どんな役にも染まる「実写化請負人」俳優たち

 CG、特殊メイクの技術などがどんどん発展していくなかで、マンガ・アニメの実写化作品が毎年量産されるようになってきました。もちろん世界的超人気のマーベル・シネマティック・ユニバースがいちばんの成功例ですが、日本でも人気マンガの実写化は一大ヒットコンテンツとして次々と製作されています。

 2021年だけでも、映画なら『るろうに剣心 最終章 The Final』『るろうに剣心 最終章 The Beginning』『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』、『東京リベンジャーズ』、ドラマなら『ハコヅメ〜たたかう!交番女子〜』『恋です!〜ヤンキー君と白杖ガール〜』『おじさまと猫』などの作品が話題を呼びました。

 マンガ原作映画は、すでに原作マンガがヒットして一定のファン層がいる上に、小説と違って明確なビジュアルイメージがあるぶん作りやすい一面はありますが、少しでもつまらなかったりキャラクターなど雰囲気を損なったりすると、たちまち批判の声が集まってしまうリスクあります。

 今回は、そんなマンガ実写化作品に出続ける3人の若手俳優を紹介します。彼らにオファーが殺到するのには、どんな理由があるのでしょうか。

●少女マンガも少年マンガも、主演を任せるならこの人……山﨑賢人

「実写化作品によく出ている俳優」と聞いて、真っ先に山﨑賢人さんを思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。何せ、2010年に俳優デビューして以来、マンガ原作の映画に15本も出演し、12本で主演を務めているのです(ヒロインとのW主演含む)。ドラマでも2015年の『デスノート』のL役や、2020年のNetflixオリジナルドラマ『今際の国のアリス』の主人公・有栖良平役でインパクトを残しています。

『ヒロイン失格』(2015年)や『オオカミ少女と黒王子』(2016年)など少女マンガの「王子様」役が多かった山﨑さんですが、近年は『ジョジョの奇妙な冒険 ダイヤモンドは砕けない 第一章』(2017年)、『キングダム』(2019年)などで王道少年マンガの主人公も演じ、さらに『斉木楠雄のΨ難』(2017年)、『ヲタクに恋は難しい』(2020年)ではコメディ演技(どちらも無表情キャラでしたが)を見せるなど、出演作品の幅を広げてきました。

 いったいなぜ、ここまで山﨑さんに実写化のオファーが来るのでしょうか。理由のひとつには彼の性格があります。山﨑さんはあっけらかんとした性格で、いい意味で「こだわりがない」タイプの俳優のため、どんなオファーでもスケジュールが合えば受けるし、現場での監督の指示にもきっちり従ってくれるそうです。

 スタッフからの評判が良ければ当然現場には呼ばれやすくなりますし、制約の多い実写化作品でも使いやすくなるでしょう。また、演技のテンションもそこまで気負わず、顔もプレーンなイケメンなのでどんな役にも染まってしまうという特徴があります。

 『キングダム』での剣戟バトルなどアクション俳優としても才覚を見せ、今後も活躍の場を広げそうです。

●とにかく美少女、さらにコミカル演技もできる……橋本環奈

橋本環奈の完コピ演技、変顔、鼻ほじりも話題になった実写版『銀魂』 (C)空知英秋/集英社 (C)2017「銀魂」製作委員会

 2013年に「1000年に1人の美少女」と言われてすい星のごとく現れた橋本環奈さんは、もう22歳で大人の女性の魅力を持ち合わせた女優へと変貌しています。橋本さんもこれまで10作品以上の実写作品で起用されてきました。

 今さら言及する必要もないくらいですが、非現実的レベルで整っている橋本さんの容姿は、創作でしかありえないような美少女キャラを演じるのにうってつけです。特に『ハルチカ』(2017年)『かぐや様は告らせたい〜天才たちの恋愛頭脳戦〜』(2019年)など、描き込みが少ない絵柄のマンガの実写化でも、ヒロインに似ているように思えてしまうのが凄いところ。原作の絵や雰囲気に似ている、という以上に「橋本環奈=美少女」というイメージが定着しているのでサラッと受け入れやすくなっているのかもしれません。

 また、橋本さんの女優としての武器は表情と声の個性の強さではないでしょうか。『銀魂』(2017年)『今日から俺は!!』(2018年)、そして前述の山﨑賢人主演『斉木楠雄のΨ難』などの福田雄一作品にも多数出演していることからもわかるように、あの美貌からの予想もできないような変顔やドスの効いた声の破壊力は、コメディにもってこいです。特に『銀魂』の神楽は喋り方の雰囲気や、ゲロを吐くときの目の見開き方など、『銀魂』ファンとしてはうれしくなってしまうような再現ぶりでした。

●あふれ出る主人公感と圧倒的身体能力……土屋太鳳

クライマックスの土屋太鳳のダンスが圧巻。実写版『累 -かさね-』(C)2018映画「累」製作委員会 (C)松浦だるま/講談社

 前述の山﨑賢人さんと『orange-オレンジ-』(2015年)『今際の国のアリス』(2020年)とふたつの実写化作品で共演している土屋太鳳さん。彼女も10作以上実写版に出ている常連俳優です。

 なかでも『青空エール』(2016年)、『PとJK』(2017年)、『となりの怪物くん』(2018年)など学園ラブコメ作品の主演が多く、数々のイケメン俳優と共演しています。また演じるキャラが性格の差異はあれど、夢や恋の成就に向けて「頑張る」キャラが多いのが特徴。

 なぜ頑張る女子の役が多いのかと言えば、それは土屋さんの人柄がまさに「努力の人」だからではないでしょうか。Instagramで定期的に作品や共演者への思い入れを長文で語ったり、オールスター感謝祭で倒れるまで走ったりと、随所でまじめで頑張り屋な性格を見せる彼女は、ひたむきに努力するヒロイン役にそのままハマります。地の「主人公感」が強い役者はそれだけで貴重でしょう。

 また、土屋さんは「るろうに剣心」シリーズの巻町操役や『今際の国のアリス』の宇佐木柚葉役などで、たびたび高い身体能力を発揮しています。日本女子体育大学で舞踊を学び、高校では創作ダンス部に所属するなどの経験が特に生かされたのは、2018年の実写化映画『累 -かさね-』でした。美人女優・丹沢ニナに変身した主人公・淵累という難役を演じつつ、クライマックスでは舞台「サロメ」で舞踏を披露して累の歪んだ願望の成就をまさに身体で表現する圧巻の演技を見せ高い評価を受けています。今後、さらに身体能力と演技力を活かした役が期待されますね。

 今回紹介した3人以外にも、佐藤健さん、菅田将暉さん、浜辺美波さん、二階堂ふみさんなど、実写化作品でよく見る俳優さんはたくさんいます。マンガ原作といっても、ジャンルも演じる役もさまざまです。今後も、高い実力をもつ俳優たちの特性とキャラクターの役柄がぴたりとハマった時、実写化作品の新たな名作が生まれるかも知れません。