何十年も語り継がれる名シーンだらけの『ガンダム』

 独特の世界観と壮大な歴史を持つ『ガンダム』シリーズ。特に一作目には今に続く『ガンダム』作品のエッセンスが凝縮されています。この記事では『機動戦士ガンダム』から歴史に名を刻む戦闘シーンを3本紹介します。

●モビルスーツ同士のチャンバラから白兵戦へ!

 最初に紹介したいのはガンダムVSグフです。グフのパイロットは「青い巨星」ランバ・ラル。アムロがシャア以外ではじめて勝負を意識した強敵です。歴戦の武人といった風情のラルが駆るグフとの決闘は、まさに巨大ロボットによる殺陣の見本だといえるでしょう。

 剣、盾、ムチ、フィンガーバルカンを駆使するグフに対し、機体の性能に助けられながら、辛くも勝利をおさめたアムロ。しかし戦いはここで終わりません。

 ジオン軍内部の権力争いのせいで新たなモビルスーツの補給を受けられないラルは、部隊を率いてホワイトベースに白兵戦を仕掛けます。ホワイトベースの外壁を破壊して侵入を果たし、第2ブリッジの占拠に成功するラルたちですが、艦内でセイラを目にして一瞬の隙を見せたところをリュウ・ホセイに撃たれます。

 敗北を悟ったラルは、アムロの目の前で手榴弾を胸に抱いて身を投げました。この戦いでアムロは戦士の覚悟を知ったのです。

●宇宙に海が!ニュータイプ演出はここから始まった?

 二本目の名勝負はガンダムVSエルメス&ゲルググのニュータイプ戦です。エルメスが飛ばしてくるビットのオールレンジ攻撃を避けながら、次々とビットを切り裂き、修羅のように戦うガンダム…今見ても凄まじい作画です。

 激しく戦いながらも、やがてアムロとララァは感応し、いつしかふたりは空間を超えたコミュニケーションを始めました。ふたりの戯れるような様子を察したシャアは、ゲルググで間に割って入ります。

 ジオン公国の最後の量産機ゲルググ。高いポテンシャルを秘めていたが実戦配備が遅れ、戦争末期に登場した。画像は「HGUC 1/144 シャア専用ゲルググ プラモデル」(BANDAI SPIRITS)

シャアがアムロに嫉妬!「ララァ、ヤツとの戯言はやめろ!」

  アムロとララァの感応に割り込んだシャアは、間違いなくアムロに嫉妬していました。冷静さを失い、割り込んできたセイラのコアブースターを斬ろうとしてララァに制止されるシャア。その一瞬の隙をつかれてガンダムに右腕を切り落とされ、止めを刺されそうになります。

 しかしその瞬間、ララァのエルメスが割って入りました。ガンダムのビームサーベルはエルメスのコクピットを貫き、ララァを焼き尽くします。絶叫!

 さっきまで初めて会った恋人同士のように感応していたアムロは、自分の過ちにショックを受けますが、ここでなんと宇宙に海が…波が押し寄せてきます。そして肉体を失ったララァの精神は、アムロに別れを告げ宇宙へ飛翔していきました。

 この戦いで描かれたモビルスーツ戦からスピリチュアルな世界につながる演出は極めて斬新で、『機動戦士ガンダムUC』を含むその後の作品にまで受け継がれています。

●全てはラストシューティングのために!

 最後に紹介するのは、ガンダムVSジオングです。この時のシャアとアムロは力量が逆転しています。不慣れなジオングに搭乗していることもあって、シャアがアムロに食い下がっていく展開のなか、徐々に満身創痍になっていくガンダムとジオング。遂にガンダムは頭部と左腕を失い、ジオングは頭部(ジオングヘッド)だけになります。

 ア・バオア・クーの横穴に逃げ込んだジオングヘッドを追うガンダムですが、何かを察したのか突然アムロは自動操縦プログラムを設定してガンダムを降ります。このアクションに一切の説明はありません。緊張感が高まります。

 無人で歩行するガンダムが広間についたその瞬間、天頂方向からメガ粒子砲が放たれ、無人のガンダムも直上にビームライフルを発射! ジオングヘッドが広場の上で待ち伏せしていたのです。

 両機は相打ちになり、シャアはジオングヘッドから脱出しました。これが「ラストシューティング」と名づけられた『ガンダム』史上屈指の名シーンです。

 純粋なパイロット同士の技量比べから最終的に心理戦へ。機体の損傷などの展開はこの一瞬のために用意されていたと言えるでしょう。

 この他『ガンダム』シリーズには無数の名シーンがあります。もしネットミームで知っているけど実際には見たことが無い、という人はぜひチェックしてみてください。