アムロ、シャア、ララァが生身の姿で出会う

 今から42年前の1979年11月24日は、『機動戦士ガンダム』第34話「宿命の出会い」が放送された日です。後の作品でも描かれるシャアとアムロの深い因縁は、この34話において決定的なものとなりました。

 33話「コンスコン強襲」で12機のリック・ドムをせん滅したホワイトベース隊でしたが、浮きドックでの修理はできずサイド6に引き返すはめになります。サイド6内で可能な限りの修理を行うことになりましたが、アムロはひとりホワイトベースを離れ、父親テム・レイのもとへと向かいます。

 しかし雨に降られてしまったアムロは雨宿りのためにたまたま見かけた湖畔のコテージを訪れ、ララァと名乗る不思議な少女と出会ってしまいました。ふたりはほんのわずかな触れ合いの中でシンパシーを感じ、惹かれ合います。それが後の悲劇につながるとも知らず……。

 一方そのころ、ホワイトベースの面々は、隣に入港してきたシャアのザンジバルの姿に面喰います。死闘を繰り広げてきた艦同士が隣り合わせに係留されている姿は、サイド6が掲げる中立の旗の強さを感じさせてくれるものでした。

 ララァと別れたアムロは父親のもとに到着しますが、酸素欠乏症で脳をやられてしまっており、アムロの知るかつてのテム・レイではありませんでした。

 父親を失った喪失感を抱えながら帰途についたアムロでしたが、車のタイヤをぬかるみに取られてしまい、立ち往生してしまいます。通りかかった車に助けを求めようと飛び出したアムロでしたが、車から姿を現したのはさきほど出会ったララァ、そして仮面をかぶった赤い軍服を身に纏ったジオンの軍人でした。

 過去に何度も死闘を繰り広げたライバル同士が、初めて生身で出会った瞬間でした。

「そう……知っている。僕はあなたを知っている」

 名前を聞く前から、アムロは目の前の人物がシャアであることを確信します。対するシャアは、アムロがガンダムのパイロットであることには気づきません。この時点でのアムロとシャアのニュータイプ能力に格差があることを示す名シーンです。

 続編の『機動戦士Zガンダム』でアムロとシャアが再会した際には、アウドムラで特攻をかけようとしているアムロは金色のモビルスーツに乗っているのがシャアだと直感し、無意識に「どいていろシャア―!」と叫んでいます。
 
 シャアも「何をする気だ、アムロ!」とアウドムラに乗っているのがアムロだと瞬時に感じ取っています。アムロの能力が下がったのか、シャアの能力が上がったのか。もしくはその両方か。このふたつのシーンを見比べると、初代から『Z』の間に両者のニュータイプ能力に変化があったことをうかがい知ることができるでしょう。

『機動戦士ガンダム』34話で、シャアが搭乗するザンジバルはホワイトベースのすぐ隣に着艦する。画像は「1/2400 ザンジバル」(バンダイ)

補充されたリック・ドムもアムロの前では……「動きが見える」

 帰還したアムロを迎え、修理を終えたホワイトベースはコンスコン艦隊に監視されながらサイド6を出港します。このとき出撃していたリック・ドムは6機。おそらく補充されたものでしょう。サイド6の領海内でカムラン・ブルームが命がけでホワイトベースを先導する状況のもと、リック・ドムはからかうようにブリッジのそばをかすめていきます。

 戦闘開始の直前、カムランはブライトとミライに促され、ホワイトベースのブリッジを見つめながら引き返します。カムランのミライへの気持ちの強さを感じさせる、印象深いシーンです。しかし無情にも戦闘は開始され、カムランたちが乗るランチと入れ替わって、TV局の小型船が戦場へと向かっていくシーンが描かれます。『ガンダム』の世界でも現実と同じように、戦闘、すなわち人の殺し合いの映像はニュースや娯楽として消費されているのです。テム・レイはアムロの戦いぶりをみて興奮し、ララァは「白いモビルスーツが勝つわ」と予言します。

 肝心の戦いについては、前回12機のリック・ドムで歯が立たなかった以上、コンスコン艦隊には勝ち目はありません。ホワイトベース隊で出撃を確認できたのはガンダムだけでしたが、それで十分だったのです。リック・ドムのパイロットたちは善戦しますが力及ばずアムロにせん滅され、ムサイ1隻もホワイトベースに撃沈されます。コンスコンはホワイトベースに特攻を仕掛けますが、ガンダムのビームサーベルに2か所の心臓部を破壊され爆沈、戦闘は終了します。

 多くの人びとの命と想いを飲み込んだサイド6を後にしたアムロたちでしたが、戦争はさらなる苛烈な戦いを強いてきました。次回、ホワイトベース隊はジオン軍の拠点のひとつ、ソロモンへの攻撃に加わることとなるのです。