現役のゲーム筐体がいっそう愛おしくなる事実

 ゲームセンターの思い出と聞けば、マンガ『ハイスコアガール』(著:押切蓮介)で描かれていたように、日夜格闘ゲームに明け暮れていた方もいらっしゃるでしょう。一方、小学生低学年くらいの頃、親に小銭をもらって時間を潰していた「ゲームコーナー」の思い出もまた、特別なものがあります。

『ワニワニパニック』や『太鼓の達人』といったメジャーどころはもちろんのこと、「カエルにメダルをトスする謎のゲーム」といった、正式名称が何だったかもうろ覚えな筐体が、妙に記憶に残っている方もいるでしょう。今回は、商業施設や旅館のゲームコーナーの一角にあった懐かしのゲーム筐体を3つ紹介し、それらの現在を追います。

● 謎の手袋と「じゃーんけーん」…「ジャンケンマン」

 多くのゲームコーナーに置かれていたのが、1985年デビューの『ジャンケンマン』です。「謎の手袋とジャンケンをする」という単純明快なルールで人気を集めました。また、少々間の抜けた「じゃーんけーん」の電子音声は多くの子供たちをゲームコーナーへと誘惑してきました(だからといってこのゲームをするかどうかはまた別問題です)。

 さて、こちらのゲームを製造販売していた株式会社サンワイズですが、残念ながら1998年に倒産しています。親(製造元)をなくしてもなお毎日健気に勝ったり負けたりを繰り返しているジャンケンマン……筐体をぎゅっと抱きしめたくなります。

●カエルにメダルをトス!「のっけてケロ」

 えんじ色のボタンをプッシュし皿にメダルを乗っけるという、極めてアナログなゲーム『のっけてケロ』。派手な演出があるわけでもないのに、メダルを入れてプッシュ、メダルを入れてプッシュと、気づけば全メダルを突っ込んでしまう引力がありました。

 製造元は「株式会社こまや」というゲームメーカー。『お山のクレーン』『山のぼりゲーム』などの名作を世に送り出した老舗です。ところが、こちらも2015年に倒産してしまっていたのです。悲しいことに新たな筐体はもう製造されておりません。ということは日本にある全ての筐体が「在庫限り」なのです。これはぜひとも丁重に扱いたいものですが……だからといってプッシュが弱いとコインが飛ばせない。気づけばジレンマに陥っていました。消費されたメダルに世の無常を重ねつつ、次へ参りましょう。

●ひたすらハンドルを回した…「アンパンマン ポップコーンこうじょう」

 1992年にセガよりリリースされた「それいけ!アンパンマン ポップコーンこうじょう」は、平成世代にとっておなじみの筐体でしょう。ハンドルを回せば、その早さに対応して画面のポップコーンが弾ける仕様で、多くの子供が「回せば回すだけポップコーンが増える」と勘違いしていました。実際のところ、どれだけ速く回そうと、やってくる天丼マンのテンションが上がるだけです。

 さて、こちらの筐体も2014年末をもってメンテナンス対応を終了しています。寂しさは積もるばかりと思いきや、それはあくまでも「初代」の話。こちらは次世代機がリリースされており、最新作『それいけ!アンパンマン ポップコーンこうじょう3』では、兄弟や親子でも遊べる2ハンドル仕様へと進化しています。シークレットとして「ばいきんまんステージ」も登場し、よりパワフルになって帰ってきました。もちろん、ハンドル回転数はポップコーンの量に影響しません。

 製造元が倒産していたり、メンテナンス対応が終了していたり、寂しい事実も明らかになりましたが、だからこそより一層現役で稼働している筐体が愛おしくなってきます。「じゃーんけーん」「お金を入れてね」「もう怒ったぞ」……思いを馳せれば電子の喧騒がふと蘇ってきませんか?