設定のほころびすら、愛せてしまう?

 マンガ・アニメの実写映画はどうしても原作との違いが出て、気になって楽しめない……。そんな人たちにぜひおすすめしたいのが、いくつか存在する「2次元よりも2次元っぽいオリジナル脚本の実写映画」です。原作はないはずなのに、「あの作品やこの作品を連想してしまう……でも独自の楽しさも満載な、おすすめの映画を4作紹介します。

●『少林サッカー』(2001年)

 荒唐無稽、という点ではこの映画に勝てる作品はなかなかないのではないでしょうか。「人生に行き詰まっていた少林寺拳法の達人たちがサッカーの選手権に活路を見出す」というシンプルな設定とてんこ盛りのギャグ、リアリティ度外視でケレン味のみに全振りしたCG演出で観客の度肝を抜き、当時の香港映画の歴代最高興行収入を記録しました。

 監督のチャウ・シンチ―氏は当時のインタビューで「『キャプテン翼』に着想を得た」と公言していますが、火を噴いてヒョウのイメージになるシュートや、分身してボールを止めるキーパーなどの自由過ぎるビジュアルイメージは、もはや独自の発明と言えるかもしれません。2008年に発売され、アニメ版、マンガ版も作られたゲーム『イナズマイレブン』にもおそらく影響を与えていると見られています。

 突然踊り出す珍妙な顔の男や、故・やしきたかじんさんそっくりの敵チーム監督など、登場人物のビジュアルもマンガ的でした。

●「HiGH&LOW」シリーズ(2016年〜)

 LDHが手掛ける大ヒットシリーズ『HiGH&LOW』は、5つのアウトローチームが仕切る架空の「S.W.O.R.D.」地区を舞台に、さまざまな抗争を描く人気作です。

 アクション、美術もハイレベルですが、このシリーズの最大の見どころは、「全員主役」のキャッチコピー通り、美形、個性派俳優たちが演じるさまざまなキャラの魅力です。ドラマ時代のseason1からLDH内外の多数のイケメンたちがしのぎを削りあい、その後もseason2ではクールメガネイケメンキャラのいいとこ取りのような不良・轟洋介、映画2作目『END OF SKY』では演じるNAOTOさんのアドリブも満載の傭兵的実力者キャラ・ジェシーが登場。

 さまざま属性のキャラの魅力で、EXILEファンだけでなく2次元作品のファン層まで「沼」に引きずり込みました。それぞれのチームやキャラごとにかっこいいテーマソングがあるのもたまりません。

 また、独特なセリフが飛び出したり、作品をまたぐとキャラのビジュアルが変わっていたり、前にあった設定がなかったことになっていたり、AKIRAさん演じる貫禄たっぷりなキャラ・琥珀さんが実は20代半ばの設定だったりと、少しツッコミを入れたくなるポイントがあるところも週刊連載マンガのような感覚で、何度も「応援上映」が開かれ愛される要因となっています。

 2019年にはチームのひとつ・鬼邪高校と高橋ヒロシ作品がコラボしたスピンオフ『HiGH&LOW THE WORST』が作られましたが、鳳仙学園も違和感なく世界観になじんでいました。2022年の『THE WORST』続編も楽しみです。

日本国内にバーフバリ王を敬愛する「マヒシュマティ王国民」が続出するなどブームを巻き起こした「バーフバリ」2部作の後編『バーフバリ 王の凱旋』ビジュアル。(C)ARKA MEDIAWORKS PROPERTY, ALL RIGHTS RESERVED.

ヤンキー×OLの独自世界観

●「バーフバリ」2部作(2015〜2017年)

 古代インドの架空の国「マヒシュマティ王国」を舞台に、伝説の戦士バーフバリの親子2代にわたる戦いや愛憎の物語を描いた歴史アクション超大作です。インド映画史上歴代最高興行収入を記録し、国内外でさまざまな賞を受賞、多くの観客の間で『バーフバリ』旋風を巻き起こしました。

 いい意味でベタベタな要素を盛り込んだ「貴種流離譚」(本来高貴な身分ながら生まれ故郷を離れていた主人公が、紆余曲折を経て成長し、英雄となるような物語)であり、徹頭徹尾エンターテインメントとして楽しめます。『花の慶次』級の完璧超人(特に父親のアマレンドラ・バーフバリ)な主人公、超強くて悪いけどどこか同情してしまう悪役、性格だけでなく物理的にも強いヒロインたち、泣かせる忠臣キャラなど、登場人物も魅力的です。

 また、アクションの荒唐無稽なカッコよさも見どころで、「これ、マンガなら見開きで『ドン!』ってなってるだろうな」と想像してしまう、バキバキな「キメ絵」がたくさん出てきて自然と笑みがこぼれてしまいます。特に後編『王の凱旋』の最終決戦で、主人公が敵の戦車に正面から突っ込み、空中で槍を投げ合う場面は「実写でこんな映像が見られるとは」と感動するほどのケレンにあふれていました。

●『地獄の花園』(2021年)

 マルチに活躍する人気お笑い芸人・バカリズムさんのオリジナル脚本映画『地獄の花園』は、「OLたちがヤンキーマンガ顔負けの超絶バトルを繰り広げる」というぶっ飛んだアイディアのアクションコメディです。主人公・直子が働くさまざまな派閥のヤンキーOL軍団がひしめきあっている会社に一匹狼のOL・蘭が転職してきて、圧倒的強さでのし上がっていくのですが、その前にさらなる他社の強敵たちが現れ……。

 バカリズムさんはかねてより、『ビー・バップ・ハイスクール』『湘南爆走族』『ろくでなしBLUES』『クローズ』などさまざまなヤンキーバトルマンガのファンであることを公言しており、同作にも多分にその要素が詰め込まれています。

 もちろん、バカリズムさんならではのシュールなコメディ要素もたくさんあるのですが、バトルシーンはちゃんとカッコイイ上に、ベタベタな展開からのお約束を裏切るひねりもあって最後まで目が離せません。直子役の永野芽郁さん、蘭役の広瀬アリスさんら豪華キャストによる、振り切ったヤンキーOL演技も必見です。