5月23日、被害者の支援団体が被害者らと「いかなる形であれ金銭を受け取った場合は、20%を団体に支払う」という内容の約束を交わしていたことが発覚しました。この問題について、韓国の無料メルマガ『キムチパワー』で、韓国在住歴30年を超え教育関連の仕事に従事する日本人著者が語っています。

徴用解決金の20%を寄付せよと

徴用工被害者を助ける市民団体が、被害者と11年前に結んだ約定を根拠に判決金の20%を要求していることが、23日確認された。該当団体は尹錫悦(ユン・ソンニョル)政府の「第3者返済」解決法に反対してきたが、一部被害者遺族が最近これを受け入れ2億ウォンを越える判決金を受領するや約定書を根拠にお金を出せという内容証明まで送った。遺族たちは最近になって「いかなる形であれ金を受け取る場合、20%を団体に支給する」という約定を思い出せと迫られている。

「日帝強制動員市民の集い」の監査人キム某弁護士は今月1日、判決金を受領したある被害者遺族に「約定金支給要請公文書」を送り「受領した2億5,631万3,458ウォンのうち20%である5,126万2,692ウォンを市民の集いに報酬として支給しなければならない」とし「ご協力をお願いする」と話した。

キム弁護士は「民主社会のための弁護士会」(民弁=もともと左寄りの団体)光州・全南支部出身で、団体の前身である「勤労挺身隊ハルモニと共にする市民会」共同代表を務めた。つまりガチ左の弁護士ということ。

支援団体が支給を要求する上で根拠に掲げたのは2012年10月、三菱重工業徴用被害者5人と結んだ約定だ。当時の約定書によれば「この事件と関連して損害賠償金・慰謝料・示談金などその名称を問わず被告(日本企業)から実際に支給された金のうち20%を会に交付する」となっている。約定書原本と共に1人当り支給しなければならない具体的な金額がウォン単位まで記載された「相続人別支給報酬額」書類を添付し「約定により支給しなければならない」と話した。

日帝強制動員市民会のイ・グクオン理事長らはこれを根拠に遺族と接触し財団が10年以上被害者を支援した点などを説明し約定金支給を要求していることがわかった。

約定を締結した被害者5人中3人が亡くなったが、3人中2人の遺族が政府解決策に賛成し先月中旬に2億ウォンを越える判決金を受領した。外交消息筋は「一部遺族は被害者が生前に締結した約定書の存在を受領後になって案内を受け支給に難色を示している状況」と話した。支援団体は遺族が判決金を受け取った直後、遺族に連絡を取り金額の一部を要求したが、これが受け入れられなかったため約2週間後に内容証明を送るに至ったのだ。

特に遺族の一部では、政府の解決策を批判し判決金の受領をやめさせようとしてきた支援団体が、支給が行なわれれば金額の一部を要求することになるのではないかと当惑する雰囲気もあるという。

支援団体は韓国政府が日本の被告企業に代わって判決金を支給する第3者返済に対して「加害者と被害者を覆した亡国解決法」と批判してきたし、一部では「法的に無効である可能性がある」とほざいててもいる。イ・グクオン理事長は3月、政府解決法に生存者3人が反対するという内容証明を行政安全部傘下の強制動員被害者支援財団に伝達した。今年初めに外交部が徴用工問題解決法として「第3者返済」を公式発題した国会公開討論会以後には「政府が人権侵害事件を単純に金支給問題に転落させた」とし、「補償は副次的な問題であり謝罪が先」と話した。ところが判決金支給がなされるや遺族たちと接触して「計算」を要求したのだ。

こうした中で支援団体は23日、被告から支給された金の20%を寄付することを明文化した約定について「社会的惨事など公益訴訟で一般的にあったこと」とし「原告が人権団体、活動家の助けを受けて受け取った金額の一部を他の公益事業基金に寄付するのはむしろより多くの先例として残るよう奨励されなければならない」と話した。

国民の力のキム・ギヒョン代表は「慰安婦被害者を助けるという理由を前面に出して個人的利益をかすめ取ったユン・ミヒャンの場合と変わらないように見える」とし、「徴用被害者のためという名目で補償金を奪っていくならば、これが組織暴力団と何が違うのか」と語気を強めた。

(無料メルマガ『キムチパワー』2023年5月25日号)

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