知人の子どもが春から保育園に入園する。そんな話をしていて、はじめて聞いたことがあった。

「慣らし保育」

子どもがこれから一日の大半を過ごすことになる保育園に、いきなり一日中預けるのではなく、徐々に滞在時間を伸ばして慣れさせて行くというシステムなのだそうだ。どこの保育機関でも行っているわけではなく、また、希望者にだけプランを考えて応じてくれるところもあるとのこと。

利点は、親、子ども、保育園、それぞれにある。

子ども

・家とは異なる環境、集団生活、社会に溶け込む

・親と離れて生活する時間、保育園のリズムに慣れる

・園内の雰囲気や、保育士さんなどの人柄を知る

・仕事復帰の準備に入りやすい

・いきなり一日子供を預けると子供を案ずる時間が長くストレスになる

保育園

・どんな家庭のどんな子供か探れる

・その子に合った保育をシミュレーションできる

とにかく、いきなり一日まるごと預けるとなると、子供も親も保育園側も不安や手探りで接するところが多い。文字通り、お互い徐々に新しい環境に慣れることが大切と考えてのシステム。

これを聞いて遠い記憶が蘇った。私は、保育園初日のことを今でも記憶している。いきなり知らない場所へ連れて行かれて、知らない女性に従わねばなくなり、知らない子達と遊ぶことを命じられたので、かなり戸惑った。「なんでこんなトコ来なきゃいけないんだ?」と思った。第一印象が悪く、どうも慣れなくてプチ登園拒否児になってしまった。

私のような偏屈な子どもを作らないためにも、このシステムを広め、活用してほしいと思う。

突然死の半数は1ヶ月内!?

そんな「慣らし保育」の情報を集めていたら、ちょっと驚くデータを目にした。実は、保育園に預けられた乳幼児の突然死は、最初の一週間から一ヶ月が多いとのこと。

内閣府によると、2016年までの10年間で、保育施設に預けられた乳幼児が睡眠時などで死亡する突然死は146件報告されている。年平均で考えると、その数は多いのか少ないのか判断は付きにくいが、亡くなった時期のデータを見て驚いた。

これは、関東の小児科の先生を中心とした研究グループが出したデータだが、

保育園に通園して

1日目に死亡 14%

2日目に死亡 7%

3〜7日目に死亡 9%

8〜1ヶ月内に死亡 21%

2ヶ月目以降に死亡 49%

なんと、突然死した乳幼児の半数以上が1ヶ月内だった。しかも初日に14%と高い数字を示している。実は、アメリカでも似たようなデータが出ていているそうだ。この結果は、新たな環境への適応困難が原因とされ、預かり初期のストレスとSIDS(乳幼児突然死症候群)危険因子との関係に研究が進められている。

考えてみれば、一日の大半を寝て過ごす乳幼児がいきなり慣れない寝床を与えられるわけだ。そして、聞き慣れない周囲の音が飛び込んできて、慣れない人に世話をされるとは、物を言えない乳幼児が恐ろしいストレスを感じるのも当たり前とも思う。悲しい突然死をさせない意味でも、「慣らし保育」はとても重要といえそう。

長い間、全国的に待機児童の問題が払拭できておらず、子どもを預かってくれる施設も施設の人手も足りていないという。「慣らし保育」は、その子どもとお母さんの事情に合わせてプランを組む場合もあり、短くて1週間ほど、長いと1ヶ月のスパンをみるそうだ。

しかし、様々な事情から施設によっては負担がかかるため「慣らし保育」に対応できない所も多いらしい。今更言うのも嫌になるが、待機児童というこんな言葉をいつまで使わなきゃいけないのだろうか。こういう素晴らしいシステムがすべての保育機関で行われるよう早く整えてほしいものだ。

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Fujisan.co.jpより