苦しさを感じながらも毎日の生活は続いていく

 主人公の男には妻と息子がいましたが、息子は崖から飛び降りて自ら命を絶ってしまいました。夫婦は悲しみに暮れ、月日が過ぎても「悲しさはあの日のままだ」と語り合います。やがて妻にも先立たれ、男はひとりぼっちに。「自分は何のために生きているんだろう」と自身に問いかけながら、息子が亡くなった崖を訪れて……。

 電気こうたろうさん(@gurigurisun)による創作マンガ『生きて伝える』がTwitterで公開されました。「人は何のために生きるのか」をテーマに、どこか淡々とした雰囲気も漂わせながら、切なさを感じさせるストーリーが繰り広げられています。読者から「全ての描写が妙にリアル」との感想も寄せられるなど、独特な作風のマンガです。

 そのほかにも「他人ごとではなく身につまされてしまった」「葛藤がものすごく伝わってきました」「胸にジーンとくる素敵な作品」「泣いてしまった」など多くのコメントが寄せられました。Twitter投稿には2000件を超える「いいね」が集まっています。

 作者の電気こうたろうさんに、お話を聞きました。

ーー電気こうたろうさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

 もともとバンドをやっていて、それで食べていけたらなと思っていたのですが上手くいきませんでした。働いてみても続かず、なんとなく楽で楽しそうなマンガを仕事にできたらと思って描き始めたのがきっかけです。とはいえ、蓋を開けてみるとマンガを描くのはものすごく難しくて、全然楽ではないことに気付かされました。

ーー『生きて伝える』のお話はどのようにして生まれましたか?

 初めはひとつの家族が消滅して忘れ去られるという物語にしようと思って描き始めました。ですが、描いているうちに「そんなに人生や思い出は簡単に消えるのか?」と疑問が湧いてきたことがきっかけで生まれました。

ーーこの作品を描くうえで気を付けた点や工夫した点はありますか?

 多少矛盾するところが出てもいいからキャラクターに生きている人間の言葉で話してもらうことと、そのうえで作者である自分の考えや欲がセリフに表れないように気をつけました。

いなくなってしまったはずの息子を探すようになる妻(電気こうたろうさん提供)

ーー作品のタイトルに「伝える」という言葉を含めたのは、どのような意図からでしょうか?

 有名な人なら、本になるなどして語り継がれやすいと思います。ですが、有名ではない人も身の回りの人や誰かに、亡くなってしまった大事な人の思い出を語り伝えるはずだろうと。そう思って「伝える」という言葉を入れました。

ーー特に印象に残った読者の声について、教えて下さい。

 特にこの方のこの言葉がっていうのは決められないのですが、きっと家族や大事な人、動物を亡くした方々が感想を下さったように感じて、「これからもちゃんと描こう、最後まで丁寧に描こう」とあらためて思いました。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 やっぱり自分が描きたいものをしっかり体重を乗せて描くだけだと思っています。描きたくない日は描かないし、描きたい日には楽しんで、暮らしに無理がない範囲でマンガを描いていこうと思ってます。