以前、野球選手のグッとくる成績(数字の並び)、『萌える成績』を紹介しましたが、今回はこれに内包される四番打者の理想的な成績の指標、『三倍打点』を紹介します。

これは、長打と勝負強さが要求される四番打者の本塁打数×三倍の打点数が効率的にホームランを打っている見方。つまり30本塁打の選手は90打点は欲しいということです。

今回は、そんな『三倍打点』について詳しく紹介します。

三倍打点は理想?

そもそも三倍打点なる理論は確立されていません。サイバーメトリクスのような研究に研究を重ねたような指標ではなく、ファンが勝手に言い出した「四番打者の成績として見栄えがいい数字の文字列」が三倍打点です。

とはいえ、先にあげた様に仮に『30本塁打、90打点』『40本塁打、120打点』という成績の選手がいたとして、打率を勘案しなければ四番打者として理想的で萌える数字です。

それでは三倍打点を成し遂げた一部の選手を紹介します。

ソフトバンク 柳田悠岐選手

2017年後半戦、主に四番を打っていた柳田選手。31本塁打99打点(3.19倍)と三倍打点をクリア。この年、同じく四番を打つことが多かったデスパイネは35本塁打103打点(2.94倍)で、ほぼ三倍を達成しています。

また、この前年、ほぼ四番に固定されていた内川は18本塁打106打点で六倍打点のような成績ですが、やはり四番としては本塁打が20台後半は欲しいところです。

その他、現役選手だと巨人・阿部慎之助選手(12、13年)、日ハム・中田翔選手(14〜16年)、横浜・筒香嘉智選手(15年)、そして三倍打点の生みの親ともいえる西武の中村剛也選手(15年)も達成しています。

阪神 金本知憲選手

現在阪神の監督、金本選手が2005年の四番で40本塁打125打点(3.12倍)と、高水準で三倍を成し遂げ、さらに打率も.325とまさに四番とはこうあるべきという萌える成績を残しています。

ところが五番打者の今岡選手は29本塁打147打点という五倍の打点を上げています。ただ打率が.279とやや寂しいものがあります。ちなみに金本選手、広島時代から主に四番打者だったシ−ズンで三倍を達成したのは8回あります。

※20本塁打以上のシ−ズン

西武〜巨人〜オリックス 清原和博選手

言わずと知れた甲子園球児の頃からのスーパースター清原選手。将来を嘱望されルーキーイヤーから四番を任された稀代の天才バッター。西武時代はほぼ四番打者で91年、94年、98年に三倍を達成。巨人に移籍してからはケガの悪化や強打者揃いのチームメイトの存在もあり四番を明け渡すこともありました。

惜しかったのは2001年。この年の四番は全試合、松井秀喜選手で36本塁打104打点と惜しくも三倍に届かなかったものの打率.333で首位打者となり申し分ない成績。その裏で五番打者の清原は29本塁打121打点(4.17倍)という高水準の成績を収めました。

50本塁打で唯一の三倍打点

現実的に三倍打点の頂点は50本塁打150打点だと思いますが、これを成し遂げたのが日本球界でただ一人、レジェンド・オブ・レジェンド、松竹ロビンスの小鶴誠選手。1950年に放ったホームランは51本、打点は161(3.15倍)。この驚異的な打点は現在でも破られていない日本球界のアンタッチャブルレコード。

しかし残念なのは、このシーズン小鶴選手は三番打者で四番は岩本義行選手だったそう。ちなみに岩本選手も39本塁打127打点(3.25倍)と条件をクリアしています。

そもそも四番、理想の数字『三倍打点』には欠陥があります。

先にも述べたように生みの親ともいえる中村選手が1度しか成し遂げていないのは偏に『ホームラン量産型の四番』であるためです。ホームラン30本台と40本台では条件に達する打点数の難易度がグンと上がります。事実、巨人時代の松井秀喜選手は一度も成し得ていません。また、打率、得点圏打率、三振数などが度外視されている点も危うい理論でもあります。

しかし萌える成績愛好家にとっては、テレビ中継を観た際に表示されるテロップ「本塁打40本 120打点」の美しさはやはり夢のようなわくわくする数字の並びなのです。

週刊プロ野球データファイル ベースボール・マガジン社
Fujisan.co.jpより