原作も劇場版アニメもTVアニメも全部楽しみたい!

 炎柱・煉獄杏寿郎の生き様に多くの人が涙した『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』。2021年10月10日(日)からの完全新作エピソードを含むTVアニメ「無限列車編」(全7話)の放送開始に向けて、ファンの期待と興奮は日に日に高まっています。

『鬼滅の刃』は劇場版も原作をそのままなぞっているので、ストーリーに大きな違いはありません。しかし、静止画であるマンガでは描ききれなかった動きがアニメーションではフォローされており、特に戦闘シーンの迫力や美しさは特筆すべき点です。

 この記事ではTVアニメ放送の前に、原作マンガにはなくて『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』にあった気になる14のシーンをご紹介します。

※この記事には、『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』及び、まだアニメ化されていないシーンについての記載があります。原作マンガを未読の方はご注意ください。

●冒頭・お館様の墓参りシーン

 劇場版アニメは、お館様・産屋敷耀哉(うぶやしき・かがや)と妻のあまねが隊士たちの墓参りをしているシーンから始まります。お館様の墓参りについては、原作では先のエピソードのなかでその事実が語られるだけなので、これは劇場版アニメのために新たに追加されたオリジナルシーンです。

 このシーンによって、原作を読んでいない人も、いかに多くの隊士たちが犠牲になってきたか、いかにお館様が隊士たちを大切に思っているか、さらにお館様の強い決意や彼の命がそう長くはないことを知ることができます。

 そして、このシーンでのお館様の「どれほど打ちひしがれようと人はまた立ち上がって戦うんだ」というセリフは、杏寿郎が最期の時に炭治郎らに語って聞かせた「己の弱さやふがいなさにどれだけ打ちのめされようと 心を燃やせ 歯を喰いしばって前を向け」というセリフにつながっており、ボディブローのように後からジワジワくる言葉ですので、ぜひ注目してください。

●あの「うまい!」の正体が明らかに!

 杏寿郎が「うまい!」を連発しながら食べる駅弁。原作では駅弁であることは分かっても内容は謎に包まれていました。とても気になっていた、あの「うまい!」弁当の内容が劇場版アニメではしっかり描かれています。

「牛鍋辯當」と書かれたふたを取ると、中に見えるのは甘辛く仕上げた牛肉と玉ネギ、焼き豆腐、長ネギ、ゆで卵(半分)がご飯の上に載っています。おいしそうですがお値段は少々張りそうです。そんなことは気にせず豪快に食べまくる杏寿郎は、さすが名家の出身。食べた弁当の数は原作でも劇場版アニメでも11箱でした。

●会話から見える、生真面目&せっかち

 原作では炭治郎が杏寿郎に会いに行くのは、「ヒノカミ神楽」について聞くことが目的でしたが、劇場版アニメでは無限列車での被害が拡大したため杏寿郎と合流するようにという指令が出たことになっています。

 炭治郎の質問に食い気味に答える杏寿郎……。炭治郎「俺の父のことですが」杏寿郎「君の父がどうした」炭治郎「病弱だったんですけど」杏寿郎「病弱か」と一本調子なうえ、せわしない受け答えとなっているため、杏寿郎の生真面目さとせっかちなことがよく分かるシーンになっています。

●2体目の異形の鬼が登場

 杏寿郎の見ている夢の中での鬼との戦いに違いがあります。原作では車掌が切符を切った後に登場する異形の鬼は1体ですが、劇場版アニメでは2体の鬼が登場。1体目はゆがんだ顔をした大きな体の異形の鬼で、2体目は蜘蛛のような姿をした異形の鬼です。

 まがまがしい姿をした鬼、鬼に怯える一般人、圧倒的な強さの柱……という構図がより明確になっています。そして2体を華麗に倒した後の「煉獄の兄貴ィ」のシーンのかわいらしさも際立ちます。

●夢に深く沈んでいく演出

 原作にはない演出として、劇場版アニメでは、夢に深く沈んでいく様子を水に沈んでいく姿で表現していました。ゆっくり深く沈んでいく様が、二度と浮かび上がれないのではないかという不安感をあおります。

●不思議な姿をした「洞窟の主」

 伊之助の夢の舞台は洞窟です。原作では、洞窟探検隊の親分として進む伊之助にタヌキの姿の炭治郎が洞窟の主の匂いに気づき、ネズミの姿の善逸が洞窟の主の寝息を聞きつけて報告しますが、主の姿は描かれていません。一方、劇場版アニメでは、ムカデのような何本も足がついた列車が洞窟の王として描かれていました。

●なごやかな一家団らん

 劇場版アニメオリジナルとして、炭治郎の母が子供たちにおせんべいを焼いてくれるシーンがあります。何気ない兄弟のやりとり、笑い声……炭治郎が失ってしまったものが描かれていて切なくなります。

●肉がうごめく列車内

 原作では列車内で魘夢の肉がところどころにうごめいていていましたが、劇場版アニメでは外も肉で包まれ、車内ではグニョグニョと触手のようにうごめいて人間を捕らえようとするなど、かなりグロテスクです。

●痛々しいカットイン

 頸を斬ろうとする炭治郎に血鬼術「強制昏倒睡眠・眼(きょうせいこんとうすいみん・まなこ)」で応じる魘夢。炭治郎は技を喰らうたびに、夢の中で自分の頸を斬って現実世界に戻ってきますが、劇場版アニメオリジナルの演出として、自分の頸を斬るモノクロイラストがカットインし痛々しさを倍増させます。

●先頭車両での戦い

 魘夢の頸を切断するため先頭車両に進んだ炭治郎と伊之助。ここでの戦いは原作にはないシーンが多く、アニメーションならではのスピード感、躍動感を堪能することができます。炭治郎と伊之助が触手を攻撃しながら、上空から一気に頸に迫るシーンは息をのむ迫力です。

●目が離せない猗窩座との戦い

 魘夢を倒し、乗客を救ってほっとしたのもつかの間。突然、杏寿郎と炭治郎の前に上弦の参・猗窩座(あかざ)が表れます。杏寿郎と猗窩座との戦いのシーンは、ここもアニメ版ならではの壮絶で美しい見せ場です。原作では描かれていない「参ノ型・気炎万象(きえんばんしょう)」も繰り出され、杏寿郎が見せた奥義「玖ノ型・煉獄」のすさまじいまでの破壊力と美しさは、鳥肌ものと言われています。

●心が燃える!

 猗窩座との戦いで満身創痍になってなお杏寿郎の心の炎は消えていませんでした。劇場版アニメのオリジナル演出で、「玖ノ型・煉獄」を繰り出す直前、心の炎は杏寿郎の全身に力をみなぎらせます。「限界を超えろ! 俺は炎柱・煉獄杏寿郎!」の雄たけびには、完全に涙腺崩壊です。

●風鈴

 猗窩座の拳でみぞおちを貫かれた杏寿郎は母との約束を思い出します。涙なしには見られないそのシーンは、原作では母の後ろ姿から始まりますが、劇場版アニメでは軒下に吊るされた風鈴が揺れ、その音が小さく聴こえるところから。劇場版アニメを見て以来、「風鈴の音を聞いただけで涙が……」と言うファンもいるほどです。

●鎹鴉の涙

 原作では鎹鴉が飛ぶ姿が1コマ描かれていますが、泣いてはいませんし、たぶん杏寿郎のものであろうと「推測できる」程度です。一方、劇場版アニメでは、猗窩座との戦いで杏寿郎が命を落とし、炭治郎らが泣きじゃくる上空を鎹鴉が目に涙をためて飛んでいくことから、杏寿郎の鎹鴉であることが分かります。感動の波状攻撃の最後を飾るこの鎹鴉の涙で、さらに泣けたという方も多いシーンです。

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 上記でご紹介した以外にも、炭治郎らが列車に飛び乗るシーンや杏寿郎による呼吸の派生の説明、「穴があったら入りたい」のシーン、追加された猗窩座のセリフなど原作と劇場版の違いがあります。

 TV版『鬼滅の刃 無限列車編」の第1話は完全新作エピソードですが、第2話から第7話には約70カットの新作追加映像が加えられることが発表されています。原作も劇場版もTVアニメも、それぞれ堪能できそうですね。

※煉獄の「煉」は「火+東」が正しい表記