「あたしの歌を聴け!!」

 11月23日はアニメ『マクロスF(フロンティア)』に登場したシェリル・ノーム(CV:遠藤綾/歌:May’n)の誕生日です。シェリルは銀河規模で人気を獲得し「銀河の妖精」の異名を持つトップシンガーで、長身・スタイルの良さ・ストロベリーブロンドの髪と三拍子そろった美人です。もうひとりのヒロインであるランカ・リーとはアイドルの先輩として良好な関係を築くものの、早乙女アルトを巡っては恋のライバル同士としてしのぎを削り合う仲となりました。

 デビュー以来、リリースされた楽曲は常に銀河チャートの上位にランクインし、ユニバーサルボードで17週連続1位を記録。自身のアイデアが活かされた大胆で華やかな独創的な衣装を着こなし、圧巻のライブパフォーマンスで魅了する銀河の歌姫。

 しかしステージを一歩離れれば自信たっぷりで高飛車な振る舞いの毒舌家。それでいて秘めた姿は純情可憐な乙女そのもの。そんなシェリルの魅力に脳天を撃ち抜かれた方も多いのではないでしょうか。

 そんなシェリルの存在感を遺憾なく発揮したのが2008年放送のTVアニメ『マクロスF』本編の第1話でしょう。時差ボケとフォールド(作中でのワープ技術)酔いで体調不良にも関わらず取材をこなすプロ根性を見せ、ステージ裏に一般市民がいることにクレームをつけ、ステージでは次々と衣装を変えながら「射手座☆午後九時 Don’t be late」を熱唱し圧巻のライブパフォーマンスを披露するという、たくさんの面を見せました。TVシリーズとしては1995年完結の『マクロス7』以来12年ぶりとなった『F』のスタートを飾り、新たなファン層をつかむためのシーンとして、珠玉のでき栄えだったと言えるでしょう。

 2011年の誕生日である11月23日にはシェリル・ノームの公式サイトがオープン。トップページには「”銀河の妖精”シェリル・ノームへの出演のご依頼・お仕事に関するお問い合わせはこちらまでと」とメッセージが掲載されているだけでなく、アーティストとしてのプロフィール、ディスコグラフィー、メディアによる紹介などが行われ、「シェリル・ノーム」が実在するアーティストとして扱われています。

 2019年に放送された『発表!全マクロス大投票』(NHK BSプレミアム)でもキャラクター部門で作品別、総合ともに第1位を獲得するほどの人気を保ち続けており、今なお『マクロス』世界の偉大な歌姫として君臨し続けています。

※これ以降、TVアニメ『マクロスF』、『劇場版マクロスF』のネタバレを含みます。

シェリルはスラム街からグレイス・オコナーによって保護されるが… 画像はDVD Vol.7(バンダイビジュアル)

スラムで残飯をあさっていた過去

 そんなシェリルですが、決して順風満帆な人生を歩んできたわけではありません。幼少時に両親をマクロス・ギャラクシー船団の身体改造(インプラント)推進派に殺害され、スラムで残飯を漁りながら数か月間生き抜くという衝撃的な過去を持っています。スラムの男に捕まり危ういところを後にマネージャーとなるグレイス・オコナーに救われ、歌姫への第一歩を歩みだしました。

 マクロス・ギャラクシー船団ではインプラント技術により外見を整形したり、聴覚や声帯を強化したりする者が多いなか、シェリルは生身のまま天性の才能を発揮し、幾多の困難を乗り越えトップシンガーの地位をつかみ取るに至ります。しかしグレイスは全人類をインプラント化しようとする計画を進めていたひとりで、バジュラの体内にいるV型ウイルスをシェリルの脳に感染させていたのです。

 銀河横断ツアーの最終公演地であるマクロス・フロンティア船団を来訪した際に早乙女アルト、そしてランカ・リーと出会ったシェリルは、ランカの夢を後押し。アルトに対しては好意を抱き、アルトの通う美星学園高校に編入して周囲を驚かせます。

 しかしV型感染症の悪化とランカの台頭、グレイスの裏切りに打ちのめされたシェリルは、歌を捨てようとするほどに追い詰められますが、のちに再起。最終決戦ではランカとの怒涛のメドレーを歌い上げ、バジュラとの協調に大きな貢献を果たしました。V型ウイルスもランカのおかげで脳から腸に移っており、感染症の克服に成功しました。

『劇場版 マクロスF 〜サヨナラノツバサ〜』(2011年)では少々様相が異なっており、シェリルはギャラクシー船団のスパイとして働きながら歌手として活動しています。最終決戦ではV型ウイルスの影響で衰弱しながらも歌い続け、アルトがバジュラとの懸け橋となりバジュラクイーンとともに姿を消した直後に倒れ、生命維持カプセルのなかで眠りにつくことになりました。2021年10月に公開された『劇場短編マクロスF 〜時の迷宮〜』では現在のシェリルの状況についても語られています。果たしてシェリルが再び目覚め、銀河に歌声を響かせる日は来るのでしょうか。