企業における人事労務関連制度の実施状況の実態はどのようなものなのでしょうか。一般財団法人労務行政研究所が実施した「人事労務諸制度の実施状況調査」によると、「仕事上での旧姓使用」では8割以上の企業が実施、「副業・兼業の容認」については約4割の企業が実施していることがわかったそうです。

2022年2月〜5月の期間に、全国証券市場の上場企業(新興市場の上場企業も含む)3647社と、非上場企業1850社の合計5497社(持ち株会社は主要子会社を対象としたケースもある)を対象として実施された調査で、292社から回答を得たといいます。

調査によると、主な制度・施策の実施率トップ5は、1位「定年後の再雇用制度(役員は除く)」(90.8%)、2位「ハラスメントに関する相談窓口の設置」(89.0%)、3位「内部通報制度」(84.9%)、4位「仕事上での旧姓使用」(83.9%)、5位「ハラスメント防止規定の作成」(82.5%)という結果になりました。

以下、6位「契約社員の雇用」(81.8%)、7位「オンライン面接」(79.8%)、8位「パートタイマー・アルバイトの雇用」(72.6%)、同率9位「メンタルヘルスに関する相談窓口の設置」「裁判員休暇」(いずれも69.5%)と続きました。

なお、「仕事上での旧姓使用」(4位)については、実施率は83.9%で、2010年の52.9%以降、右肩上がりで上昇しており、2018年の67.5%から16.4ポイント上昇していたそうです。

近年、結婚により姓を変更することで生じる仕事上の不利益の解消や、個人のアイデンティティーへの配慮を目的に「仕事上での旧姓使用」を認める企業は増加しているほか、仕事以外でも、2019年には住民票やマイナンバーカード、運転免許証で、2021年にはパスポートでも旧姓の併記が認められるようになっており、今後も取り組みは進むとみられるといいます。

また、コロナ禍で導入が進んだ「テレワーク」(11位)については、実施率67.5%と、2018 年の11.8%から55.7 ポイントもの大幅な上昇。コミュニケーション手法が対面中心からオンライン中心へとシフトしたことに伴い、採用面接にも大きな影響が及んでいるといいます。なお、本調査において初めて調査した「オンライン面接」の実施率は 79.8%であり、現在、多くの企業が実施していることが窺えたそうです。

さらに、「副業・兼業の容認」(14位)については、これまで副業・兼業に否定的な企業も多かったものの、働き方の多様化が進む中、これを容認する動きも広がっているといい、2018年の10.7%から2022年では39.4%に上昇していたといいます。