アムロが乗り込むことで超常的な力を生んだvガンダム

 本日9月3日は「vガンダムの日」。型式番号の「RX-93」にかけてファンから声が上がったようで、正式な記念日というわけではありません。しかしここ数年、多くのガンダムファンには認知された記念日となっています。

 vガンダムは劇場版『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』に登場したMS(モビルスーツ)で、シリーズ最初の主人公であるアムロ・レイが最後に乗り込んだ専用ガンダムでした。そのためファンからの人気も高く、ガンダムシリーズ全体から見ても認知度の高いガンダムと言えるでしょう。

 このvガンダムの特徴と言えば、やはり背中に背負った「フィン・ファンネル」です。このフィン・ファンネルが、デザインとしても重要な位置にありました。もともとは富野由悠季監督の「マントの付いたガンダム」というオーダーに対する答えがフィン・ファンネルで、もうひとつの「RX-78への原点回帰」というオーダーに答えたのが基本のシンプルなデザインです。

 多くのデザイナーが関わるなかで、劇場版のメインメカデザイナーに抜擢された出渕裕さんがデザインをまとめ上げてvガンダムは完成しました。原点回帰と言いながらもガンダムで初めて左右非対称になるなど、革新的な部分もある良デザインだと言えるでしょう。これまで定番だったトリコロールでなく、白と黒に塗り分けられたカラーリングも新ガンダムをイメージさせる斬新なものでした。

 vガンダムは主役機で初めてのサイコミュ兵装搭載のMSですが、それ以上に強力な武器となったのが「サイコフレーム」です。サイコフレームは単純な強化アイテムというだけでなく、劇場版本作を動かす舞台装置としても大きな意味を持ったものでした。

 このサイコフレームという超常的な力は本作だけでなく、後の宇宙世紀の物語にも大きな影響を与えてます。前段階とも言えるZガンダムなどに装備されたバイオセンサーと同じく、ニュータイプ能力が力として形になり、本作終盤で巨大な宇宙要塞アクシズを押し返す奇跡を生みました。

 これらのことを考えると、vガンダムはアムロのニュータイプ能力に合わせた専用機。その力を極限まで引き出す、最後の愛機に相応しい能力を持っていたことがあらためてわかります。ゆえに人気の高さも当然だと言えるでしょう。

小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場した別バージョン「RX-93-v2 Hi-vガンダム」。画像は「MG 1/100 RX-93-v2 Hi-vガンダム Ver.Ka (機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン)」

数多いバリエーションはファンの期待が生んだIFのvガンダム

 このvガンダムの特徴のひとつに、主役機には珍しくバリエーションが多いことが挙げられます。後年に作られた設定では、シャア・アズナブル率いるネオ・ジオンとの戦いに備えて、あらかじめ追加兵装などのオプションがいくつか考案されていた。……と設定されています。つまりネオ・ジオンとの戦争は、地球連邦の予想よりも早く終結したということになるでしょう。

 現実の時系列的にvガンダムの最初のバリエーションとなるのが、小説『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア ベルトーチカ・チルドレン』に登場したvガンダムの別バージョン「RX-93-v2 Hi-vガンダム」になります。何度かの設定とデザイン変更を繰り返して現在の形になりました。

 vガンダムとは背部のフィン・ファンネルの接続方法が大きく異なります。型式番号からvガンダムのバージョンアップ機体と考えられ、ゲームなどではアムロ用の最終機体という位置付けになることも多くありました。

 この名前には逸話があります。もともとvガンダムは「Hi-S(ハイエス)ガンダム」となる予定でした。その意味は「シャアを超える」。ところが、これは富野監督のミスでした。シャアのスペルはSでなくCだったことで、新しいガンダム→NEWガンダム→vガンダムということでvガンダムという名前になったそうです。これを組んでHi-vガンダムという名前が付けられました。

 vガンダムの追加武装プランとして最初に考えられたのが、ガンプラの説明書に掲載された「vガンダム ダブル・フィン・ファンネル装備型」です。左側に集中していたフィン・ファンネルが左右対称に装備したバージョン。最初は通常型と同じ数の6機を左右で3機ずつ装備していましたが、昨今では両側に6機ずつ合計12機が一般的になりました。

 この他にもガンダムタイプ定番のフルアーマープランである「FA-93HWS vガンダム ヘビー・ウエポン・システム装備型」があります。近年にはHi-vガンダム用のヘビー・ウエポン・システムも設定されました。

 変わり種として「RX-94 量産型vガンダム」があります。もともとvガンダムは量産型への転用も検討されていたという設定で、エースパイロット用に開発されました。特筆する点はニュータイプでないパイロット用装備として、フィン・ファンネルからインコムにユニット換装ができる点です。「機動戦士ガンダムUC」で登場を検討されましたが、イメージが強すぎるという理由で使用されるMSはシルヴァ・バレトに変更されました。

 そして最近、新たに生まれたのが実物大vガンダム立像「RX-93ff vガンダム」です。大きな違いは、背部に新たに設定された「ロングレンジ・フィン・ファンネル」を装備している点。このロングレンジ・フィン・ファンネルは射撃だけでなくビームサーベルとしても使用できる優れモノでした。

 正式にはコメントされていませんが、通常のフィン・ファンネルでは建築法に引っかかると言われ、実物大のvガンダム制作のために必要な処置だったと噂されています。ファンには設置場所から「福岡vガンダム」とも呼ばれていました。

 ガンダムシリーズ最初の主人公アムロの最後の愛機ということでファンから絶大な人気を得ているvガンダム。ひょっとしたら今後も新たなバリエーションが生まれるかもしれません。