「ボーイズラブ」も「バイオレンス」も楽しめる作品って? マンガの奥深さは無限!

 マンガは「ジャンル」で分類されます。例えば『鬼滅の刃』(著:吾峠呼世晴)ならバトルマンガに分類されるでしょう。しかし多くの方がご存じの通り『鬼滅の刃』は何もバトルだけしているわけではありません。友情や恋愛、時にはギャグと多くのジャンルを横断しています。それは、他のマンガとて同じ。完全にひとつのジャンルでくくれるような作品はほぼないと言えるでしょう。

 さてさてそんなマンガのなかから、本稿では2種のジャンルがちょうど半分ずつ入っているような作品を厳選してご紹介。どちらかのジャンルが好きならきっと楽しめるハイブリッドマンガがたくさんあるのです!(なお「半分」の尺度は完全に筆者の恣意的な判断によるものですので、その点だけ了承ください)

●恋愛×スポーツといえばこちら!『タッチ』(著:あだち充)

『タッチ』こそまさにハイブリッドマンガの代表格と言えるでしょう。『タッチ』は何マンガと聞かれたら、「野球マンガ」と答える人もいれば「恋愛マンガ」と答える人もいるでしょう。上杉達也と浅倉南の恋愛模様を描きつつ、野球試合はしっかり白熱。こと須見工との決勝戦では誰もが手に汗握りました。ちなみにボクシング部時代の要素も加味すれば、一粒で何度も楽しめる作品です。あなたにとって『タッチ』は何マンガでしょう?

●ギャグ編とバトル編が交互『世紀末リーダー伝たけし!』(著:島袋光年)

 もともとギャグマンガだったけれどバトルマンガになったり、ギャグ色が強いバトルを展開したりするマンガは多く存在しますが『世紀末リーダー伝たけし!』は少し特別です。これほどまでに「ギャグ」と「バトル」を切り離して「半分ずつ」楽しめるように構成されたマンガも珍しいでしょう。ギャグはギャグ。バトルはバトル。この不思議な連載形態となったのは、ひとえに島袋先生がバトルマンガを大好きだったからという説が濃厚です。

●野球×ヤンキー『ROOKIES』(著:森田まさのり)

 スポーツは好きだけどヤンキーはちょっと……という人でも十二分に楽しめるのがご存じ『ROOKIES』。ドラマ化、映画化された本作ですが、どうしようもない不良たちが熱血教師のもと、夏の甲子園を目指すというストーリーです。あらすじを言えば簡単ですが、そもそも不良が真面目に野球などするわけもなく、物語序盤から中盤においては喫煙、暴力沙汰は当たり前で、まさにヤンキーマンガそのもの。もちろん彼らも徐々に厚生していくのですが……ライバル校のドラマにも要注目です。安仁屋たちとは違い最初から真面目に野球に取り組んできた高校球児たちの姿も本作ではしっかり描かれており、例えば笹崎高校の千葉監督の葛藤は本筋以上に「スポーツマンガ」かもしれません。

●ボーイズラブ×バイオレンス『殺し屋1』(著:山本英夫)

 問題作として名高い『殺し屋1』。幼少期よりいじめを受けていた泣き虫のイチが特殊スーツに身を包んでヤクザ相手に殺りくを行うというサイコなバイオレンスマンガなのですが……本作はたびたび「ボーイズラブ」という文脈で語られていますし、実際にそうとしか思えません。それも真のサディストとマゾヒストにしか分かり得ない領域での純愛劇が繰り広げられるのです。この時、「バイオレンス=恋愛」が成り立つのでぴったりジャンル半分ずつのハイブリッド作品といえそうです。

 ということでここまで2種類のジャンルが半分ずつ入っているハイブリッドマンガをご紹介してきました。他にも「SF×恋愛」だったり「ミステリー×スポ根」だったり、はたまた「ほのぼの×サイコサスペンス」なんて作品もあるでしょう。決して一枚岩ではいかないマンガの奥深さが、そこにはあるのです。