思わず口ずさみたくなる『うる星やつら』のキラーチューン

 寅年である2022年に約40年ぶりに再アニメ化されることが発表され、大きな話題を呼んでいる『うる星やつら』。高校生・諸星あたるが、突如宇宙からやって来た鬼族の少女・ラムから一途に愛され、浮気をすれば電撃を食らうドタバタラブコメ作品で、その色あせぬ面白さは世代を超えて多くの人に愛されています。

『うる星やつら』のTVアニメは、80年代に4年半にわたって放送されており、いくつもの主題歌が存在します。今回はそのなかから、再アニメ化の前に振り返りたい名曲を3曲ご紹介します。

●「ラムのラブソング」作詞:伊藤アキラ / 作曲・編曲:小林泉美 / 歌:松谷祐子

 うる星やつらと言えばやっぱりこの曲です!再アニメ化が決まった際のPVで流れる独特のイントロは、主人公・諸星あたるがヒロインのラムから逃げる足音を連想させる「ラムのラブソング」をリメイクしたものです。新作アニメでも、OPや挿入歌として使われる可能性が高いのではないでしょうか。

「あんまりソワソワしないで あなたはいつでもキョロキョロ よそ見をするのはやめてよ 私が誰より一番! 好きよ 好きよ 好きよ…」

 この歌詞からも、ラムのあたるへの一途な想いが伝わってきます。Aメロでは浮気性の諸星あたるの日常を説明し、Bメロではまたラムの心情が歌われるのですが……

「ああ 男の人って いくつも愛をもっているのね ああ あちこちにバラまいて 私を悩ませるわ」

 これは浮気性のあたるのことを歌っているのですが、その他の世の浮気性な男性にも当てはめられるフレーズです。

●「心細いな」作詞:地恵子・シュレイダー / 作曲:小林泉美 / 編曲:星勝 / 歌:ヘレン笹野

 こちらはアニメ2クール目のED曲なのですが、後に挿入歌としても使われています。この曲もやはり、浮気性なダーリンこと諸星あたるにヤキモキさせられるラムの心情を歌っているのですが、「大好き!」という愛情表現が抑え気味になっているのが特徴です。

 ドタバタな雰囲気を醸し出す明るい曲が多いなか、この曲はタイトルでもわかるようにしっとりとした雰囲気になっています。そして歌詞を見てみると、ラムがちょっと怒っていることも感じます。

「宇宙で一番の 浮気な男の子 好きにすればいいわ bye-byeしちゃうから」

 ラムが髪を逆立てて電撃を発生させているシーンなどは、こんな気持ちになっているのでしょう。ラムがあたるを好きだからこそ、「探し回ってみても 心細いな 心細いな」から始まるサビに、不安や寂しさが吐露されています。賑やかな曲が多い主題歌のなかに、「好きだとアピールしているけど、あたるの想いって……」と不安に思う繊細な心理描写を描いた曲があるのは見逃せないポイントです。

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ラムちゃんの願望が入ったオトナな曲

●「Dancing Star」作詞:伊藤アキラ / 作曲・編曲・歌 :小林泉美

 第2クールのOP曲にあたるこの曲は、色々なキャラクターが物語に登場し始めてきた時期ということもあって、OP映像はとっても賑やかです。メロディーも「ラムのラブソング」と同じくらい、一度聴いたら忘れられないポップな雰囲気になっています。

 そしてこちらの歌詞も、実は結構「オトナ」な雰囲気を醸し出しているのです。

「都会が寝静まるころ 男はさそり座に変る 女は乙女座になる おどれ Dancing Dancing Star」

 出だしのサビのメインだけ聴くと、そんなにアダルトな感じはしないかもしれませんが、続く歌詞では

「心をくすぐる指を ふたりはたくみにすべらせ 不思議な宇宙の果てで おどれ Dancing Dancing Star」

 ……ちょっと怪しくなってきました。が、別のサビの歌詞を見てみると

「短く燃え尽きる夜 男は星屑に変る 女は流星になる おどれ Dancing Dancing Star」

 見方によっては「『夜の営み』が終わった後では?」とも受け取れる歌詞です。同棲しているとはいえ、他の女の子を追いかけるようにしてラムから逃げるあたると、あまりマッチしていないのではと思えてきます。しかし、Aメロの歌詞に、この曲の意図に結びつく言葉がありました

「もう一度あなたから 愛しているよなんて言ってよ」

 ラムとあたるの出会いは、地球の命運をかけた鬼ごっこでした。そしてあたるがラムにを捕まえて「結婚だー」と言ったことで、『うる星やつら』の本筋となるふたりの関係が始まります。そう考えると、この曲はラムの「いずれこうなってほしい」という願望なのでは?と思えてきます。

 しかし、この時にあたるが「結婚」するつもりだったのは、「鬼ごっこで勝ったら結婚してあげる」と約束してくれた幼馴染の三宅しのぶでした。かなりの「すれ違い」から始まった、ラムとあたるの物語。そんな彼らの恋模様がどのように発展していくのかは、ぜひ新作のTVアニメで確認していただきたいところです。