ステータス上げの裏技?「パーティアタック」がもたらした衝撃

 ファミコンソフトは1000作品以上も発売され、さまざまなゲームジャンルが確立されました。なかでも1986年に『ドラゴンクエスト』(以下、ドラクエ)が誕生したことで、多くのRPGは『ドラクエ』をベースにしたシステムが採用されています。

 しかし、『ファイナルファンタジー』(以下、FF)シリーズの2作目となる『FF2』は、『ドラクエ』とは異なる斬新な成長システムだったことをご存知でしょうか。

 そこで今回は「難易度が高い」「マニア向け」などと言われている、ファミコン版『FF2』の成長システムについて振り返ります。

『ドラクエ』以降の多くのRPGは、「モンスターを倒して経験値を得てレベルを上げる」「レベルアップでステータスが上がり、呪文や魔法を覚える」というのが定番ですが、『FF2』の場合はキャラごとのレベルや経験値といった概念がありません。

 では、『FF2』のキャラはどのように成長するのかというと、「戦闘時の行動に応じて、それぞれの能力が向上していく」というものでした。

 つまり「たたかう」コマンドを主体に選んだキャラは「ちから」をはじめ、戦士タイプの能力が上がり、「まほう」を主体に選ぶと魔法タイプの能力が上がるといった感じで自然に成長していきます。

 そして「HPやMPは戦闘開始時よりも減少する」ことで体力や魔力が成長し、各キャラのHPやMPの量が増えていきます。

 すると、この仕組みを逆手にとり、自分たちで仲間を攻撃する「パーティアタック」で確実にHPを減らし、仲間のHPを増やすという技が流行しました。

 これを繰り返すと簡単にHPを増やせるため、最初のうちはひたすらHP上げにいそしみましたが、結果的にゲームの攻略を難しくしてしまう罠でもあったのです。

『FF2』は終盤近くになると、即死攻撃やマヒなどの状態異常系の攻撃を多用してくる敵が登場します。また、HPの総量の◯%のダメージを与える、いわゆる「割合ダメージ」の攻撃も行ってくるため、いくらHPが多くても安心できません。

 それに『FF2』は宿屋に泊まるとHPやMPを全快してくれますが、減少しているHPやMPに応じて宿泊料金が変動するシステムです。つまり回復しなくてはならないHPが多すぎると、すぐ金欠に陥ります。

 さらにHPが高すぎると序盤の敵はすぐに逃げてしまい、ほかのステータスを上げることが困難になるという弊害もありました。

 最初のうちは、HPが増えるのに面白みを感じてパーティアタックで育てまくったものですが、それをやりすぎたことでプレイヤー自身の首を締めることになったのです。

画像はPSP版「アルティメットヒッツ ファイナルファンタジーII」(スクウェア・エニックス)

『FF2』プレイヤーが最終的に行き着いた結論とは?

「HPだけ増やしすぎても不利」ということを身をもって知ったプレイヤーは、結局「戦士は戦士らしく」「魔法使いは魔法使いらしく」育てるのが無難だと気づかされます。

 何より重要なのは、武器系統や盾、魔法などに設定された「熟練度」、そして強敵の攻撃を食らわないための「回避率」や「魔法防御」なのです。

 とくに『FF2』には上位魔法という概念がないので、習得した魔法を繰り返し使って熟練度を上げながら、地道に威力や効果を高めていくことが大切です。

 また『FF2』は「回避ゲー」と言われるほど、「回避率」が重要なステータスでした。その「回避率」を上げるには、戦闘中に敵の攻撃を回避することが求められます。

 そこで編み出されたのが、両手に盾を持つという奇策です。『FF2』の盾は、防御力を上げるのではなく、回避率を上げるために役立ちます。その盾を両手に持てば、さらに敵の攻撃を避けやすくなりました。

 それに盾を両手につけた状態で「たたかう」を選んでも、敵にダメージを与えられないので、必然的に長期戦に突入します。その戦闘で回避しまくれば、盾の熟練度が上がるとともに、キャラクターの「回避率」が成長するのです。

 ちなみに防具には「重さ」という概念があり、重い防具ほど回避率が下がります。回避率至上主義の『FF2』では、防御力の高さよりも、回避率を重視して防具を選ぶのも重要なポイントでした。

『FF2』のようなレベルアップに依存しない成長システムは、いまでこそ珍しくありませんが、当時のファミコンプレイヤーにとっては、すごく斬新に思えました。それだけに理解するのが難しく、安易なパーティアタック育成に走って苦労した経験がある方は多いはずです。

 そして『FF2』の開発スタッフだった河津秋敏氏は、レベルという概念のない自由度の高い育成スタイルをブラッシュアップして、のちに『サガ』シリーズを世に送り出しています。その意味でも、『FF2』の存在意義は大きかったと言えるのではないでしょうか。