「お客さんが鉄瓶を選ぶ時のお手伝いをしていて 年々サイズが小さいものが好まれる傾向にあるのがわかるけど、ここ100年くらいでこのくらいサイズが変わったという比較」と投稿したのは「南部鉄器工房 及富」の菊地海人さん(@kaito_kiku327)。一緒に投稿された写真には、驚くほどサイズが違う、大小2つの鉄瓶。需要の変化について教えてもらいました。

菊地さんは、「日本国内だと1リットル以内が人気。海外からのご注文だと大きいものが欲しいと言われることがいまだに多いので、鉄瓶のある生活のシーンや、お茶の時間の過ごし方でそれぞれ違いがあります」と国内外の違いについても言及。

リプ欄には「少子化、核家族も関係してそうですね」「お湯がすぐに出てくる蛇口がなかった時代ということなんでしょうか?そういえば 幼少時代はばあちゃんちの薪ストーブの上に大きめの鉄瓶乗ってました」「鉄や銅からアルミがメインになったので、ラグビーの魔法のやかんのような大型のヤカンが普及したと思ったら、今度は電気ケトルや電気ポットに取って代わられた感があります」など、時代の変化を感じる声が寄せられました。

40年前のデザインがTwitterで話題に

岩手県奥州市で1848年に創業し、型作り、鋳造から出荷まで一括生産する「南部鉄器工房 及富」。こちらの家業で企画・デザイン・営業などを担当する菊地さんによれば、鉄瓶はおよそ200年ほど前から親しまれているとのこと(諸説あり)。

――投稿写真での大小の鉄瓶の比較がおもしろかったです!

大きい方は5リットルくらいは入るかと思います。最近人気のサイズは1リットル以下のものですね。

――その理由として、昔に比べてどのような用途で使われているとお考えですか?

家族構成、生活様式の変化が一番の理由かと思いますね。昔は大家族でしたし、お湯を必要とする場面も多様だったと想像しています。

――海外からの注文では大型が人気なのですね?

お茶のスタイルも様々ですが、日本人がお酒を酌み交わすように大人数で集まってお茶会が日常にあったりするようです。パーティーを好まれる文化もあるかと思います。

――日本とくらべて人気のデザインなど、特化した傾向はありますか?

日本の1980年代以前に人気のあったクラシックな王道デザインの「あられ模様」が好まれる傾向にあります。日本に対する異国情緒を感じやすいのかもしれません。

――なるほど。鉄瓶には伝統的な印象もありますが、近年、新たな試みの商品や反響があった商品はありますか?

弊社では初代から実験的な作品が多い特徴がありますが、近年の話題作ですと1980年代に製作していた鉄瓶「スワローポット」が「40年前のデザインとは思えない」とTwitterで10万件以上の「いいね」をいただき、大反響になりました。

30年ぶりの復刻を果たし、昨年にはその過程も含めたストーリーを評価していただき、『グッドデザイン賞』を受賞しております。また、コロナ禍の初期のころに、アマビエをモチーフとした製品をツイートし話題になりました。

――最後に、鉄瓶ならではの最大の魅力とは?

日用使いの美術品であることだと思います。海外のお客さまからも、お湯を沸かす道具に対してのここまでのこだわり、美術性を感じるものづくりに「日本を感じる」と評価をいただいています。

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菊地さんの日々の投稿には、個性的な商品が多数紹介されています。夜空をイメージし、青と金のツートーンが美しい四角型の鉄瓶「星月夜」をはじめ、やかんや鍋でお湯を沸かす際に入れると、鉄分補給を期待できるという「鉄のアンモナイト」など、伝統ある南部鉄器だからこそ、現代の暮らしに「温故知新」の刺激を与えてくれるかもしれませんね。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・塩屋 薫)