日本と中国間の航空便が増加したりと、コロナ前に比べて行き来がしやすくなっている状況ではありますが、両国の間には政治的な理由で溝が残ったままです。今回のメルマガ『黄文葦の日中楽話』では、日本と中国に求められる積極的な交流「グローバル時代」の突入について語っています。

日本人と中国人は、互いの国の在留資格を欲しがる異次元なグローバル時代がやってくる

周知のように、コロナで国境を越えることが難しくなった。昨年末から日本と中国のコロナ対策の転換によって、日中間の水際対策を緩和したり、航空便を増やしたりしている。ただし、両国の間にはまだ対立や反りがあり、お互いに意地を張っている状態が続いているようだ。

中国の上海にある大学で教授を務める友人がいる。彼は以前、日本に留学経験があった。彼は以前に5年間の観光ビザを申請したことがあるが、現在そのビザが期限切れになり、再度申請したいと考えているようだ。

しかし、申請の基準が厳しくなっており、以前は年収が税前で50万人民元以上であれば良かったのだが、現在は税金の納付額が8万人民元以上となっており、つまり実際の税前収入は70-80万人民元以上でなければ5年間の往復ビザを申請することができない。友人は、多くの中国のビジネスパーソンや学者も日本の長期ビザを希望していると話している。

最近、当方の知り合いの留学生が大学を卒業して日本のホテルに就職し、5年間の在留許可を得て大喜びしていた。日本語学校や専門学校は留学生の出席を厳しく管理しており、学校や留学生の最大の関心事は、出席率が低いと在留資格に影響することだ。

日本は4月21日、世界で活躍する優秀な人材を日本に呼び込むことを目的とした「特別高度人材制度(J-Skip)」の実施を開始した。この制度は、高度専門職が働きやすく、生活しやすい環境を提供するために、ビザ手続きの簡素化、税制優遇、便利な居住地の提供など、さまざまなインセンティブや支援策を提供している。この取り組みにより、優秀な人材が日本に集まり、経済、科学、技術の発展が促進されることが期待される。

しかし、人材獲得には、雇用機会、文化環境、価値観の相違、社会福祉、国民の意識など、さまざまな要因が絡み合い、その影響は複雑だと思われる。実際にこの制度が人材獲得に与える効果を検証するには、時間と実践が必要かもしれない。また、1ヶ月、制度実施後、どれだけの人が応募したのか、まだ正確にはわかっていない。

一方で、日本人も中国のビザを取得したいらしい。SNSの日本人の友達でも、中国の就労ビザを取得して大喜びしている人をたくさん見かけた。中国での永住権申請は、日本よりもはるかに難しい。統計によると、現在、中国の定住外国人は80万人、不法滞在外国人は100万人以上、留学生は44万人となっているようだ。

2022年12月4日現在、中国は外国人に合計7,300名の永住資格を与えた。毎年約384枚外国人永住許可証が発行される。外国人が中国で永住許可を取得したり、帰化したりすることは非常に困難である。香港での帰化は比較的容易かもしれない。

中国は30年以上にわたる改革開放で大きな成果を上げたが、今はもっと世界に開かれた国になる必要がある。そもそも二重国籍を承認したらどうだ。日本に帰化した中国人が最も期待しているのはこれであるかもしれない。

現在、アメリカ、カナダ、オーストラリア、イギリス、フランス、イタリア、スペイン、ポルトガル、ベルギー、オランダ、スイス、ルクセンブルグ、オーストリア、イスラエル、トルコ、セルビア、キプロス、アルバニア、モロッコなど、多くの国で二重国籍が認められている。

複数の国籍を持つことは、異なる国を行き来する自由や、異なる国の恩恵や教育資源を享受することなど、個人に多くの機会や選択肢を提供することになる。しかし、同時に二重国籍は、二国間の紛争や二重課税など、政治的・法的な問題を引き起こす可能性もある。

宇宙飛行士が言ったことを思い出した。「宇宙へ行くのにパスポートは必要ない」。中国と日本は、政治的な要因が両国間の人の移動に影響することを望まない。ビザ問題に関してより自由な政策を取ることは可能なのだろうか。

未来、日中の国境がなくなる日はくるだろうか。人々が自由に行き来できるように…ポストコロナ時代には、日中両国の人々の交流が大いに求められているのである。孤立主義や鎖国体制は無理になっている。異次元なグローバル時代がやってくる。

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