「部下が血を流し・・・傷つくのは・・・私の心だ!!!」

 尾田栄一郎先生原作の『ONE PIECE(ワンピース)』。コミックスは100巻を超え、テレビアニメはついに1000話に到達するなど、幅広い支持層を持つ国民的人気作として知らています。
 
 そんな『ワンピース』には個性豊かなキャラクターが多数登場し、物語を盛り上げています。今回はそんな『ワンピース』の登場人物のなかでも、魅力的な「上司にしたいキャラ」を特集します。

「上司にしたいキャラ」と聞いて、主人公のモンキー・D・ルフィは言わずもがな、部下からの信頼が厚く、明るい雰囲気作りが上手い「赤髪のシャンクス」、部下たちを「息子」と称し家族同然の関係性を築く「白ひげ」などを思い浮かべた方も多いと思います。この記事では、前述の王道キャラクターたち以外から「上司にしたいキャラ」を、その魅力や名シーンとあわせて紹介します。

●Tボーン大佐

 まず紹介するのは、海軍本部大佐のTボーンです。麦わらの一味がウォーターセブンからエニエスロビーへ向かう道中で出会いました。

 Tボーン大佐は顔が非常に怖いのですが、作中きっての「部下思い」というギャップのある一面がたびたび描かれます。例えば、部下の海兵が蚊に刺されて血を流していると、「いかーん!すぐに止血を!」と自らの大事なマントを引きちぎって止血に使用していました。「部下が血を流し・・・傷つくのは・・・私の心だ!!!」という名ゼリフからも、彼の部下への愛情が伝わります。

 その後も、政府の役人が怪我している場面に出くわす度にマントをちぎって止血して、マントをちぎって止血して……と、気付けばTボーン大佐のマントは肩周りだけの布切れになってしまっていました。

 そんな心優しきTボーン大佐ですが、海王類を真っ二つにする「剣豪」ぶりも見せています。ロロノア・ゾロをもってしても「コイツ強ェ……!!!」と言わしめる実力者。最後はゾロに一撃で斬られて物語からフェイドアウトしてしまいますが、優しさと強さを兼ね備えたまさに理想の上司だと感じさせる海兵でした。

 ちなみに、アニメ881話「動き出す 執念の新元帥サカズキ」で、サカズキが世界会議に向けて準備していたときにTボーン大佐が再登場します。相変わらず真面目で元気な姿が描かれ、一部のファンの間で盛り上がりました。

「お前たちに最後の稽古をつけてやる!」

●ドルトン

ドルトンの活躍が描かれる『ONE PIECE』第16巻(集英社)

 続いては、作中きっての良い人キャラとしても知られるドルトンです。麦わらの一味に船医・チョッパーが参加した、ドラム王国でのエピソードに登場しました。

 ドルトンはもともと先代のドラム王国の国王に仕えていた人物です。その後、悪政を働くワポルの元で守備隊長として働きますが、ドラム王国を愛し世界から病気を無くしたいと願うヒルルクの死をあざ笑ったワポルに反旗を翻し、城から追放されてしまいました。

 その後「黒ひげ」に国を襲撃され、ワポルは一目散に海へ逃げましたが、ドルトンは元守備隊長として残された島民とともに戦うのです。そして、ドルトンが襲撃後のボロボロの村で島民たちと平和に過ごしていた時、ワポルが帰国します。ワポルの部下たちは村を襲撃し、島民たちへ向けて矢を放ちますが、ドルトンは身を張って彼らをかばい重症を負ってしまいました。

 そんな心優しく島民思いのドルトンは、ルフィらがワポルを倒したのちに民衆からの厚い支持によって新国王(国名も「サクラ王国」に改名)となりました。強い志を持ち、命をかけてでも島民を守るドルトンの背中を見て「ついて行きたい!」と思った人は少なくないはず。逆にワポルのような人は上司にしたくないですね。

●ゼファー

ゼファーが登場する『ONE PIECE FILM Z』キービジュアル (C)尾田栄一郎/2012「ワンピース」製作委員会

 劇場版からも「上司にしたいキャラ」をご紹介します。2012年の劇場版12作目『ONE PIECE FILM Z』のメインキャラクター「ゼット(Z)」こと「黒腕のゼファー」です。
 
 ゼファーは元海軍本部大将で、危険な戦場でも常に部下よりも先に立ち戦い「すべての海兵を育てた男」と言われるほどの名教官でした。大将「黄猿」や元大将「青キジ」、現元帥のサカズキなど、そうそうたる将兵を育成しています。

 しかし、ある事件をキッカケに海賊に教え子らだけでなく妻と子供まで殺されてしまい、ゼファーは海軍と世界に絶望。「ゼット(Z)」と名を変え、生き残った教え子のアインやビンズらとともに世界を滅ぼそうとするのです。

 かつての教え子である青キジはゼファーを「先生」と慕っており、命を賭して計画を全うしようとする彼の身を案じて直接説得するシーンが描かれました。それほど素晴らしい教官だったのだと感じさせられます。ちなみに、青キジは「あんたのようなかっこいい男になりたくて」と、ゼファーが好きだったシェリー酒を真似して飲んでいたようです。

 世界を滅ぼそうとしたゼファーは、最終的に黄猿をはじめとする名だたる海兵たちに総攻撃を受けて命を落とすのですが、元教え子である海兵らは攻撃しながらも目に涙を浮かべていました。どれだけ部下や後輩から慕われていた存在だったか、よく分かります。そして、なんといっても「お前たちに最後の稽古をつけてやる!」という最期のセリフとともにゼファーが元教え子らと戦う姿に感動させられます。

【番外編】逃げる部下たちを攻撃する最低上司

●番外編……キャプテン・クロ

クロネコ海賊団が表紙に描かれる『ONE PIECE』第4巻(集英社)

 番外編として、「上司にしたくないキャラ」も紹介したいと思います。筆者がすぐに思い浮かんだのは、ウソップの故郷シロップ村でのエピソードで登場したキャプテン・クロです。

 クロはクロネコ海賊団の元船長で、「百計のクロ」の異名で恐れられた海賊でした。シロップ村の大富豪の娘・カヤの執事「クラハドール」として彼女の財産を狙っていたところをルフィらに阻まれます。

 シロップ村のある島へクロネコ海賊団を上陸させ、ルフィらと戦うクロですが、戦闘から逃げようとする部下たちを恫喝(どうかつ)するなど、最低な一面を見せています。さらに、クロは必殺の無差別攻撃技「杓死(しゃくし)」でルフィたちを襲うのですが、そこで部下たちも斬りつけまくっても、本人は全く意に介していない様子でした。過去にもこの技で、何十人も部下たちを巻き込んできいたようです。

 そんな部下たちも、クロがボコボコにされる様子を見て、ルフィを応援してしまうほどで、まったく信頼関係が築かれていません。計画から逸れるなら文字通り「切り捨てる」……そんな最悪の上司キャラでした。

 以上、『ワンピース』の上司にしたいキャラを3人紹介しました。ほかにも「ワノ国編」のおでんや康イエなど、紹介したい上司キャラはまだまだ登場します。皆さんの心に残っている、上司にしたい『ワンピース』キャラは誰ですか?