誰に紹介しても外れのない名店を、また見つけてしまいました。料理が美味しいのは当然、銀座8丁目8番地という立地、ディナー4000円〜というコストパフォーマンス、そして、こだわりオリーブオイルを“かけ放題”というオリジナリティ…すべてにおいて5つ星だと感じるイタリアンレストラン、その名も「銀座オリーブ」さんです。

オリーブオイルを楽しむというコンセプトの店内には、ギリシャから直輸入しているオリーブオイルが並び、料理の香と共に食欲をそそられます。イタリアンなのにテーブル席の他に、お寿司屋さんのようなカウンター席があるのも気になるところ。

そこで今回は、「銀座オリーブ」シェフの西さんに自慢のオリーブオイルをはじめ、こだわりのメニューや他にはない独自のサービスなどについて伺いました。

スーパーなどで買える最高峰オリーブオイル。その約80%が本物とはいえない理由

――「銀座オリーブ」さんは“ホンモノ”のエキストラバージンオリーブオイルがかけ放題の店ということですが、本物とはどのようなオイルなのでしょうか?

まず、オリーブオイルの国際機関「国際オリーブオイルカウンシル」(以下、IOC)と日本では、もっとも新鮮で質が高いとされるエキストラバージンオリーブオイルの設定基準が異なることからお話ししなければなりません。

IOCでは、絞ってからの新鮮さを表す“酸度”が0.8%以下のものと定められています。日本ではJAS法(日本農林規格法)では酸度ではなく酸価基準で2.0g以下であればエキストラバージンオリーブオイルと表記できます。(※酸度%=酸価(mg)×0.503)ちなみにJASにはIOCのように「エクストラバージン」といった規定がありません。

そもそも、質の良いオリーブオイルはヨーロッパ国内での需要が高く、海外に出回る数は希少なうえ、日本ならば酸度が2%以下の質の劣るオイルでも高く売れるとあり、日本の市場にあるエキストラバージンオリーブオイルのほとんどが、ヨーロッパではバージンオイルと呼ばれるものの部類にあたります。

当店では、ギリシャのオリーブ農家さんと直接契約しており、IOC基準を守っているエキストラバージンオリーブオイル「ASTIR」をメインに、日本のメーカーさんで定評のある「天草オリーブ園AVILO」など、ギリシャ、スペイン、トルコ、イタリア産などのオリーブオイルが楽しめます。

「ASTIR」の缶にも表示してありますが酸度は0.8%以下。酸化を防ぐため24時間以内にビンに詰める必要など厳しいルールがあり、この数字はワインと同じく、果実の質や絞りのスピードによって差がでるために、年によって若干の変動があります。本当に質の良いオリーブオイルの管理はとても繊細です。

写真)ギリシャから直接仕入れている正真正銘のエキストラバージンオリーブオイル「ASTIR」。この銘柄を日本で味わえるのは「銀座オリーブ」だけ。

写真)2019年に生産された「ASTIR」。裏には酸度0.5%の表示が。ちなみに2018年の缶には0.8%とありました。

辛さの主成分はポリフェノール。健康的なオイルと美味しいオイルの違い

―― たった12割ほどしか出回っていない貴重なオリーブオイルがかけ放題とは、それだけでもお店に通いたくなりますが、テイスティングスや試飲もできますか?

イタリア料理にオリーブオイルは外せないものです。和食でいうところの醤油のようなもの。現地の味を表現するめに質の高いオリーブオイルはかかせません。また、ギリシャでは家庭や個人で差はありますが、スプーン一杯をそのまま飲む習慣があるくらい健康的な価値もあります。

ですが、味覚の点では必ずしも酸度が低く新鮮なものが“美味しい”とは限らず、お客様によって好みが違います。スパイシーな品種が好きな方もいますし、酸度が高く味がマイルドになってしまったオイルに慣れている方は、新鮮なオイルの味に違和感を覚えるかも知れません。

そこで、お好みのオリーブオイルを探していただくために、ネットショッピングサイトの「LUXA(ルクサ)」さんで、テイスティングコース(予約制)のチケットを販売しています。(現在は販売終了)はじめにそのままスプーンで飲んだり、パンにつけたりして味を比べ、気にいったオリーブオイルを選んで料理につけて食べていただけるコースです。

写真)左から「ASTIR」(ギリシャ産)「天草オリーブ園AVILO」のエクストラバージンオリーブオイル マイルド (トルコ産)、同、スパイシー(イタリア産)、「ASTIR」(ギリシャ産)。

写真)「ASTIR」。宝石のように奇麗なグリーンのオリーブオイルです。

―― オリーブオイルの種類(味)によってマッチする料理としない料理などはあるのでしょうか?

辛さの主成分はポリフェノールで、これは品種や濾過の仕方などで変わります。品種にもよりますが、例えばイタリア トスカーナ地方の摘みたてオイルは辛味が強く、南の方は苦味が強いなどの違いがあり、本来ならば、その土地のオリーブオイルを使って、その土地の郷土料理を味わう地産地消が最高ですよね。

当店では、幅広くイタリア料理を楽しんでいただきたいこともあり、エキストラバージンオリーブオイルのなかでも、どんなメニューにもマッチしやすく日本人の味覚に馴染みやすい、クセのないギリシャ産の「ASTIR」を選んでいます。

写真)お寿司屋さんだった店舗を改装。カウンター越しに、オリーブオイルを使ったレシピの相談やイタリア旅行の話など、スタッフの方とおしゃべりができるのもGOOD!

写真)お酒の銘柄のように並んだオリーブオイル。ビンにお客様が描かれたイラストを見つけました!お客様との距離感が近いお店なのですね。

お店一押しメニューは東京野菜とピザ生地?

―― やはり、お客様はオリーブオイル好きの方がメインですか? 皆さんどんなメニューと併せて注文されるのでしょうか。

純粋にイタリア料理を楽しみたいというお客様以外に、オリーブオイルが好きで、詳しくなりたいという方は多いです。オリーブオイルを試したり、存分に味わえたりするお店は他にないと思いますし、もちろん「ASTIR」を買って帰られるお客様もいます。

一番人気は「マルゲリータ」。もっともポピュラーなメニューでオリーブオイルもおいしく味わえます。店のおススメならば「東京野菜の完熟フレッシュトマトスパゲッティ」でしょうか。スタッフにも大人気の一品で、味がしっかりと濃い東京野菜の完熟トマトを使用したシンプルだけれど味わい深いソースが自慢です。

東京野菜やオリーブオイル以外に、特にこだわっているのが“ピザ生地”。ピザは生地・チーズ・具材にも塩が入っているので、食べているうちに味に疲れてきてしまう。そこで、生地の塩分を控えめにすることで、飽きずにミミまで楽しんでいただけるよう味を調えています。

写真)「マルゲリータDOP」。トマトソースと水牛モッツアレッラ、バジルの王道ビザ。ピザなのに重くないのでスルスルッ〜と完食。たっぷりオリーブオイルをかけていただきます!

写真)ちなみに編集部おススメは東京野菜のピクルス。酢が苦手な人でも、オリーブオイルをかけることで味がまろやかに。底に溜まったオイルと酢まで飲み干すほど気に入りました。

写真)「東京野菜の完熟フレッシュトマトスパゲッティ」。シェフが足しげく通ったフィレンツェの店からヒントを得たフレッシュトマトのスパゲッティ。喉越しが良い麺と、トマトのうま味に悶絶!

あくまで料理が主役。オリーブオイルは引き立て役

―― オリーブオイルが自慢のイタリアンとは個性のある面白いコンセプトだと思うのですが、構想はいつごろからあったのですか?

質の劣ったオリーブオイルが、エキストラバージンオリーブオイルとして日本で売られているのを知ったときからでしょうか。

前職はSEで飲食業とはまるで畑違いの仕事をしていたのですが、29歳のときに語学を学びたいとイタリアに留学しました。イタリアにした理由はイタリア料理と「ACミラン」が好きだったから(笑)。ブラジルにフットサル留学していたこともあるんです。

はじめ、現地の語学学校の先輩が日本食レストランに勤めていたので、そこで活きたイタリア語を学べるかも?とキッチンスタッフとしてお世話になりました。そうこうしているうちに、別のお店からも声がかかって地中海料理屋店をはじめピッツェリア、トラットリアといったお店を転々とし合計で6年くらいイタリアに滞在した後に帰国し、接客・発注・ワインなどホールの勉強を中心に経験を積み「銀座オリーブ」を開店しました。

こんなにもオリーブオイルにこだわっていますが、あくまで料理が主役。お寿司でも醤油が主役になるお店は無いでしょう。まさかお店を開くことになるとは思っていなかったので不思議な縁ですが、現地で食べたあの味を、上質のオリーブオイルを好きなだけかけて、よりおいしく、ヘルシーに楽しんでいただけたら嬉しいです。

写真)カウンターだけでなく、団体で座れるテーブル席や通常のテーブル席もあり、TPOに合わせて利用できるのも便利です!

銀座オリーブ

場所:東京都中央区銀座8-8-8 スリーエイトビル3

時間:平日 18:00〜23:00(L.O.22:00)/土日祝 17:00〜21:00(L.O.20:00)  休日:不定休

公式HP  https://ginza-olive.jp/ 「銀座オリーブ」のLINE(ライン)では、お得なキャンペーン情報をいち早くお届けしています

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