先日、女優の石原真理子(53)がコンビニで万引きをして捕まるニュースが流れた。盗んだのはお弁当とペットボトルのお茶。財布には3千円ほど所持していたが、他の物を買いたくて盗んでしまった…と容疑を認めたという。

 

 

石原真理子さんが万引きするにいたった理由は分らない。「万引き」というとなんだか軽いが、しかし立派な窃盗罪である。

 

平成28年版の『犯罪白書』によれば、窃盗の認知件数は約80万件。そのうち、お店の商品をひょいと盗む、いわゆる「万引き」の占める割合は14.5%だった。つまり、11万件以上の万引きが認知されているわけで、逆に発覚していない万引き数はとんでもないだろう。被害が凄すぎて店をたたんだ本屋さんもあると聞くと、もう凶悪犯罪だ。

 

万引きがやめられない病気

何度も何度も捕まる常習万引き犯は、病気(疾患)の可能性が高いことをご存知だろうか?これは「窃盗症(クレプトマニア)」と呼ぶそうだ。“万引き”というと、お金のない子供がゲームやマンガを盗む、お金のない人が食べ物を盗む、など欲しい物をタダで手に入れようと企む印象が強い。“出来心”で改心する人は救いようがある。

 

しかし窃盗性は「快感」を得るために店で物を盗む事を繰り返す病気である。普通に購入できる金銭的余裕はあっても、窃盗の衝動を抑えきれずやってしまう。窃盗の行為自体に快感があるため、窃盗の対象物は何でもかまわず、窃盗による利益は求めない。盗みの最中の緊張感、スリル、成功時の開放感や満足感を得る事が目的なのだ。

 

特徴として、盗んだ商品は、未使用のまま廃棄・隠匿したり、他人へ譲るなど特に自分の為には使わない場合が多い。現場に返却する場合や、盗んだ直後に店のゴミ箱に捨てて行くケースもあるとのこと。物欲じゃないことが伺える。釣りのキャッチアンドリリースに似ている気もする。

 

罪悪感、後悔はある

 

窃盗で得られる快感は一時的で、盗みが終わった直後から罪悪感が生まれ強い後悔が続く。しかし、普通にお店へ買物に行くと沸々と窃盗衝動が出て、また盗みを働いてしまう。盗みの衝動を抑えられ、何日か我慢できることもある。ところがそれで「明日の買い物では我慢できるか」と、常に考えながら生活をしなければいけない。つまり、盗んだ日も盗まない日も精神的に追い詰められてしまうわけだ。

 

窃盗病患者の中には情緒不安定な人も多く、実際、万引きが見つかった後に会社や家族などに知られることを恐れ、自殺や自傷行為にいたる人も多いとのこと。万引きから命を失うと考えると、とんでもなく恐ろしい病気だ。

  

平成27年版犯罪白書によると、窃盗罪の再犯率は覚せい剤取締法違反に次いで高い。

 

22年の出所者(9855人)の5年以内の再犯率(26年)は46・1%(4542人)と、半数近くにも上り、捜査関係者が「癖(へき)」とも表現するほど、なのだそうだ。確かに、お店に入って商品を目の前にすればやれてしまう犯罪なのだから身近極まりないのである。

 

とにかく病院へ

サンデー毎日 2015-05-26 発売号
Fujisan.co.jpより

窃盗症(クレプトマニア)は病気である。

 

思い当たる人、あるいは周囲に思い当たる人がいる場合は、精神科・心療内科で一度相談してみることが重要。ただ、まだ窃盗症自体の認知度が低く、専門知識を持つドクターや専門家も少ない現状なため、病院へ行ったところで思うような診断を受けられず、路頭に迷う人も多いそうだ。

 

でも、そこはあきらめず、インターネットで「窃盗症・クレプトマニア・治療・(地域)」などと検索してみて、適した病院を探してみて欲しい。例えば、窃盗症専門じゃなくても、依存症の治療に特化した病院や診療所もあるので、事情を打ち明ければ良くしてくれるドクターはきっといるはず。希望は捨てないで欲しい。

 

知人のおばあさんが通うカラオケ教室で、いつもお菓子を沢山差し入れしてくれる人がいたそうだ。65歳前後の、普通の明るい方だったが、その人が万引き常習犯だったらしく、捕まった。差し入れしていたお菓子はスーパーでこっそり盗んでいたものだったと聞いたみんなは、

 

「私達はいつも盗んだものを食べて喜んでいたのか…」

 

と、罪悪感に苛まれた。後味が悪すぎてカラオケ教室を辞めた人もいたそうだ。こんなふうに連鎖で他人を不幸にするケースもある。

 

一度やったら繰り返す可能性があることを知ってほしい。万引き、ダメ、絶対。