原作者だからこそ紡げる 洗練された「歌詞」が私たちの心を打つ!

 テレビアニメの主題歌の歌詞を、原作者が担当することはよくあります。例えばアニメ『ちびまる子ちゃん』の主題歌「おどるポンポコリン」の作詞は、原作者のさくらももこ先生。第32回日本レコード大賞のポップス・ロック部門も受賞したこちらの楽曲は、今や誰もが歌える国民的アニメソングとなりました。他にもアニメ『ドラえもん』のテーマ曲「ぼくドラえもん」の作詞は、藤子・F・不二雄先生。「あたまテカテカさえてピカピカ」のフレーズから始まる同曲はナンセンスな楽しさが詰まった名曲として、今でも大人気です。原作者が作詞を担当したアニメソングは他にもたくさん存在します。そして、そのどれもが「名曲」ばかりなのです。その数々をご紹介します。

●石ノ森章太郎先生の鬼気迫る作詞!『サイボーグ009』主題歌「誰がために」

 ヒーローマンガの神様である石ノ森章太郎先生。『仮面ライダー』や『秘密戦隊ゴレンジャー』などを世に送り出した天才マンガ家は、作詞もまた天才的でした。今ほど挙げた実写ヒーロー作品の主題歌の詞も素晴らしいのですが、とりわけ代表作のひとつ『サイボーグ009』の主題歌「誰がために」の詞はファンのみならず評価が高いです。

 石ノ森ヒーローたちは、いずれも孤独な悲しみを背負って戦っています。こうした主題をサビの「誰がために戦う」と、端的な疑問で表した同曲の詞は読むだけで込み上げてくるものがあります。

●作詞家としての宮崎駿の凄まじさ!『もののけ姫』『トトロ』『ポニョ』

 宮崎駿監督のジブリ作品の主題歌も、その多くが監督自ら作詞を手がけています。代表的な例では『もののけ姫』の主題歌「もののけ姫」。「はりつめた弓の ふるえる弦よ」から始まる神秘性たっぷりの歌詞世界が広がっていく同曲は、久石譲氏の手による荘厳な曲調と米良美一氏の美麗な歌声と相まって、いよいよ神がかった美しさの主題歌に仕上がりました。

 宮崎駿監督が作詞を手がけた楽曲は他にも『となりのトトロ』のエンディング曲「となりのトトロ」、補作詞という名義ですが『崖の上のポニョ』の主題歌「崖の上のポニョ」も担当しております。「トトロ」も「ポニョ」も世界観を構築した本人の作詞ということで、楽しくも隙のない歌詞でした。

主題歌「君をのせて」は宮崎駿監督&高畑勲監督の共作?『天空の城ラピュタ』ビジュアル (C)1986 Studio Ghibli.

原作者だからこそ紡げる 洗練された「歌詞」が私たちの心を打つ!

●『天空の城ラピュタ』の主題歌の作詞は宮崎駿ではなかった?

 さて『天空の城ラピュタ』の主題歌「君をのせて」も作詞家・宮崎駿の代表曲として知られていますが、これにはある秘密があったようです。アニメプロデューサーの西村義明氏が『かぐや姫の物語』の試写会で述べた談によると、実はあの高畑勲監督が同曲の作詞に大きく関わっていたとのこと。

制作当時、『ラピュタ』のプロデューサーでもあった高畑勲監督は宮崎監督が最初に書いた詞を変更し、相当な加筆を加えたのでした。有名な「地球はまわる 君をのせて」というフレーズも高畑監督によるもの。つまり「君をのせて」の歌詞は宮崎・高畑とジブリ二大巨頭による合作ということであり、すなわち「作詞・ジブリ」と言っても過言ではない凄まじい楽曲なのです。

●『とっとこハム太郎』の主題歌は作詞だけでなく作曲も原作者

 可愛らしい作品にも目を向けましょう。2000年代に大ブームを巻き起こしたアニメ『とっとこハム太郎』。主題歌の「ハム太郎とっとこうた」は、作詞はもちろんのこと、作曲も原作の河井リツ子先生が担当しています。「とっとこはしるよハム太郎」でおなじみのこちらの楽曲は、まさに河井先生がもつ『ハム太郎』のイメージをそのまま抽出したものになりました。

 ちなみに原作者が「作詞・作曲」を担当した例としては他にもあり、アニメ『炎の転校生』の主題歌「炎の転校生」の作詞作曲は、原作の島本和彦先生が担当しました。きわめつけに、歌唱も島本先生ご本人が担当されているバージョンも存在しています。(通常盤は関俊彦さんが歌唱)。

 他にもアニメソングではありませんが映画『NANA -ナナ-』の主題歌「GLAMOROUS SKY」の作詞を原作者の矢沢あい先生が担当。物語の断片をそっと切り抜いたかのようなスタイリッシュな歌詞は、さすがとしか言いようがありません。

 アニメソングとはその作品の感動を何倍にもしてくれる欠かせないものです。それだけに世界観を構築した原作者本人の手によって紡がれた詞は、短いフレーズでも心の琴線に触れるものばかり。まだまだ原作者本人が手がけたアニメソングはたくさんあります。皆さんは何を思い浮かべるでしょうか?