「承認」をキーワードにした独創的な朝礼で企業文化を輝かせ、会社の業績を飛躍的にアップさせた清松総合鐵工(大分県宇佐市)に注目が集まっている。代表取締役の清松芳夫さんにインタビューし、ミスやヒヤリハットを咎めずに「承認」することで会社と社員の成長につなげる独自のシステムなどを通して、より良い社会のあり方を探った。 

鉄骨の設計・加工などを手掛ける清松総合鐵工。最大の特徴は会社の名物となっている朝礼だ。月に一度の公開朝礼には、社員数を超えるほどの多くの見学者が訪れることもある。この朝礼によって独自の企業文化が生まれ、売り上げは3年で180%もアップした。 

朝礼では、ユニークな3つの運動が行われている。1つ目は「イイネ運動」だ。

「イイネ運動は、誰かが誰かの良いところを探してみんなの前で発表し、それを全員が声をそろえて『イイネ!』と褒め合います。同僚の良いところばっかりを探そうとする会社なんです。良いところを見つけるためにはその人のことを知らなければならないし、嫌いな人の良いところは見つけづらいので、自然と好きにならざるを得なくなる。『イイネ運動』のおかげで社員同士が仲良くなれるんです」 

どうしても人間は「他人のアラ」を探しがち。それが原因で会社内の人間関係が悪化することも珍しくない。だが、同社は「イイネ運動」を通して、同僚の長所を常に探すような良い雰囲気を生み出すことに成功した。 

2番目は「ええじゃないか運動」。社員がミスやヒヤリハットを報告し、それに対して全員で「ありがとう」と言うのだ。

「人は怒られたり咎められたりしても変わることはできません。怒られたら言い訳を考え、その言い訳で自分を納得させ、それ以上の成長をしないんです。ある意味、言い訳をさせた時点で経営者の負け。言い訳をさせないためには認めること。人は認めてくれる相手の期待に応えようとしますから」

ミスやヒヤリハットの例を知識財産として蓄積・共有すれば、次のミスを減らすことにつながって社員全体の成長や会社の利益になる。だから、咎めるのではなく「ありがとう」なのだ。

「トラブルの時に『犯人捜し』をするのではなく、みんながそれぞれ自分の問題だと考えて、我が社の『世のため、人のため、そして自己のために』という社是のようにベストな解決法を見つけ出して実行すれば、それはきっとトラブルがなかった時よりも良い印象になります。トラブルを起こさない努力より、いかにトラブルを解決するかが大切であると思います」

3つ目が「ハイタッチ運動」。朝礼開始の10分前から会場に清松さんが笑

顔で立ち、集まってきた社員やゲストをハイタッチで迎える。リーダー自らフランクに挨拶することで、全員の結束が強まる。

これらの運動の根幹にあるのは「承認」というキーワードだ。

「否定されているのではない、非難されているのではない。私のやっていることはすべて認められているんだ、これをやっていて私はいいんだってみんなが思うこと。『明日仕事ができることが嬉しい』『今日会社で仕事ができて楽しかった』と思える会社を作れるんじゃないかと。そういう意味で『承認で成り立つ会社』というのが、僕が目指す究極の会社だと思います」 

ミスした部下を叱り飛ばすような前時代的リーダーシップではなく、清松さんの猛烈な求心力は社員たちを「承認」することで意欲や結束力を高めることに使われている。

他人からの「承認」を求めてSNSにハマり込んでしまう人も少なくない現代。「承認で成り立つ会社」を目指したことで、社員たちは他人の期待に応えようとして主体的に動くようになり、結果として「3年で売上180%アップ」という大きな成果を生み出した。

さらに、清松さんは今後の日本を背負う若者たちに向けて、このように語ってくれた。

「これからの世界は加速度的に変化していきます。だからこそ、これからの時代を生きる若い人は変化を選択していかねばなりません。人は楽しいことをしている時に一番成長することができる。リスクを恐れず、変化を楽しんで、これからの人生を精いっぱい楽しみましょう 

現代を表すキーワードともいえる「承認」を軸に、新たな企業文化を生み出すことに成功した清松さん。同社の飛躍的な成長こそが、今後の社会のあるべき姿の証明になっているのかもしれない。