鉄壁要塞「ナバロン」から脱出しろ!

 アニメ『ONE PIECE(ワンピース)』(原作:尾田栄一郎)は、1999年10月20日の放送開始からすでに20年以上が経過しています。2021年11月21日の放送回で記念すべき1000話を達成し、ここまで原作と呼吸を合わせて並走してきました。

 そんなアニメでは冒険に区切りがつくごとに、原作にはないオリジナルストーリーが挿入されてきました。連載の間隔調整など、さまざまなタイミングで差し込まれてきたオリジナルストーリーは話数にして150近くもあります。原作のキャラを活かしたパラレルストーリーもあれば、数か月に渡って放送された完全オリジナル編もありました。果たして、『ONE PIECE』ファンからの反応はどうだったのでしょうか。今回は原作ファンにも受け入れられたアニメオリジナルストーリーを紹介します。

●脱出!海軍要塞編

 エネルを倒し、空島を後にしたルフィたち。原作だとそのまま「ロングリングロングランド編」へと向かいますが、アニメでは海軍要塞編へというオリジナルストーリーに突入します。

 舞台はグランドラインに存在する海軍の鉄壁要塞「ナバロン」。ルフィたちは赤犬に通じる知略家の司令官ジョナサン中将に追われることになります。のっけから海軍になりすまして遁走し続けるテンポ感もさることながら、後述のサンジの料理エピソードなどバトル以外における各々の能力を改めて粒立てる演出も、のちの「デービーバックファイト」への前振りとしてほどよく機能していました。

 また要塞という閉鎖空間のなか、徐々にルフィらを追い詰めていくジョナサン中将の策略にもワクワクします。脚本は上坂浩彦さん、島田満さん、武上純希さん、菅良幸さんと『ワンピース』の脚本家陣営が、まるでリレーのように交代で担当されており、アニメオリジナル編でも屈指の人気エピソードといえるでしょう。

アニメオリジナルでは料理人として輝くことが多かったサンジ。画像は「ONE PIECE Log Collection “SANJI” [DVD]」(エイベックス・ピクチャーズ)

アニメオリジナルだからこそ「語られる」意外な麦わらの一味の本音

●「アラバスタ編」に挟まれる「アニメオリジナル」

「アラバスタ編」ではところどころアニメオリジナルストーリーが挿入されるのですが、なかでも大胆だったのは途中でルフィの兄エースが同行するエピソードでしょう。原作の改変ということで放送当初は違和感を覚えた人もいたようですが、仲間と戯れるルフィを見守るエースの姿は、今観ると胸にくるものがあります。

 またエースと再び別れた後の102話 「遺跡と迷子!ビビと仲間と国のかたち」では、ゾロとナミがなぜ麦わらの一味に仲間入りしたのかを語るシーンがあり、それぞれの「仲間観」が明らかになります。特にゾロの「かばい合った結果ではなく個々が死力を尽くした結果生じるものがチームワーク」という考え方は、彼らの統率原理を端的に言い表す名セリフでした。

●定期的に挿入される「サンジの飯テロ回」

 アニメではこれまで何度も、料理人としてのサンジの活躍にクローズアップしたオリジナルエピソードが挿入されてきました。51話「炎の料理バトル? サンジVS美人シェフ」(脚本・島田満)、133話「受け継がれる夢! カレーの鉄人サンジ」(脚本・武上純希)197話「料理人サンジ! 海軍食堂で真価発揮!」(脚本・島田満)319話「サンジ衝撃! 謎の爺さんと激ウマ料理」(脚本・菅良幸)と定期的に放送されています。

 原作では意外と料理シーン自体の描写は少ないため、時間をたっぷり割いて描かれるサンジの料理は完全に飯テロ。番組が変わったかのように、「グルメアニメ」になりました。こと319話は「サンジのチャーハン回」として認知されており、ウォーターセブン編で描かれた高潮(アクア・ラグナ)も料理に活かされます。

 原作のストーリーに大きく干渉することがないよう、普段とは違うキャラクターの一面を掘り下げることで、かえって深みを与える役割を担っていたアニメオリジナル編。とはいえ新たに投入された設定が、のちのちになって原作との若干の齟齬を生んでしまうことはご愛嬌です。ここ数年ほとんど製作されておらず、ごく稀に総集編が作られる程度になってしまったのは、少し寂しいです。みなさんにも印象深いアニメオリジナル編はありますか?