実話をベースに「かわいらしさ」増量で描かれた創作マンガ

 バレンタインデーに職場で義理チョコを配った主人公。翌月の3月14日の仕事中、ラジオから「今日はホワイトデーです」と聞こえてきます。すると突然、70歳の所長が慌てた様子で立ち上がりどこかへ。「何か急なトラブルでもあったのかな」と思ったら……?

 水谷アスさん(@mizutanias)が、『70歳のホワイトデー』と題したマンガをTwitterで公開しました。心温まるエピソードに、読者からは「かわいくて優しい所長さんですね」「これはキュンとします」「あたたかーい」などの感想が寄せられています。

 作者の水谷アスさんに、お話を聞きました。

ーー水谷アスさんがマンガを描き始めたきっかけを教えて下さい。

 ふたり目の子を産んでから会社勤めと育児が上手に両立できなくなり会社を辞めたのですが、一緒にいる時間が増えたことで子供の発達障害に気付くことができました。

 何かあったときフレキシブルに対応できること、また、子どものあとに自身も発達障害の診断を受けたことを踏まえ、会社に勤めるよりフリーランスの方が自分には良いのではと考えるようになりました。

 小さな頃の夢が漫画家だったことを思い出し、デジタル環境があれば自宅でもやりたかった仕事ができるかもしれない……と2年ほど前からマンガを描き始めました。

ーー今回の作品はどのような経緯で描かれましたか?

「スタンバイで仕事が見つかった」というTwitterのマンガ賞に応募するため、「仕事中に経験した“尊い”エピソードを教えてください」という12月のテーマで思い付いたのがこの話です。

ーー作中に登場する所長さんは、普段から言動がかわいい方だったのでしょうか?

 このマンガはかなり昔の実話ベースの創作なんです。ホワイトデーにラジオを聞いて突然慌てて飛び出していったところまでは本当なんですが、実際もらったのはポケモンのチョコではなく普通のチョコです。

 渡されるときに「売れ残りしかなかった、スマン……」と真面目に謝られたのが印象的でした。かわいらしさはかなり水増ししていますが、天然のかわいさを時折のぞかせる感じの方だったので「そのギャップがたまらん」と思っていました。

 ちなみにホワイトデーのエピソードが人気だったので、アイスクリームのエピソード『70歳のスイーツ事情』も追加して描いています。

外での仕事のあと、所長おすすめのアイスを食べに行くことに(水谷アスさん提供)

ーー巷では、職場での「義理チョコ」の慣習を良しとしない考え方もあると思いますが、水谷アスさんは「義理チョコ」についてどのような考えをお持ちでしょう?

 学生時代に兄弟が「チョコが家族からしかもらえない」って寂しそうにしてたのを見ていたこともあって、若い頃は「男性って義理でも数をもらえた方がうれしいのかな?」と思ってたんです。ただ「職場での義理」なら、お互い負担がない形が一番じゃないかなぁと思っています。

 私は小さい会社で社員が少なかったから気楽に配っていたけど、社員が多い会社だったら女性は男性社員の人数分を買うのは大変だし、ほかの女性社員との価格バランスを考えるのも面倒そうだなって思います。男性もお返しするときに、相手がくれたものによっていろいろ考えることがあると大変そうですよね。

ーー作品に対する読者からの反応で、特に印象に残った声があれば教えて下さい。

 おじさんをかわいいと感じる人ってそんなにないるのかなと思っていたら、想像以上に皆さん「かわいい」と言って下さって驚きました。

ーー今後、Twitterで発表される作品については、どのように活動していきたいとお考えでしょうか?

 現在、私は「コルクラボマンガ専科」というオンラインの創作コミュニティに所属しています。最終課題として2022年1月から週1連載を始めることになっており、現在構想を固めているところです。今回の作品のような、読んだ人がほっこりした気持ちになれるような連載にしていきたいと考えているので、興味が沸いたら読みに来てもらえるとうれしいです。